進藤路夢

時々、短い小説を上げてます。 よければどーぞ

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最近の記事

開けないLINE

よぉ、長谷川どうしたの? スマホ、調子悪かったから機種変。 へぇ、何がダメだったの? LINEが開けない。 そっかぁ、LINE無いと今や何にも出来ないもんなぁ。 どれくらいダメだったの? 三日? あちゃー、大事な連絡とか来てんじゃないのか? あ、でも週末挟んでの三日・・・ 遊びの誘いとかあったかもよ。 ちょっと、見せて見せて。 いいよ? ありがとう。 ああ、起動に時間かかるもんなぁ。 しかし、あれだ。週末といやぁ、山岡が作ったグループLINEで結構みんな書いてた

    • 香水

      「いいか、これがボスから言われたターゲットだ。ヤス、今回はお前がやれ」 「兄貴、ありがとうございます」 「今日の夜のパーティー、20時ちょうどに俺が電気を消す。暗闇の中でこいつをやれ」 「すいません、どうやってやるんすか?」 「この香水。これはターゲットが特注に使っているものと同じものだ。これに、特殊な液を入れておいた。そしてこのメガネだ。これをかければ、暗闇の中でも赤く光って見える。それを目印に任務を遂行しろ」 「心臓を一突き」 「バカっ!ヤス。いいか? 心臓なんて、肋

      • 言葉はいらない

        俺のはじめての個展。 それはそれは、力が入った。 これまでの人生で最高の物を並べた。 新しくも書いた。 並べ方にもこだわった。 フライヤーも自分でデザインした。 キャッチコピーは 「言葉はいらない、ただ・・・」 これがいけなかった。 ただ なのに フライヤーには タダ と表記され、作品すべて無料だと勘違いされた。 俺は止めた。それでもタダならと、どんどん運び出された。 作品は個展期間の半分で無くなり、 業界では 「タダという新たなスタイル」 という事で、

        • 人生で一番

          お前さぁ、人生で一番怖かった事何? すぐには出て来ないよな。 俺さぁ、出て来るの。 いやねぇ 修学旅行のトイレ休憩あるじゃん、 そう、高速のサービスエリア。 そこで、大しようとしたの。 そしたら、すんごい腹いたくなって、 個室の中よ、あれさぁ、痛すぎると気を失うのな? 俺、覚えてないのよ。気づいたら、大したままよ。 慌てて、拭いて出たら、誰もいないの。 それが人生で一番? 違う違う、痛みの話じゃないのよ。 サービスエリア真っ暗。 怖いぜぇ、サービスエリアに誰もいないの。

          風見鶏ローディー 毎週ショートショートnote

          「フーッ」  俺は誰もいない観客席に座ると、ここまで来た、の意味の息を吐いた。 「なんだ、もう満足か?」  近くに来たのは、同じバンドのギターのジョー。 「ウチのボーカルが、野外のワンマンくらいで満足されちゃ困る。武道館もドームもまだだぜ」  ジョーの指摘が俺に刺さる。 「ハハッ、これだけ沢山のスタッフが俺たちのコンサートのために準備してくれてるかと思うと、ありがたいと思ってただけだよ」 「フッ」  俺の言い訳をジョーは理解したふりをした。 「そうだ1つ聞きたい事があるんだ」

          風見鶏ローディー 毎週ショートショートnote

          伝書鳩パーティー 毎週noteショートショート

          「それでは、閣議を始めようと思います」  首相の一言で、各大臣は襟を正し、マスコミは部屋を追い出された。  かくいう、夕顔新聞の自分も同じように廊下で出されたわけだ。 「先輩、これが閣議ですか?」  新人君はこれがはじめての閣議取材。浮き足だっているようだ。 「ああ、形だけのね。知ってるだろう?」 「いや、ちょっと」 「ったく、これだから今の若いのとか言われるんだよ」  俺は悪態をつきながらも、少し嬉しそうに話をしてしまった。 「ようはな、俺たちの国は、あの国の意向に沿わなき

          伝書鳩パーティー 毎週noteショートショート

          秋の花火

          私の名前は秋野花火。  まぁ、女子中学生の頃からだから、いじめられるよね。  なんとか頑張って、「季節外れよ」と言い返したりしたよ。それでもいじめられるよ。  花火って名前だけで、大変なのに、名字が秋野って!  あ、これ、母の再婚相手の名字。  元の父親の名字は夏海。  花火師でも無い、公務員の父親がつけたジョーダンみたいな名前。  夏海花火。そんな父親も女関係で離婚  しばらくは、母の旧姓、安い。  安井花火。  線香花火なんて言われたっけ。  そして、新しいお父さ

          秋の花火

          一本道

          ワタシ、置いてたかれたの。 おばあちゃん家に行ってて、トイレ休憩でグズグズしてたら、こんな所で置いてたかれたの・・・ ホームアローンならぬ、 ロードアローンよ。 なに、この一本道。 まーーーっすぐな道。 さすがに、親もきづくっしょ。そろそろ戻ってくると思うんだけど。 ってかここどこよ。車乗ってすぐに寝ちゃったからなぁ、どこ走ってたのかもわからないのよね。 今まで、何回かおばあちゃん家に行ってたけど、こんな所通ったっけ?   もしかして・・・ もしかして・・・・

