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旅とドラマと壁の色について

壁を青くしたい問題における最適の青について頭を悩ませている。43歳の春。
こうタイトルをつけていたが、例の如くnoteが脱線しまくったので最後にタイトルを変更した。
ここに至るまでの、壁の色に募らせてきた思いをまずは振り返りたい。


壁を白以外のカラフルな色にしたいという願望は昔から持っていて、アメリカのドラマの「フレンズ」のモニカの家みたいに、薄いパープルの部屋にしたい、というのはずっと思っていた。
まだ学生で実家暮らしだった私は、友達にも「一人暮らしをしたら絶対にモニカの部屋みたいに薄紫の壁と扉にするから!そして台所は青にするから!」と宣言していた。
しかし、一人暮らしをしてみると、モニカの家みたいに広いリビングでもないし、壁の色を勝手に塗り替えてはいけないという賃貸のルールが世の中にあると知り、叶わぬ夢となった。
原状復帰可能な壁紙があると知り、今の家のリビングの扉にだけモニカの部屋と同じ薄紫の壁紙シールを貼り、積年の願いを小さく満足させたが、壁全面を薄紫にするのはやはり気が引けたし、チャレンジできないでいた。


物が多くて片付けられない私が目指す理想の部屋は、いつだって、白を基調としたシンプルなミニマリストの部屋ではなく、ジョーイやロス、チャンドラー、フィービー、レイチェルが集まるごちゃごちゃした統一性のない、だけどポップで落ち着くモニカの部屋だった。

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今見ても楽しい笑い声が聞こえてくるようなモニカの部屋。

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この10年間、白い壁に薄紫の扉一つの、ただ散らかったリビングに甘んじて生活していた私だったが、再び壁の色への欲望をくすぐってきたのは、4年前のドラマ「カルテット」である。
ここの別荘の壁の色が、青と緑の中間ぐらいの薄い色でなんだかとても素敵だったのである。

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ドラマがめちゃくちゃ好きだったせいもあり、久しぶりに壁の色への熱が蘇り、薄紫よりも薄いブルーはありかも知れないなあと思うようになった。
大好きな脚本家の坂元裕二氏の仕事場の壁の色も、カルテットの別荘と同じ色にしているということを知り、私も壁の色を同じにしてそこのメンバーに入るべきではないかと真剣に考えたりしていた。
坂元裕二のドラマは、色に意味を含ませていそうな深読みさせ放題なドラマで、そういうところが好きなのだが(今発見したが写真に写る「カルテット」の文字の色も良い)、今期のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」のとわ子(松たか子)の部屋もカルテットと同じ壁の色をしていた。
とわ子の部屋を見ていると、壁の色よりも要所要所にちりばめられたモロッコやインドテイストの小物が気になった。モロッカンタイルを壁に貼ったりしていて、これなら簡単に真似できるしやってみようと最近強く思った。

余談だが、私は松たか子氏と同い年で誕生日も近く、過去の一時期に、松たか子と雰囲気が似ているとよく言われていたため、姉妹のような気持ちで松さんのドラマをいつも見てきた。
そのため他人とは思えず、松さんが赤いスカートをはけば赤いスカートを買ったり、松さんが長いはおりものを着ているとついつい真似する。松さんが素敵に見えるものは積極的に自分にも取り入れて、あわよくば自分も素敵になろうという魂胆があるのを許してほしい。
そんな訳で、現在、インテリアや小物注目モードでドラマを見ているため、停止してじっくり見ることが増えており、時間がかかってしょうがない。

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いつものようになかなか本題に入れずにいるので、再び壁の色の話に戻るが、あちこち色んな国を旅していると、いろんなところに泊まる。
安かろうと豪華だろうと、宿の部屋が素敵なインテリアだとマネしたくなるし、こんな風に照明を使うのかとか、こんな冒険する派手な色使いでもこうするとシックに見えるのかとか、クッションの使い道とか意味が分からなかったけどこう並べるとそれだけで意味ある感じがするなあとか。
そういう学びがとても楽しい。レストランやカフェでも同様で、おしゃれな壁やインテリアの店に入ると甘ったるくてぬるいアイスティーを出されても全然気にならないくらい気分が弾むものである。
そして海外の部屋の壁は、思い切った色遣いをすることが多く、日本ではあまり見ないチョイスが新鮮で、部屋の壁を見るだけでも海外を旅することの特別感が味わえたりするのである。
海外の旅で好きだなと思った壁の色を並べてみる。

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上の写真はベトナムのダナンだったかホイアンだったかのチャイニーズレストラン。右上は薄汚れているが、そんなのは気にならない色の世界。
ベトナムはフランスの植民地だった影響のせいか、アジア諸国には珍しくフレンチな色遣いがよく見られる。
シノワズリと合わさって統一感があり、アジアの中でも少し雰囲気が違う上品な気がして素敵だった。アジアのごちゃごちゃした原色の色遣いの方がそもそも私は好きだが、ときどき淡く上品な色遣いにも惹かれる複雑な乙女心。

普段は原色の濃い色が私は好きなのだが、壁の色となると、なんとなくこういう淡い緑とも青とも言えるような色に、私はどうしようもなく惹かれるらしい。

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キューバ、ハバナのジゼルのカサ。キューバの街の色遣いもカラフルで好きだった。ジゼルのフォントもいいし、色の力で壁の汚れとかも気にならないから良い。

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台湾、台北のドミトリーのベッド枠のターコイズ色も好きだった。木の茶色とターコイズはよく合う。(それ以外はごちゃごちゃしていて生活感があふれていてあまり好きな宿ではなかったけれど。)

