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ニッポンのヒャッカ

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日本百貨店のテーマは”ニッポンのモノヅクリ”と”スグレモノ” 。 日本全国から集めた、モノづくりにこだわった職人の手による商品をお届けします。
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#伝統工芸

個性派ぞろい!布をまとった木目込人形の招き猫―ニッポンのヒャッカ第17回―

個性派ぞろい!布をまとった木目込人形の招き猫―ニッポンのヒャッカ第17回―

 エナメルの皮やスエード、プリント柄の生地が、ぷくっとした丸みのあるボディによく似合う。パッチリと丸くて大きな瞳は、愛らしさと癒しのまなざしそのもの。

大きな鈴はまるでアクセサリーのよう……。

 10センチほどの小さな体ながら抜群の存在感を放つその正体は、柿沼人形店が手がける江戸木目込人形の「招き猫」だ。

 そもそも招き猫といえば、陶器のつるんとした質感がほとんど。

 布でつくられた招き猫

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江戸っ子の粋を染めあげた「梨園染」の手ぬぐいーニッポンのヒャッカ第15回ー

江戸っ子の粋を染めあげた「梨園染」の手ぬぐいーニッポンのヒャッカ第15回ー



「うちはもともとゆかたの染め生地屋でした。そのため、うちの手ぬぐいの生地は他の手ぬぐいと違って、ゆかた仕様の、丈夫で目が細かい生地なのです」

 ここは日本橋。
 手ぬぐいとゆかたの製造卸の老舗で、「梨園染」と呼ばれる染物ブランドを手がける戸田屋商店だ。
 「梨園」とは歌舞伎界を示すことば。「梨園染」というネーミングは戸田屋商店のオリジナルだが、手ぬぐいとゆかたと歌舞伎が、いったいどんな関係が

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「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―

「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―



 東北の山間部に生まれた伝統こけしは、大きく11の系統に分けられ、地域ごとに特徴的な形や、胴模様が育まれてきたという。なかでも雪深い宮城県鳴子温泉は東北最大のこけしの産地で、「鳴子こけし」の里として知られている。

 その鳴子こけしの里で、先祖代々こけしをつくり続けるのが「桜井こけし店」だ。伝統的なこけしをつくる職人として活躍する五代目櫻井昭寛さんと、その息子で六代目の尚道さんに、話を伺った。

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職人技のコラボで咲いた「Cohana(こはな)」 ーニッポンのヒャッカ第6回ー

職人技のコラボで咲いた「Cohana(こはな)」 ーニッポンのヒャッカ第6回ー

 67年前、洋裁道具メーカーとして創業して以来、現在も東京・日本橋に本社を置く老舗の手芸道具メーカー。ヘビーユーザーのファンも多い株式会社KAWAGUCHIが3年ほど前に立ちあげたハンドメイドの道具ブランドが「Cohana(こはな)」だ。
 「Cohana」とは、富士山信仰にもゆかりがあり、日本神話に登場する女神「コノハナサクヤヒメ」に由来するという。日本の伝統美を象徴するブランドだけあって、「C

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江戸切子。“未完成”の流儀とは? ーニッポンのヒャッカ第5回ー

江戸切子。“未完成”の流儀とは? ーニッポンのヒャッカ第5回ー

「江戸切子は自由なのです」。
「自分たちが完成した時点では、未完成なのだと思っています」-。
 東京・江戸川区で伝統工芸・江戸切子をつくり続ける三代目。堀口切子の堀口徹さんが紡ぐ言葉は、まるで哲学者のようだと感じた。当たり前を疑問視する気づきを促してくれるような。
 ガラスの表面を削り、美しい文様を施す繊細な江戸切子。江戸時代後期の天保5年(1834)、江戸・大伝馬町のビートロ屋・加賀屋久兵衛が切

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