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インドで絶対にインド人を信用するなってインド人が言ってた~インド旅行記2:ムンバイ空港で野宿

2010年11月6日 24時頃

日本よりバンコクを経てインドはムンバイの空港に降り立つ。私と共に無事日本から乗り継がれてきた荷物を手にしてほっとする。おお相棒。
ガイドブックでの脅しの様なあらゆるトラブル事例を読むあまり、インドでは何ひとつまともに仕事が成されないのではないかと不安だった。
やるじゃないかインド、見直したよ!地元で札付きの不良が捨て猫をかわがっているのを目撃した時の気持ちはこんなだろうか。

しかし暑いんじゃないか。この時期の夜は肌寒いとかブランケットが必要ときいていたが普通に初夏並に、暑い。
薄手の長袖一枚で、暑がりの私は数分で汗が滲んだ。
汗は気温だけによるものではない。

私は焦っていた。
「空港内で勝手に椅子を利用し宿泊しても文句は言われない」

という情報から是非そうしようと、それらしき場所を探してるのだが見当たらないのだ。
24時間オープンのカフェに目的地を変更するが、それも案内表示通りに進むも何もない場所で行き止まる。
汗が止まらない。
汗だくで空港内をうろうろし二往復したあたりで心の余裕は失われた。

頭上にある「カフェ→」の絵付標識が憎たらしい。「そこに居ます」と言っておいて居ないのだ。
空港に着き次第タクシーを捕まえホテルに行く、という選択肢ははなから捨てているのでホテルの予約は無い。

今からホテルに行くつもりもない。携帯電話もパソコンも持っていない。
(2010年、私はスマートフォンをまだ持っていなかった。スマホが有ればもっとちゃんと楽に効率よく旅をした、かもしれないし、変わらなかったかもしれない。)

まず今回の旅は貧乏旅行なのだ。
渡航費を除き三週間で三万円の費用で過ごすと決めているのだ。
可能か不可能か何を考えているのかわからないが兎に角そういう決まりなのだ。

なんとしてもここ、空港で居座れるスペースが必要なのだ。

おそらく一度出るともう戻ってはいけない(戻る必要のない)所をその関所を守るインド人にけげんな顔をされつつ何度も出入りしている。
こんな行動をしているのは私だけだ。
違う…違うんだ…何が違うのかはわからないが言い訳せずにいられない。既に無駄にウロウロし充分に怪しいとは思うが、あまり不審な動きを続けてややこしい事になってはいけない。

とりあえずと両替を済ませ、暇そうだがちゃんとした帽子だけは被っているインド人にカフェはどこかを訪ねると
「カフェ?……外。」
ドア出ろって。どう見ても標識から「外」は読み取れないのだが、常に頭は柔軟でなければいけないという教えかもしれない。

インドの空港の外カフェって?イメージはもう全く見えない。でももう外だろうが一晩過ごす為の座る場所、座る権利のある場所があるのなら幸いだ。
とにかく行き先が見つかったのだ。空港を出た。

昼間のような人だかりと喧騒、蒸し暑い空気それら全てにむわっと迎えられ、というより押し返されそうになる。思わず帽子を深く被った。

空港のまわりは一つの大きな広場のようになっており、普通に近代的な作り。主に空港出入り口付近とタクシースタンドあたりに人の群。
怖くて直視はできないが、ちらちらと見る限り本当にインド人と思わしき濃い顔しか見えない。怖い。
なんであんなに目をむいてしきりに大きなを声出してるんだ。一人くらいアジア人がいてもいいじゃない…いないじゃない…。
植込みがあり、その付近のイスでも多くのインド人がしゃべったり寝そべったりしている。
目当ての外カフェはむき出しのスタンド形式だった。仕切りも屋根も椅子もない。
カフェというか簡易バー。
そうかそうきたかはいはい、と長ベンチにがっくり座る。
どこにも落ち着くような場所など用意されていない。
なるほど私の考えは既に甘かったのだ。
わかった、もういい、ここで寝る。居場所が無いなら作るしかない。ここ私の陣地。
インド人が寝てるなら私も寝てもいいんだ。
バックパックにストールをかぶせ、チェーンキーをかけ、少し嵩高いが枕にして横になった。

周囲の人の気配と声は眠るには最悪の環境で、意識が反応し緊張が取れない。けれど疲労もあるので、少しでも眠らねばと強引に目を閉じる。
いつの間にか私の隣で、バックパックを枕にする白人の女の子が寝息を立てていた。
心細いよねえ、やっぱり。

朝の5:30には起きて、タクシーに乗り鉄道駅に向かう。
砂漠の都市「ジョードプル」行き列車に乗る予定だ。
タクシーがちゃんと駅に行ってくれるだろうか。お金はぼったくられずに済むだろうか。
心配は尽きないがそれら全てを祈りに変えてやり過ごす。
もう夜中の3時だというのに、ここ空港前は賑やかだ。
けれど強引にねじこんだ自分と言う存在は、今にも弾き飛ばされそうだ。
ただひたすら耐えるように眠るという行為にしがみついた。

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