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あなたの一だけをひたすら書きなさい

これは、ひろはまかずとしさんという言の葉墨彩画家の方のお話です。

ひろはまさんは昔、字が下手だったそうです。今でこそ暖かい字を書かれるのですが、以前は書写の通知表も1だったようです。

そのひろはまさんが中学生のころ、国語の先生がお休みで、代わりに教頭先生が教室で授業をしてくれたそうです。

教頭先生は、「今日は書写をやろう」と言ったそうです。

字を書くのが苦手だったひろはまさんは憂鬱だったそうですが、教頭先生は

「横棒の一という字だけを書きなさい。一に決まりはないから、何も考えずあなただけの一をひたすら書きなさい。」

とおっしゃったそうです。

教頭先生は、黙々と書き続ける生徒の間を周り、たくさん褒めてくれたそうです。ひろはまさんも、この時間の中で30回は頭を撫でられました。

字を書くのが苦手だったひろはまさんは、目からウロコが落ちる思いだったそうです。

そして、授業の終わり頃、教頭先生はこうおっしゃいました。

「文字はすべて、この一の組み合わせなんだよ。だから、素晴らしい一を書ける人間に素晴らしい字が書けないわけがない。書けないのは、格好いい字を書こうとか、見本通りに書こうと思うからで、一本一本思いを込め、愛を込めて書くだけで、自分にしか書けない素晴らしい字が出来上がる。このことは、人間の生活すべてに当てはまるものなんだよ。」

ひろはまかずとしさんは、この言葉を胸に、今も創作活動を行っているそうです。

この話は、この本に載っています。

この話、あなたはどう思いましたか?

この話、シンプルに素敵ですよね。私達はどこか、規範意識というか、型にハマった考え方しかできなくなってしまいがちです。

特に教師は、「これはこうすべき」「これはこうするのが当たり前」「常識」「常識」…こんな思考回路になりがちです。

だから、自分らしく生きていいんだ!というこの話は、とっても素敵な話だとシンプルに思いました。

ただ…ただどうしても、私の体を流れる先生の血がうずきます(笑)

正直に言うと、

私は、この話を聞いて、「中学生の子どもたちにしてあげたい指導だなぁ」と考えました。

逆に、「小学生の低学年にはこの指導はできないなぁ」とも思ったわけです。

字を書く指導における、小学校と中学校の違い

私の頭は古いのかもしれません。

小学校、特に就学後間もない子どもは、字を書くことそのものから学びます。

そんな1年生の子に、「自分だけの字を書こう!」と言っても、メリットよりデメリットのほうが大きそうです。

逆に、6年生や中学生になると、自分に自信がもてなかったり、「こうあるべし」という固定観念が出来上がっています。

ある意味、学校教育の結果できあがるものもあるんじゃないかなって思います。

字は、教科書通りに書くよう指導してきたわけですから、そうじゃない字は「ダメな字」というわけです。

私は教師として、型にハマった字を教えることの意味を理解しています。

それと同時に、自分にしか書けない字を大切にすることの意味も理解しています。

どちらが正解というのもなさそうなんですよね。

ですが、「守破離」の考え方を引き合いに出すまでもなく、まずは「最も正しい字」をしっかりと自分の中に入れていくのが大切だと、やっぱり思うわけです。

そんなわけで、自分だけの字を書こう、と低学年に指導するのは、ちょっと違う気がします。

でも逆に、中学生にこの指導をすることは、とっても意味のあることのように思います。

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教頭先生が本当に言いたかったこと

教頭先生が本当に言いたかったことってなんだろう。

考えてみて、こう思いました。

「自分に自信を持って、思いを込めて字を書けば、それがいい字になる。」

手本をなぞって、個性を消すことがいい字になるわけじゃない。

ただ、いい加減で適当な字を書けばいい、というわけでもない。

「思いを込めて書く」というところが大切だなって思いました。

思いを込めれば、習字はうまくなります。

たいてい、字が苦手な人は自分の字に自信がないんですよね。

うまい下手に関わらず、思いを込めて書けば、いい字が書ける。

それに、教頭先生は「人間の生活すべてに当てはまる」とおっしゃいました。

これは、自分がしていることに思いを込めることによって、あなたらしさが出てきて、それが一番価値のあることなんだ、という意味なんじゃないかなって思います。

中学生になると、自分らしさを表現できなくなっていきますよね。周りからハブられるのが怖いし、なんて思われるかビクビクしてしまいます。

でも、だからこそ、「あなたの一だけをひたすら書いて大切にしなさい」と言われると、心に響きます。

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自分らしさって?

自信がない人は、「自分らしくあってはいけない」と思ってしまうんじゃないかなって。

自分らしさを全開にしたら、人に笑われた。下手くそと言われた。

それじゃだめなの? みんな、何でも上手にこなせないといけないの?

昔は、周りをみてばかりで、友達がやっているゲームを一緒にやって、友達が観ているテレビを面白くもないのに一生懸命見ました。

同じような服を着て、同じアディダスのかばんを買ってもらって、同じような野球チームを応援する。

今思うと、くだらねぇ小学生だったなぁって思います。

でも、あの頃は気づけなかった。自分らしく生きていいって。

だって、笑われるから。だせぇって言われるから。

そんなの、気にせずに生きればよかったって思います。

ただ子どもの世界は大人より残酷で、目立ったり出張ったりするといじめられるんですよね。そう考える時点でもうつまんねぇ小学生だったんですけどね。

今は逆に、「自分らしさ」が光る時代です。

「自分らしさ」を全開にして生きているユーチューバーを、小学生は観ています。そして、「自分らしく生きていい」って考えやすいんじゃないかなって思うんですよね。

いや、そうであってほしいな。

私は教師として、正しい手本を観て字を練習させます。

でも、それと同時に、私は教師として、あなたらしさを大切に育てたい。

二律背反かもしれません。

でも、両方正しいし、そうありたいって思っています。

矛盾した生き物。それが、先生なんです。


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