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ニッポンのヒャッカ

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日本百貨店のテーマは”ニッポンのモノヅクリ”と”スグレモノ” 。 日本全国から集めた、モノづくりにこだわった職人の手による商品をお届けします。
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2020年3月の記事一覧

カツオに惚れ込んだ夫婦が作る、沖縄伝統の滋養食「かちゅう汁」―ニッポンのヒャッカ沖縄編8―

カツオに惚れ込んだ夫婦が作る、沖縄伝統の滋養食「かちゅう汁」―ニッポンのヒャッカ沖縄編8―

汁碗に、たっぷりのカツオ節と宮古味噌を入れ、熱湯を注ぎ込む。
一気に箸でかき混ぜて、湯気がたちのぼる汁をすすれば、
身体はポカポカ温まり、なにやら力が湧いてくる。

かつて宮古島で、風邪を引いたときや疲れたとき、
「元気が出るように」と食べられていた「かちゅう汁」。

宮古島のとなりの伊良部島では、これに生卵を加えたものを
「勝利をつかみたい」ときに飲むと良いとされ、
「勝負汁」とも呼ばれていた、

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「何もない」がある島は、疲れた心を癒す島―ニッポンのヒャッカ沖縄編7―

「何もない」がある島は、疲れた心を癒す島―ニッポンのヒャッカ沖縄編7―

島民約200名に対して、およそ13倍の数の牛が暮らす沖縄の離島「黒島」。

自転車なら2時間ほどで島中をのんびり巡ることができる、外周12.6kmの小さな島だ。

日本の道100選にも選ばれた島のメインストリート「黒島港線」から見えるのは、どこまでも続く牧場の緑と、赤い瓦屋根と石垣の琉球民家。島には信号もなければ、交番もない。空を遮る大きなビルも、ネオンの看板も、深夜まで明るいコンビニも、話題のス

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「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―

「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―



 東北の山間部に生まれた伝統こけしは、大きく11の系統に分けられ、地域ごとに特徴的な形や、胴模様が育まれてきたという。なかでも雪深い宮城県鳴子温泉は東北最大のこけしの産地で、「鳴子こけし」の里として知られている。

 その鳴子こけしの里で、先祖代々こけしをつくり続けるのが「桜井こけし店」だ。伝統的なこけしをつくる職人として活躍する五代目櫻井昭寛さんと、その息子で六代目の尚道さんに、話を伺った。

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「宮古島の魅力を伝えたい」島の事業者がはじめた新たな取り組み―ニッポンのヒャッカ沖縄編6―

「宮古島の魅力を伝えたい」島の事業者がはじめた新たな取り組み―ニッポンのヒャッカ沖縄編6―

「みやこ下地島空港旅客ターミナル」がオープンした、2019年3月。

宮古島の居酒屋では、こんな会話が繰り広げられていた。

「観光客が増えるのは嬉しいけど、彼らに喜んでもらえるコンテンツを、島はちゃんと準備できるんでしょうか」
「せっかく来てくれても、宮古島の魅力がきちんと伝わらなかったら悔しいですよね」

その席にいたのは、宮古島で観光ツアーを主催する、株式会社プラネット・フォーの中村さんと、

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宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

見渡す限りさとうきび畑が広がる、宮古島の風景。
そんな風景の一角に、そのピラミッドは突如現れる。

カラフルなピラミッドの上に乗っているのは「ヤギ」。

ここ「しろう農園」は、宮古島で最大の面積を持つ、有機アロエ農園だ。
なぜアロエ農園に、このようなヤギピラミッドが鎮座しているのだろうか?

その理由を探ってみると、島を想う人々の、ある「願い」が見えてきた。

▲(左から)しろう農園 砂川さん、酒

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タオルの名産地の母たちが作るスタイーニッポンのヒャッカ第13回ー

タオルの名産地の母たちが作るスタイーニッポンのヒャッカ第13回ー

 瀬戸内海の美しい海を臨む愛知県今治市。「今治タオル」で知られる国内有数の高級・上質タオル生産地だ。市内にはメーカー、縫製、刺繍、染色など、さまざまなタオル産業に携わる企業や工場が集まり、100年以上の歴史の中で技術を育んでいた。
 そんな今治に暮らす母たち3人が集い、「今までにない今治発のブランドを作りたい!」
との思いで11年前に起業した会社がある。
 その名は「クレシェンド」。音楽の強弱記号

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