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虎に翼 にはまる女性へ

【虎に翼】
facebookの「大学・大学院進学準備プロジェクト」というグループページに、ぽつぽつとではあっても、大学、大学院進学をしてくださる方が続いていて、うれしく思っています。

投稿数が少ないページですが、塵も積もれば山となるかなと。

お一人の進学に影響を受けて、転機となさる方がきっといらっしゃると思いますので、細々とでも続けていたいと思います。
 
だって、高卒でも大学院に行ける時代なのですから(ってご存じでしたか?)。
うまく大学を選べば、学費も思ったほどは高くなかったりするのです。
 
なぜ、こんなグループを立ち上げたか、いつか書いたかもしれません。
でも自分でも忘れてしまっているので、もう一度、書いておきます。
来年度に向けて進学を検討して下さる方が出ますように。
 
日本のジェンダーギャップ指数の状況は、
世界でも下から数えた方が早いことは周知の事実です。
この時代になっても、「虎に翼」の世界にはまって涙する女性がたくさんいるというのは、昭和の初めの女性を取り巻く状況が、
古い昔の話、というよりも、
現在進行形で傷ついている、あるいは傷ついてきた、忘れようとしてきた女性が山のように存在するからなのではないでしょうか。
 
2000年以来、数回にわたってカナダのトロントに渡航し、あるいは北欧の国々を訪問し、そこで女性が普通に一人の人間として暮らしている社会を体験しました。
 
1999年、今から25年前のトロントでは、
 
痴漢の存在とそれを許容している社会に驚かれたり、
英語の補習コースにいた10か国以上の出身の人たちの中で、履歴書に写真(職業によっては全身写真)を貼付するのが日本と韓国だけということに驚いたり(容姿で人を判断しないのが当然)、
カウンセラーのジェンダー観を自覚する必要性を強調されたり、
教員養成の中にジェンダー問題を扱うコースがあったり、
幼稚園からジェンダーを意識させない教育をしていたり、
メディアで性別を意識させる写真や表現が規制されていたり、
7月に大規模なレインボーパレードがあったり、
 
と、さまざまなことを知りました。
 
もちろん、大学や大学院には女性がたくさん来ていて、
複数の大学卒業資格を持っている女性も少なくなく、
リーダーが女性である場合が日本などと比べて段違いに多く、
シンポジウムに登壇するのが男性ばかりなどということは決してないのです。
 
そこで、日本に帰国したときに、
大学の高卒入学志願者減少等に対する志願者確保案として、
大学や大学院に主婦層を勧誘してはどうかとつぶやいてみましたが、
周囲からの反応は、たとえば
「大学院に払うお金が主婦には出せないでしょうし、夫も出さないでしょう」
「大学院に行きたい、専門性を高めたい、資格が欲しいという主婦のニーズがあるとは考えられない、ターゲットにするのはリスキーすぎる」でした。

10数年後にもう一度、文書にして提案してみましたが、反応がありませんでした(私の頑張りが少なかったといえばそうですね。そこにまでエネルギーを割くという判断をしませんでした、私は、「虎に翼」の「よね」ほどに怒れないし、「寅子」ほどに動けない。当時の人たちは素晴らしいと思います。「シモーヌ」のビデオも購入したので、みんなで観たいなあ)
 
学内の会議も男性ばかりで、場が読めない私がついそれを指摘すると、(女性の先生方も含めて)場がしらけてしまいました。そもそも議論する素地などないわけです。

そもそも人権委員会規程の中に、委員会構成員の男女比への配慮が書かれているにもかかわらず、女性委員が当て職だった私一人だけということがあり、そのことを委員長に会議中に指摘しましたが、2年以上改善せず、やっと上部の会議を経て、学長の指示で女性委員をということになったのはいいのですが、言い出しっぺの私が指名され、複雑な思いでした(そのタイミングで退職してしまったのでそれは実現しませんでした)。

40年遡って、大学一年のときに女性学ゼミに入った私でしたが、友人の「闘うよりも、融和で」という言葉に引きずられて(20歳になる前に既に疲れていたのです)、さまざまな気持ちに封印しました。それが、30歳の就職後にどんどん膨らんでいくことになります。
 
とりわけ、40歳を越えて、全国で講演して回るようになると、
そこで出会う全国各地の子育て支援の関係者が、
家庭に入って子育てと家事にへとへとになって、
怒りをもって、あるいは、逃れるように、あるいは子育て支援に活路を見出して、子育て支援に向かい、そこで頑張っている様子に出会うことになりました。はて、なぜ、女性ばかりが子育て支援に集合しているのだろう?それにもかかわらず、それを決定する権限を持っているのは男性ばかり。
 
さらにそうして子育て支援の世界を動かしていく女性たちが、男性官僚や男性研究者を囲んで記念写真を撮っているのです。私はこれがどうも見るに堪えません(そうならざるを得ない構図の存在は理解しているつもりですが、あえて違和感を表明します)。
 
また、東北を始めとする地方都市に行けばいくほど、大卒女性が少なくなっていくという現象にもくらくらしました。
ジェンダー格差と地域格差、そこに疑問を抱けず、その中でどう動くかを考えていて、そこから出て行こうとはしない(どうせ無理、が染みついてしまった)女性たちに出会うのが、
悔しくて腹立たしくて(誤解がないようにと思います。大卒の方が偉いとか、これぽっちも思っていません。だからこそ、有能な女性たちが活躍の幅を遮られていることに歯ぎしりするのです)
それで「だったらこうしてみたら」の一つの方策として、カナダでそうであったように、大学や大学院への進学すること、を女性に勧めてきました。
そして、そうすることによって、「資格」を得た女性たちが、輝き始める現象に出会ったのです。
 
先ほども書きましたように、私は「資格」にはあまり意味を見出していません。学士や修士、博士の資格などなくても素晴らしい研究や実践ができる女性が、日本にはあまりにもたくさんいることを知っているからです。
 
でも、それに気づかない人たちも実際には多くいるのが社会です。
その「資格」が給与や本人の意識、自尊感情に影響しているのであるならば、「資格」を取ってしまうのが手っ取り早いと思うのです。
 
そんなわけで、「虎に翼」。テレビドラマを見ているだけでなく、自分の「だったらこうしてみたら」を実現するために、どうしたらいいかを、考え始めてもらえたらと思って、こんなグループを続けています。
 
別に、大学や大学院でなくていいのです。でも、目に見える形が作れて、実は意外とお手軽なのが、大学や大学院に入ることなのです。
 
今いる場所から飛ぶために、どうしようかなと考えはじめていただけたらと思います。


※ 撮影は室伏淳史氏。2018年4月。

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