          落ちた男

          タイトル「落ちた人」 そう、君はその滝から落ちてきたんだよ。 信じられないだろうが、君はそのゴムの丸っこいものだけを持って落ちてきたんだ。 覚えていない? まぁ、無理もない、ここには今までに何人も落ちてきたが、ほとんどが落ちた時には死んでいるからな。 もちろん、息をしている人間もすくなからず居たが、ほとんどが話せない状態で落ちてくるんだ。 そして、君のように服を着ていないんだ。 いったい、上で何が起こっているんだ? 僕達は上に上がることが出来ない。 君たちみたいに

          心お弁当 毎週ショートショートnote

          「これが看板か」  看板を施工する業者さんによって、掲げられたものをみて、ウチの旦那はそのままを口に出した。 「こころおべんとう」  心お弁当  と、書かれたものをまたもやそのまま口に出す。 「違うのよ」  すかさず、ワタシが訂正する。 「何が?」 「読み方」  このお弁当屋さん、ウチのお母ちゃんの長年の夢。お父ちゃんが定年退職したのを機に二人で始める事となった。  最初は仲良く、メニューを決め、物件を決め、リフォームの段取りを決め、と良かったのだが・・・・・・  問題は

          心お弁当 毎週ショートショートnote

          栽培可能なコンピューターウィルス

           お前の随分育ってるなぁ。  俺? ちょっと最近サボってるのよ。だからかな・・・  うん? 山下どうした? 不穏な顔して あ、知らない。コランダム知らないんだぁ。  これなぁ、コンピューターウィルスなの。 あ、違う違う、悪いのじゃないのよ。  うん、悪いのかな?  よくわからんのやけど、これ、育てれるのよ。  そう、自分で。今から送るよ、ウィルス。 でな、エサという情報をあげたり、セキュリティを打ち破る腕力を付けたりするのよ。  そしたらな、他のウィルスから攻撃を守れるよ

          栽培可能なコンピューターウィルス

          国民三姉妹

          そうよ、皆デビューはしてたの。 最初に売れたのは妹ね。 それで、ついたキャッチフレーズが 「国民の妹」 甘え上手やから、あいつ。 うちと姉ちゃんと腹違いなのよ。 そう、母親が違うの。 ほいで、どうも姉ちゃんおるってなって、 一番上よ。 「国民の姉」 いわゆる、エスなのよ。 ドS。 変なファンがついてたのよ。姉ちゃんに それで、ワタシも見つかってさぁ どうも三姉妹らしいって。 そんでついたキャッチフレーズが 「国民の双子」 どういうこと? 無理につけんでよく

          国民三姉妹

          代わってください

          「カツカレーどうでした?」  副機長の彼は、先程からテイクオフの準備をしていない。 「今週から、カツの揚げ方をカラッとリニューアルしたって」  言い方が全然カラッとしていない。恨み節がべっとりまとわりつく。 「油がキツくないな。スッキリとした気持ちでフライトが出来そうだよ」  彼がやらない分、多めに準備を進めた。時間はまだあるが、追い込まれて慌てるのは嫌だ。 「きつねうどんは食べ飽きました」  彼は下を向き、うなだれた。 「帰りのフライトも一緒だよな。今度は君が好きなものを食

          代わってください

          DONNA

          「間違いない」  そう確信したのは高二の六月終わり。 「DONNAがウチのクラスにいる」  親友の三井四郎にだけ告げた。他の奴なら否定されてたと思う。 「凡が言うなら、そうだな」   そういう奴だ。 「凡は耳が異常に良い。パトカーの音だけでナンバーを当てるんだから」  確かに、パトカーは一台一台微妙に音が違う。それが聞き分けられる。  俺の名前は黒井凡平。だから、凡。  DONNAとは、顔を出さないシンガーとして、人気を博している配信者だ。  彼女は毎週火曜夜8時から雑談配信

          お題 コント『不動産』

          monogataryで書いて見ました。 良ければどうぞ https://monogatary.com/story/431305#story-detail

          お題 コント『不動産』

          運び屋 お題 氷河期

          「騙したな」  十年来の相棒が、運転席から銃口を、向けてきた。 「何が?」  俺は、素っ頓狂な声を出した。 「俺は聞いてないぞ」  うそつけよ。  俺が銃口向けたいくらいだ。  俺達の今回の任務は運び。とある書類をジュラルミンケースに入れて、隣国へ運ぶというものだった。  書類は何を書かれているかは知らない。知りたくも無い。しっかり金さえ貰えれば文句は無い。  相棒が運転し俺が乗っている車は、大きな坂を下って、国境を目指していた。  樹木も生えない、殺風景

          運び屋 お題 氷河期