最近の読書について

この所この日記に、「何々と云う本を読んだ」とかそんな事をあまり書いていない。以前はそんな記録に加え、若干の感想や主張のような事を書いていたのだが、記録をそもそもしていないので、当然そんな感想や主張も特に述べていない。つまり、アウトプットをあまりしていないのである。その理由はいくつかあって、一つは単にこの所忙しく、しっかりと考えてアウトプットをする余裕が無いと云ったものであるが、もう一つは、アウトプットをする自信を過去と比べて消失していると云った所にある。表現を変えると、明覚に、鮮明に、高い解像度で、何かが見えると云った事があまり無いのである。何かが見えたと思えばそれは幻であるような気がして、アウトプットに至る事が無いのである。

論文等を書ける人は、少なくとも今の私とはかなり違う状態にあるのだと思う。何かを論じると云う事は、まず何かがはっきりと見えている必要があり、更にそれを言語や論理と云ったものに当てはめると云った行為を要求される事であるから、私のようにふわふわとした状態では、そんな事は出来ない。もう少し踏み込んだ事を言うと、私はこの状態が然程嫌いではない。もっと言えば、自信を持って何かを論じると云う行為をしている人に対して、若干の懐疑心を抱いている。果たしてそんな自信が、迷いに対する答えを模索する姿勢として、適切であると言えるのだろうか。

言い忘れていたが、アウトプットはしていないものの、インプットに該当する読書に関しては、今は寧ろ盛んな時期と言える。読書の時間は多い。読んでいるのは基本的に仏教書であるが、稀に他の類いの本も読んでいる。なので一度、記録の為にここ数ヶ月に読んだ印象の残った本を、読んだ順番でここに挙げておこうと思う。どの時期にどの本を読んでいたかを振り返る事は、それなりに好きだ。

・般若経 空の世界(著 梶山雄一/講談社学術文庫)
・ゴルギアス(著 プラトン/光文社古典新訳文庫)
・禅とは何か(著 鈴木大拙/角川ソフィア文庫)
・戦国時代と一向一揆(著 竹間芳明、日本史史料研究会/文学通信)

何れもオススメの本である。因みに今は
・龍樹の仏教:十住毘婆沙論(著 細川巌/ちくま学芸文庫)
を読んでいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?