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[詩集]ねむれる

years


靴を鳴らしたら藍色 空は明るくなるかな
今ここから手を握って 街灯りを見つけ出したら
変わることが多すぎて変化に気付かない歳月
髪が伸びたことに ようやく気付く自分と

回るyear year years
回るyear year years

風を膨らませた 茜の雲が近付いてきたら
今ここから瞳を閉じて 夢の話を思い出したよ
変わることが次々と変わらない日々の波間に
映りだす 
海を見ている 
そこから見渡す朝は花びら

開くyear year years
開くyear year years


久しぶりの詩集です!

今回は、"ねむれる" というテーマで、夜に眠りにつく時をイメージした詞で構成されています

また、"夏"をイメージした詞も多いです
季節はまだ春ではありますが、夏を感じ取っていただけたらうれしいです!

新作も収録しています




ローリング・ウェンズデイ


軋轢を消すように、山並みを越える日射しにほら
僕は曖昧な日々を気にし過ぎている
心の空欄に一か八かの答えを書いて
僕は生活の機微を見つけようとしている


飛沫立つ雨の日も空想に入ったきり
車と、まるで砂の夜に、耳を澄ましたきり
何でもないよ、何でもないよ、
ひとりぼっちだよ
言葉を忘れて視野を広げる、それでいいのかな


電柱と次の電柱を秒で駆け抜けていく
頭いっぱいの紆余曲折を
今にローリング、ローリング
砂嵐の孤独を、青い潮騒を、聞こえるものを
頭いっぱいの風声鶴唳ふうせいかくれい
今にローリング、ローリング


飛沫立つ雨の日も空想に入ったきり
車と、まるでメトロの気配に、耳を澄ましたきり
何でもないよ、僕にとっては
ここでひとりぼっちだよ
言葉を広げて翼になる運命の中に迷い込む


電柱と次の電柱を秒で駆け抜けていく
頭いっぱいの紆余曲折を
今にローリング、ローリング
砂嵐の孤独を、青い潮騒を、聞こえるものを
頭いっぱいの風声鶴唳
今にローリング、ローリング


理想郷


日々の先で映像美に咲く
花のような理想郷
言葉の中で素直になれるあかりの夢を
日々の先で映像美に飛ぶ
鳥のならぶ余白に
今、幾重の雲を招くなら光込めて


家のアンテナが日時計みたいに回る
丸い視界のふちに立って考えている
また雲の夢を見て広がる理想郷
花曇りの空から冬の野を
越えていけば見える理想郷


より近くで考えてみたら
なびく髪の夕暮れに
素直になれる言葉の色と
ビルに写る映像美
またビルに写る景観と
今、数多の声に向かうなら光込めて


花曇りの空から冬の野を
越えていけば見える理想郷
暮らしのこと思い出せる
すらりと思う
ペンで空を描いてみれば
カラフルな円で星の降る夜を創り出せる
すらりと描く


花曇りの街から
ばらの花を持ち寄れば春の理想郷
暮らしは続く
ここからすらりと続く
ペンで描いた夜は
星の降る日でしずかに眠る
瞼の裏に夢見る
春が来たる理想郷


ナイロン


カーテンを開けた瞬間がはじまりだとしたら
閉めきったままでもいいと思えたり
少し正直になれたら
手を振る物もあるでしょ 物もあるでしょ


歩き出す春を数えて どれぐらい
風の数だけ 先を行く
夢に見るまで もう少し
佇む未来


光にもなれるかもしれないね
弧を描く音へと深く
行けるかも あと少しだけ
星を向く 顔を上げて
風を呼ぶ


青の花火鳴る日いつまでも胸に仕舞っていてよ
ここからの握った手を忘れないでいてよ
世界に思う以上に翳りが多くても
隙間に咲いた夢 掴んでみれば大きくて


気になる光の旅路 声にしてみてよ
ここからの踊った手を離さないでいてよ
海の中すり抜けた日々を手繰るナイロン
夜に見る夢の中で会いましょう


ここにライターひとつだけ
忘れないでいてよ
世界に思う以上に翳りが多くても
青の花火鳴る日いつまでも胸に仕舞っていてよ
遠く向こうに走っていくよ


気になる光を手に 口にするほど
誰かのことを考えているの
海の中すり抜けた日々を手繰るナイロン
夜に見る夢の中で会いましょう


夢の中でも会えるでしょう


宵闇



宵闇で
手を握った一通り

底なしの
暗がりは文字通り
を瞑る
闇夜の日 船出へと続く星の道
を開ければ
桟橋のはじまりから眠る月


より季節の方角 見える方
寄ってみたいんだ 歩くんだ
夜の旅路はサラウンド
一歩 踏み出すんだ あの大地
暗がりは文字通り 暗くなるほど思い出せる
散らばる星は未来まで
空をきらめく存在に



宵闇に
手を振ったのは大通り

底なしの
暗がりから文字通り
の速さで闇夜の火
オールを向けた水底に
意味を込めればゆるやかに
川の遥かなアーカイブ


季節の方角 近寄ってみたい
漕ぎ出した旅の向こう側
踏み出すんだ 星の里
暗くなるほど思い出せる
散らばる ときめく その夢に
高層ビルの幻が
目を開けるほど より夜に
代わる代わる波は映る




汗とまた踏む階段の先の
晴れ間に過ぎた星一つ
街の影のあいだを通り抜けた日に
聞こえたら耳を澄ましてよ
手の平少しグラフィックのハート
きらめく遥かな魂
音の漣 ゆけ
二人は