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インド、バラナシの宿。これもターコイズブルーとグリーンの間くらいの色。明るくて良い。明るい雰囲気で、宿の人もみんな明るかったし、停電してもこの場所はなぜか明るかった。

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さてさて、青い街こと、モロッコのシャウエン。
何度かこれまでの私のnoteで登場したことのある、とにかく青い街である。このアイスブルーと言うのか、ヒヤッとするようなパープル寄りの青がすごくいいなと思った。濃い青を差し色に使えるし、シヴァ神の色にも近い。
この街に来て以来、私はもともと好きだった青色に対して、一生愛し抜くことを誓った。
そして、私の部屋のテーマカラーはこれから青にするのだと決めた。
帰国後、長年使っていた赤いソファーに青いカバーを新しく買って無理やり付け替え、カーテンや小物は青へと少しずつ変えていった。

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結論を言うと、青が私の一番好きな色で、その中でも上の写真のような濃い青が一番好きな類の青である。茶色の木の扉とすごく合うと思う。

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大豆田とわ子のドラマの中の、松田龍平の家の左奥のキッチンの方の少しくすんだ濃い青の壁が、壁の色としては一番私の好みに近い青色の気がする。(しかしインテリアもオシャレだよ龍平)
やっぱりどうせ住むなら一番好きな色に囲まれて生活したいし、こういう部屋にしたい。私が2番目に好きな黒色もきっとこの青に映えると思う。もう濃い青で決まりだな、と、そう思っている。
なのに、薄い色はもともとそんなに好きではないのに、壁の色となると薄い青や緑がいい気がするし、無性に心が淡い薄い色に惹かれている。
どうやら自分が本当に好きな色と、壁の色に選びたい色は違うらしい。
壁にふさわしい色、好きな色、落ち着く色、パワーが出る色。
どうしたらいいの。
リビングじゃなくて寝室の壁だったらどうだろう。
濃い青は落ち着きそうな気もする。寒そうな気もするが。
訳が分からなくなってきた。
どうしたらいいのだろう。
助けて、色を司る神様ー。

途方に暮れたため、薄い色よりもあくまで青らしい青色を追求していこうと思い、具体的なイメージを持つために、青の壁紙のサンプルを6色取り寄せてみた。

タンスはトリトンブルーに塗ったため、別の色の青を使って壁を染めたい狙いである。
白い壁に取り寄せた6色のサンプルの壁紙を養生テープで貼り付けてみた。
腕を組んで眺めてみる。
並べられたA4サイズの青い壁紙サンプルたちよ。私に何か訴えかけてきて欲しいぞ。
待ってみる。

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少し離れたり、両指で四角く切り取るポーズをして眺めてみたり。
うーん。
鮮やかな青色、薄青紫りんどう色、ミッフィーカラー、ダークターコイズブルーなど。どれがどの名前か忘れたし謎。
やはり訳が分からないし、どいつも突出して訴えかけてはこなかった。
どの青も好きだし、
何なら違いがよく分からない青もあるし、
どれでもいい気がしてきたし、
どれもが違う気がしてきた。
ここはやはり壁紙としてふさわしい色ではなく、一番私が色として好きな色を追求しようか。

ドラマや海外の宿の壁に憧れている時は自分の好みがはっきり分かるのだが、自分の手でいざ現実に叶えていくとなると迷いが生じてしまうらしい。
モニカの薄紫、カルテットの薄緑。私の壁は何色…。
私の壁は私が決めるし、私が毎日それを眺めて生活をすることになる。
別に一生その色で生きていくわけじゃないし、気に入らなければ貼りかえればいいだけなのにこんなにも決められないなんて。
それにそもそも壁を青くしなくてもいいのである。白い壁はほとんど汚れていないのだからまだこのままでいいのだから。
何も睡眠時間を削ってまで、どの青にするか、毎晩青に翻弄される必要など一ミリもない。
だけどだけどだけど。
壁の色も決められないのに、私は自分のこれからの人生でちゃんと色んなことを選んで生きていけるのだろうか。
そもそもマンションだって買ってもいいのだろうか。
この期に及んでまだ迷っている。
たかが壁の色を決めること。
それが今後の自分の人生をどう生きるかという難題を突きつけられているような、そんな大げさな気がして全くもって決められずに6色のサンプルの前で呆然としてしまう。
もう一度悩む。

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うーん。
分からない。

そんな時はモロッコ、タンジェの宿の壁を思い出してみる。間違いなくこの壁は私に「思い切りが大事よ」というメッセージを訴えかけてきている。

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こんなにも思い切ったデザインの壁にする勇気が自分にはないが、何でもいいや決めてしまえ!という勢いはもらえそうな気がする。
「あなた、壁の色も決められないの?飛び込みなさいよ、ジブラルタル海峡へ。」
そんなお告げをくれている気がしてきた。

とりあえず、壁つながりで、iPhoneの壁紙をしばらくこの写真にして、自分をしっかり見つめて自問自答をし、答えを出そうと思う。1日に何度もこの壁紙と目が合うから緊張感はあるが、向き合うつもりだ。

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しかし、今、壁紙の目と向き合っていて感じ取ったものは、緊急事態宣言が明けたらまつ毛エクステに行こう、というお告げだけだった。
いつも通り、私の頭の中はとっ散らかっている。壁紙の目のまつ毛を見ていたらそれしか浮かばなかったが、もうしばらく向き合ってみる。
きっと私の部屋の壁紙の答えが出るはず。
何を選ぼうと、人生と同じく、自分で選んで決める。それが一番肝心。

(※ドラマの写真はオフィシャルサイトから拝借しました)


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