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不思議な植物

種まきしていると、
たまに変わったことが起こります。

8月ごろに余っていた白瓜の種が
あったのですが、何と虫が湧いていました。

さすがにダメだと思って、庭に捨てるように
ばら撒いたのですが、

11月に入って小さなメロンのようなものが
実っていました。

しかも味が、これまで食べた
どんな高級なメロンよりも
おいしい。

11月のメロンです。

種まきは3か月遅れで、
しかも虫食い状態。

いや、正確には虫食いの中で
無事だったものが
育ったわけです。

遅れて実ることはあるけど、
普通は未熟です。

トマトなら、緑色で実る
ような状態です。

赤く熟すまでいきません。

そういえば、今年の夏はメロンなんて
食べてなかった、って思い出しました。

色々と野菜栽培の現場を見てて、
殺虫剤などを撒いている様子が
嫌でも目に入っていたことがあって、
買う気持ちは、うせていました。

また春に植えた白瓜が少し甘くなって、
メロンのようになったこともありました。

白ウリ植えて、運が良ければメロンもできる、
白ウリをメロンにしよう、なんて
夏に考えました。

マクワウリのような、あっさりした甘味の白ウリ、ちょこちょこできていました。

これがとってもおいしかった。

また来年もって思っていた矢先、
11月のメロン。

いや、白ウリのはずですが、
何かと交配したのかもしれません。


今回は極甘のミニメロンが実っていました。

種もしっかりとついていたのには驚きです。
完熟で、皮も薄くて食べられるくらいでした。


本当にいい味で、甘い、うまい、おいしいを通り越した、突き抜けた味です。

この感覚、記憶はあります。

実は5年ほど前に、インドで粘土団子に種を包んで撒いている人を知り、真似て同じように野菜の種を蒔きました。

その時は種は数100個ー1000個くらいは団子にして撒いたのですが、
結構できました。

大きなカボチャが約60個、トウガンとインカベリーなど
色々たくさんできました。

種の量で細かい計算でもすれば、
大半はダメだったってことです。

それでも実ったものの味わい、

今回の白ウリのメロンは、
その時にできたものと、似たような味です。

甘さや美味しさじゃなくて、
身に染みる深さ、新しい味覚の単位みたいなものです。

甘い、辛い、などの他に
まだ生まれていない味覚の
言葉のようなものです。

うまく表現できない、味です。

嘘のようなことですが、
食べて涙が出てくるような
ものです。

今思い出すと、おかしなことですが、
カボチャ食べて涙流す。

そんなことが実際に過去に
ありました。

別に深く感動しているつもりもないけど、
グーっとくる、不思議な感覚です。

満たされる味、っていえばわかりやすいかもしれませんが、
甘さや満腹感などとは違います。

あ、誰か片思いの人から
不意打ちに手作りクッキーでも
もらったような感じが
近いかもしれません。

味はわからないかもしれないけど、
驚きと嬉しさが混ざったような、

でも緊張感はないから
ちょっと違うのですが、
おいしいとも違う、

何かが満たされる感覚です。

粘土団子でできた野菜、思い出すと
その時食べた感覚が似ています。

その後も粘土団子は何度かやったのですが、
丁寧に植えすぎたのが良くなかったのか、

その後はうまくいきませんでした。

インドの人によると、笑って遠くに、高く、投げるようにするのが良さそうです。

それでも、真面目にポット苗を育てて、
植え付けたところで、
巨大でとてもおいしい、

ましてや涙が出るような
カボチャができるか、

っていえばそうはならないし、
そもそも涙が出る意味が
わからない。

鹿が来るし、
ミツバチも来てくれるか不明。

いや、おそらく管理が追いつかず、
植え付けすらできないかもしれません。

自由気ままに撒き、
粘土団子で実ったものは
確かに満たされる味でした。

今回のメロン、その時とそっくりな
味わいです。

味は違うのですが、同じような
嬉しい気持ちです。

白ウリがこのような丸い形になったのも不思議です。
大きさは3cm-5cm
とても甘くて、身に染みる味わい。


庭に種を撒くと、洗濯ものを干す時に必ず通るので、毎朝付近の視界が入ります。

要は毎日野菜と
顔を合わせるようなものです。

適切な時期に畑に植え付けた野菜よりも

庭に植えたものがよく育つ、
時には追い越すことすらありました。

土壌環境がいいわけでもない、
むしろ悪い。


それでも、種まき遅れでも
追いつくことがあります。

特別な肥料を蒔いた、
ということもしていない。

それでも、後発組の野菜や
捨てたような種が育つことは
これまで何度もありました。

しかも、種までつけて次に繋いでいる。

このタネ、しっかりと詰まっていて、
不発弾ではありません。

十分発芽する可能性の高そうな
ふっくらとしたタネです。

次につなげろ、ということでしょうか。

味が特に甘く
おいしいわけでもないけど、
嬉しい味が大半です。

ふと思うのは、
植物は言葉は出さないけど、

何か人の存在を感じ、それに応えようとする
のかもしれません。

育つ姿、
意地、
あるいは味で表現しているとも
いえそうです。


たとえば、にんにくの場合ですが、
虫食いやカビが生えてしまったようなものは、
畑などにばら撒いています。

それでも、翌年に巨大化することが
実際にありました。

土のあるところが幸いしたのか、
精一杯生きようと、

あるいは応えようと、
成長した、と考えてもいいかもしれません。

傷んでいたから、土の上に捨てた。

後日よく見ると、根を伸ばしていました。

植え付けたわけではありません。正確には地面に捨てた。でも根を伸ばしている。
普通なら、生ゴミで捨ててもおかしくないような、いたんだものです。
根を伸ばしていました。

このままどうなるかはわかりません。

枯れるものもあると思いますが、成長するものは多いです。

毎年、こんな雑なばらまきでも
そこそこ実ってくれています。

味は、特に濃厚や甘い、おいしい、というわけでもない。

ただいい、嬉しい味です。

大きさは小さなものが多め。

あまりにも小さいものを見て
バカにする人も中にはいますが、

それ以上に満たされるものがあるので、
全く気にせず、笑って返せるくらいです。

味は悪くありません。
いい、満たされる、嬉しい味、

表現が
思いつきません。

となると、どうやって
でかくする、収量を増やす、
効率よくする、

と自分勝手に考えるよりも、
もっと植物が
過ごしやすいような、

邪魔をしないように
していきたいですね。

この冷えた時期に咲くのは珍しいですが、
こういう花があったからこそ、
蜂やアブなどが来て受粉できた。
そして実ってくれた。


メロン一つにしても、
協力者がいたわけですね。

植物とはうまく付き合っていきたいと
改めて思います。

山の渋柿です。これもまた、いい味です。



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