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精子・卵子の”冷凍保存”は、人生100年の重要な選択肢 〜結婚・出産・子育ての未来〜

精子の冷凍保存。

精子をマイナス196度で凍結し、保存することを精子凍結といいます。

精子凍結は半永久的に可能ではありますが、日本産科婦人科学会のガイドラインにより「ご本人の生存期間まで」と定められています。

つまり、何らかの理由でご主人様(精子の所有者)が亡くなられた場合は、凍結精子は破棄するそうです。

しかし、こんな事件もありました。

四国新聞2002年6月26日の報道によりますと、この女性は夫が死亡した後の1999年秋、医療機関に凍結保存していた精子を香川県内の医療機関に持ち込み、人工授精を希望。

何度か人工授精を行った結果、2000年夏に妊娠し、県外の別の病院で2001年5月に男児を出産しました。

人工授精を行う際には夫の両親の同意を得たとのことですが、医師は人工授精を行った時点では夫が死亡していたことを知らず、夫の同意を確認しないままこれを行いました。

この女性は夫を父親とした出生届が不受理となり、その後、家庭裁判所に夫の摘出子と認めるよう審判を起こしましたが、最高裁まで争ったものの夫の子どもとは認められませんでした。

このため、女性は夫の死後認知を求める裁判を地元の地裁に起こしました。

その判決です↓。

認知請求事件(高松高判平成16年07月16日)

1 人工受精の方法による懐胎によって出生した子の認知請求が認められるためには,認知を認めることを不相当とする特段の事情が存しない限り,子と事実上の父との間に自然血縁的な親子関係が存在することに加えて,事実上の父の当該懐胎についての同意が存することという要件を充足することが必要であり,かつ,それで十分である。
2 Xは,Aが,夫Bの死亡後に,冷凍保存していたBの精子を用いた人工受精の方法による懐胎によって出生した子であり,XとBとの間には自然血縁的な親子関係が存すること,Bにおいて,自己の死亡後にAが冷凍保存していた自己の精子を利用して懐胎することについて同意したことが認められ,他方,Xの認知を認めることを不相当とする特段の事情があるとは認められないという本件事実関係の下においては,Xの認知請求は理由がある。

なるほど、こんな事件が以前にあったのですね。

解決すべき問題はあるとしても、この医療行為(冷凍保存)は、とてもいい仕組みだと思います。

男性も生涯独身率が急増している現状で、元気な精子を残しておくことは、人生の選択として大事な意味があるのではないでしょうか。

また、近年、白血病や悪性腫瘍の治療が進歩し

・手術
・抗がん剤治療
・放射線

などで病気を回復させる技術がレベルアップしています。

そのいっぽうで、副作用により精子を作る機能が低下しやすい、ということも明らかになってきました。

一方、女性の卵子冷凍保存もあります。

そのメリットは、妊娠しやすい若い卵子を保存することで、万が一、高齢出産になってしまった場合でも、染色体異常の発生確率を低下させることが可能ということです。

私の周りにも、不妊治療の不成功や高齢出産のため妊娠を断念した人は結構います。

そういう意味でも、この医療行為はもっと一般的になれば、妊娠の確率は上がり、とても良いことだと思います。

男女ともに、婚期と妊娠期のズレがあるのですから、むしろ精子と卵子冷凍保存が、当たり前の世の中になることが望ましいと言えます。

そうすれば、少子化問題解決に向けて、大きく前進します。

人生100年の時代に、何歳で結婚・出産・子育てする(したい)かは曖昧になっています。

先日も、友人の周りの40代50代の独女が「全く結婚する意思がない」と宣言して、恋愛すらもめんどくさがっているという話を聞きました。

勝手な想像ですが・・・自分(高齢女性)の年令では子供を持てないために、”家庭”を持つ意味を感じなくなっているのではとも考えさせられる話でした。

時代の変化に対応する方法論として、婚活マーケットでも、もっと推奨されるべきです。

将来、婚活サイトのプロフにも、

「精子冷凍保存」

「卵子冷凍保存」

あり・なしの項目が追加される事を期待します。

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