見出し画像

障がいのある生徒③〜この子のために一体何ができるのか〜

※このお話は、実話に基づいたフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

3回目の面談です。いろいろ話をしてお互いに信頼関係ができつつあります。
本人と保護者の要望、希望を聴きました。

3 要望等の確認
① 自分でできることは、時間がかかってもやりたい
② 車椅子は絶対に使いたくない
③ 階段に手すりが欲しい
④ 教室移動に時間がかかるので配慮してほしい
⑤ トイレに洗浄便座と手すりが欲しい
⑥ 体育の授業で配慮してほしい
⑦ 登下校は送り迎えをするので、他の生徒とは別に専用の下足箱が欲しい
⑧ 別室での受験をお願いしたい
⑨ 特別な配慮、特別扱いではなく、時間はかかるが自分で行動する姿を見守ってほしい
 即答は控えます。まずは、本人と保護者の要望、希望を詳細に聴き取ります。そして、ある程度時間をいただき、学校でできること、できないこと、そのほかにできることはないかを考えます。

4 学校としてできること、できないことの確認とその共有
①③④⑥⑦⑧⑨は、了承
②了承だが、大事をとって準備する方向で検討
③⑤学校設置者と前向きに検討
 特別扱いではなく「見守る」ことが、具体的に何をどうすれば良いのか曖昧で、一番難しいかもしれません。

 学校として動く場合は、必ず全教職員の協力が必要です。さまざまな考えを持っているメンバーがいますので、社会の縮図と言えるでしょう。その全員の理解と協力を得て、対応していかなければなりません。このことが、学校設置者も一番興味があったことのようです。

5 教職員への周知と学校としての対応決定
 当然ですが、この子の受験、入学に不安を持つ先生、反対する先生も多くいました。
・他の生徒の迷惑になる
・トイレの介助は誰が行うのか
・教室移動時に時間がかかるのではないか
・教室移動に時間がかかれば授業に影響がある
・全生徒及び保護者の理解が得られるのか
・我々の仕事が増える
・学校でケガをしたり、命を落としたりしたらどうするのか
など、手放しで歓迎する雰囲気ではもちろんありません。何せ前例のない事案ですので、不安がいっぱいあります。数回に渡り職員会議で皆さんの意見を全て聴くことにしました。意見は全て否定せず、とにかく傾聴です。全ての意見を聞いた上で、みんなの不安を払拭するよう、学校としての方針を提案しようと考えました。
                               つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?