[800字コラム] 過去、現在、未来
英語ができる、あるいは帰国子女であることを売りにしているのに、その英語経験を現在の生活に全く活かしていない人を周囲で時々見かける。
「俺が習った文法や読解は……」「俺が海外に居た頃は……」って、過去との戦いには連戦連勝してるのに、そんなにスキルがあるなら、いまの暮らしにフル活用して自慢しないのはどうして? っていつも思ってしまう。
僕が外国語学部出身で、社会に出てからも海外営業が殆どだったので、英語が話せるとか海外で暮らしたっていうのはあまり特別なものに映らないから、醒めた眼で見てしまう部分はあるのだけれど。
本当にハイスペックなら、外資系企業に高給で迎えられて大活躍していてもおかしくないし、そもそも、海外経験があるのなら働く場所を日本に限定する理由もなかろうに、そういう人種に限って、日本社会を嘆きつつ日本社会にしがみついていたりする。
つまるところ、そういう人たちは、実際は言うほどスキルが高いわけでも、国際的なわけでもなく、過去に他人と違う経験をしたという事実をいびつに強調してマウントを取りたいだけなのかも知れない。
それは言ってみれば「俺は若い頃はモテたんだ」としきりに自慢してみせるオッサンの与太話と似ていて、本当に大事なのは、昔モテたという過去の経験よりも、今モテているのか、あるいは今でもモテるための努力や心がけをどれだけしているかではなかろうか。過去と戦争して勝った気になっていても、決して未来には勝てない。
それに、英語ができるといっても、それだけでは偉くはない気がする。
そのツールを用いて、人と違う自分のバリューを示すことができるかが問われる筈。
僕自身は、過去に立ち止まらないことはもちろん、常に学び取ることと、経験で決めつけないことが大事だと思っている。
例えば、すぐに「どうせ」って言う人は、自分の経験の枠と過去の時間軸で現在を決めつけて、未来をみすみす失っているんだと思うから。