二人は
自然とこぼれる涙はいつか
夜を模る記憶になって
何にもなれる表現となって
手の平にほらグラフィック深く
春の漣 ゆけ
二人は



今、この軌道伝ってすぐそこに
今、あの川に描く流線


今、川沿い伝う花を背に
今、その線に重なる流星


ただ 夢に見る
 春 影のように落とす
川面の星の一握り
青く響いた
二人は


皐月


標識の先の空
薄曇りは伸びて青
皐月の上を飛ぶ鳥の眺め
広い雲模様
僕はここから待っている睡蓮の歌を携えて
僕はここから待っている睡蓮の歌を携えて


ヒューヒューと行く
心は風にのってヒューヒューと
切り抜いた夢に見る雲間に
歌を描いたはじまりを
そう 船出は近付いている春の水面は弧を描き
そう 静かにときめいている花の雫の弧を描き


ただ 走る皐月
気付いているだろう 気付いているだろう
ただ 戻らぬ日々に
見つめただろう 見つめただろう
また 駆ける月日に
空を見ただろう 空を見ただろう
肌 分かる距離に
風が来るだろう 風が来るだろう


信号の先は海
薄曇りはいつの日か
春の中 消える鳥の眺め
青く滑る雲模様
僕はここから待っている睡蓮の歌を携えて
僕はここから待っている睡蓮の歌を携えて


肌 微かに伝わる
声を聞くだろう 声を聞くだろう
ただ 一面咲く野に
見惚れただろう 見惚れただろう
空 一抹の雲が
蠢くだろう 蠢くだろう
ただ 走る皐月
気付いているだろう 気付いているだろう


ただ 走る皐月
気付いているだろう 気付いているだろう
ただ 戻らぬ日々に
見つめただろう 見つめただろう
また 駆ける月日に
空を見ただろう 空を見ただろう
肌 分かる距離に
風が来るだろう 風が来るだろう

風が来るだろう



ラムネ


青い空を飛ぶ鳥をラムネ瓶と重ねて
何となく 何となくだけど
夏の音 近付くほど
深くなってゆく 深くなってゆく


エモーション 映しだして この地面
草のゆれるほどのあの鳥の飛翔
夏の音 遠のくほど
やがて消えてゆく やがて消えてゆく


この先の さらに先の いつの日にか
ラムネのビー玉ほどに小さな世界で
泳ぐ 丁寧 それは 遊泳
カランカランと鳴る鈴の猫が座る


歩き出したら 自分の手の平ほどの期待とか
飲み干したそのラムネに 人見知りせずに
靴を踊らせ 歌う声は 風まかせ
街に膨らむ ラムネの記憶 今ひら
開けそうで


目を覚ますと ツバメのような一日が
何となく 何となくだけど
翼から オリオンの
星を描いている 星を描いている


この先の さらに先の いつの日にか
ラムネのビー玉ほどの小さな世界に
浮かぶ 情景 さらに 鮮明
カランカランと走りだす猫を見かけて


進みだしたら 自分の手の平ほどの未来とか
空いたそのラムネ瓶に 反射する靴を踊らせ
話す声は 夏を包んだ ラムネの記憶
今すぐ 開けそうで 開けない


茶柱


1年前のことから
つい最近のことまで
すべてを詰め込んだ茶柱は
プカプカ浮いて
またゆらゆら揺れて
何かを思い出すことが出来たらいい


数年前の部屋から
つい最近の掃除まで
飲み干す緑茶 あいだの茶柱
プカプカ浮いて
また生活に笑う
人のことを思い出せればいい


「おはよう」と言えないほどせわしい未来
僕をいつか見つけ出す近未来に
変わらないものが一つあればいい
それだけで明日に踏み出して
(ゆらゆら ゆらゆら)
あの花と揺れて
何かを思い出すことが出来たらいい


つい最近の話から
数年前のことへと
移ろう季節の早さに茶柱は
見つめるほどに
いつの日に戻れるだろう


今も過ごす部屋
飲み干す緑茶 街のどこかで
生活に笑う人の流れにとけこめたら
何気なく笑う君のことを思い出せればいい


チョココロネ


チョココロネの前か後ろか
どこから食べてみようかな
パンは並ぶよ いい匂い
トングで取ったの チョココロネ
チョコレートの一面の夢を頬張る昼下がり
中はふわふわ 味わうよ
ベンチで食べたの チョココロネ


景色がまだ桜だった頃
雲は魚のかたちをしていて
泳いでいこう 炭酸水
飲んで走った 木漏れ日が
暖かいまま 春風の声を聞いては
ゆらゆらり 思い出したい
パン生地をこねる


チョココロネの前か後ろか
どこから食べてみようかな
パンはラララと パレードで
トングで取ったの チョココロネ
メロンパン カレーパン 餡を頬張る昼下がり
焼いてカリカリ 味わうよ
ランチはいつもの チョココロネ


ベンチに出来た陽だまりに
もう少し思い出したい



閲覧ありがとうございます!

今回は、シンプルな文章の詞が多いと思いました
皐月は「春」を
ラムネ茶柱は「夏」を感じます

ナイロン宵闇という詞は新作になりますが、どちらも夜の感情をイメージして作りました

また、今回は収録している詞すべてに太字の箇所を入れてみました

前回から1か月空いての詩集になりましたが、引き続きシリーズは続いていく予定です
よろしくお願いします^ ^


前回の詩集はこちらから!

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