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Nakano Nanae
2022年5月31日 20:35
君が教えてくれたのは光の海が現れる季節誰かに優しくする理由正しい約束の破り方"好き"でもなく"嫌い"でもなくその間でもないまったく別の場所にある愛に似た結晶体
2022年5月28日 22:24
僕たちは絶交したわけでもなく別れの言葉すらろくに交わしていない今日も同じ国に住んで同じ朝日を浴びて同じニュースにうんざりするだけどもう二度と会えないことだけがこんなにも確かに分かっている
2022年5月27日 12:19
君の目に焼き付いた銀色の海彼が綺麗だと言った銀色の海あの人が背を向けた銀色の海私の足にからみつく銀色の海海は今日も同じ場所で光り続けているあの日のことなど何も知らないままで
2022年5月25日 19:46
神様も、天使も、死神も、みんな同じような顔をしている。見分けがつかないと言うと、見分ける必要はないと言われた。望んでいたはずの終わりはあまりに呆気なく、危うく通り過ぎてしまうところだった。神様との決別の日。(日付は何度も書き直している。)あと何回思い出すのでしょうか。今日のことを。思い出すたび、鉛が砂に沈むように、少しずつ胸に押し込まれて、いつかは見えなくなるのでしょうか
2022年5月24日 17:31
新しい王子様が産まれたので、その日は国民の祝日になった。でもほんとうはずっと前から、私だけの記念日だったのに。新しい王子様はどろぼうだ、どろぼうだ。そう言って、大声で泣きながら歩いていたら、いつのまにか牢屋に入れられてしまった。私がここにやってきたのは、そういうわけなのです。
2022年5月23日 12:43
”折れてしまった翼の痕をなぞって、手紙を書きます。猫たちは元気だし、僕も元気です。新しい恋人は、僕が起こさなくてもちゃんと起きてきて、一緒に朝ごはんを食べてくれます。外国語も教えてくれます。洗濯のやり方は僕が教えました。猫たちも懐いています。”死ぬまでに使い切れないほどの光、光、光あなたがくれた翼は偽物だったけど僕にはそれで充分だった
2022年5月22日 20:35
誰もが生涯忘れないと言う恋の苦さや愛の深さを私はすぐに忘れてしまうそのかわりに長いスカートからちらりと見えた靴下の色が完璧だったこととか真剣に話す君のTシャツに書かれた外国語のでたらめさだとかそんなことばかりをいつまでも忘れられずにいるよ
2022年5月21日 07:50
人の話ばかり聞いていないで君の話を聞かせてよ月と、雲が、そう言っている木々と、電球が、笑っている黒緑の空がそれを眺めているつめたい風の金曜の夜
2022年5月18日 23:40
何年も何十年も同じ場所をぐるぐると回り続けているように見えたその人が足跡で描いていた希望の地図は人類が滅亡した今もこの星に残っている
2022年5月18日 01:23
壊れた階段の先にある壊れた窓、それは壊れた月です「満月を叩き割りたい、完璧は嫌い、未来がないから。」そう怒って泣いていた、君のための月です
2022年5月15日 22:44
みんなが想像している太陽と、私が想像している太陽は、まるで別物みたいだ。月もそう。星は、なんとなく似た形をしているようだった。だから最近は、星の話ばかりしてしまう。星の話をしている時だけは、みんなと同じになれたような気がして。
2022年5月14日 21:53
天気予報が外れただけで何をすればいいのか分からないし、昔好きだった人のことを何て話せばいいのか分からない。ぼくたちはぼくたちの上に降り注ぐ雨の色を知り得るか?水で洗えば、すべて綺麗になるとでも思っていそうな土砂降り。低気圧だったから。「また会いましょう」という社交辞令が、どうしても言えなかった。知らない間に水溜まりができて、知らない間に乾いた道路は、きっと昨日と同じにしか見え
2022年5月13日 14:10
君を好きになれない君の恋人君の友達先輩後輩仕事仲間飼ってる犬好きな俳優フォローしてるモデル行きつけの店の店員も全員羨ましくて全員死んでほしいでもその屍たちの上で私はどんなダンスを踊ればいいのだろう?そんなことばかり考えてしまうから君を好きになれない
2022年5月6日 12:36
美しかった瞬間を思い出そうとしている瞼を閉じる時すら煌めきをかくせない銀河によく似た青い瞳美しかった瞬間を思い出そうとしている声に出して呼べば桃色の花と同じ匂いがするあなたの名前美しかった瞬間を思い出そうとしている土砂降りの日に優しい人が結び直してくれた赤い糸美しかった瞬間を思い出そうとしている地に足が付かないように踊っている白い天使の群れ美しかった瞬間を思い出そう