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ちゃんとほめるって、難しい

【「ほめる」だけでいいのかな?】

子どもの頃は、ほめて育てられましたか?

ほめられずに育てられましたか?


100人いれば 100通り。

家庭によって違うし、世代によっても微妙に違うし、自分の性格によっても違うかもしれない。

教育の世界では、家庭教育も学校教育も「ほめて育てる」が主流である。ほめて育てると自尊心が育つ、自信のある子になる、やる気が出てくる…。

でも、「ほめて育てる」だけでいいのかな?

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ほめられたら確かにうれしい。

しかし、ほめられたときにうれしかった記憶しかない人は、少ないのではないだろうか。ほめられてもうれしくなかったり、居心地が悪かったり、ほめられている理由がわからなかったり。

そんな経験はないだろうか。

なぜそんな思いになるのだろう。

子どもの頃を思い出してみることにした。


【がんばったわけではない】

たまたま偶然に良い結果が出たとき。

心の中では、ラッキーと思っているが、がんばったわけではない。

こんなときは、ラッキーだったことを一緒に喜んでくれるくらいがちょうどいいのに、たまたまの良い結果をものすごくほめてもらったら何となく落ち着かない。

次も同じ結果を期待されたら困ってしまう。

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【そんなことないよって言えない】

「この子はいい子だ」って言われて居心地が悪くなることがある。

本当はいたずらっ子だし、意地悪もするし、わがままを言うこともある。で

もあんまりそんなことを知らない人に「いい子だ」と決めつけられると「期待に答えなくては」と思っておとなしくしてしまうことがある。

期待されるのはうれしいけれど、時には、ほめ言葉は人をコントロールする力をもつ。

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【見本にされる】

がんばったことをほめられることはうれしい。

けれど、他の人をがんばらせるために見本としてほめられるのは居心地が悪い。

ほめられているようで利用されているような気がする。


これらは子ども時代のことだけれど、大人になってからも似たようなことがある。大人になっても「ほめる」「ほめられる」という経験は続く。

その中で印象的なエピソードがある。

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【言葉は少なくても】

かつての職場にほめるのが上手な上司がいた。

その人に一言声をかけられると、うれしくなったりやる気が出たりしたことがある。
それがなぜだったのだろうと改めて振り返ってみた。

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目立たないが誰かがしなければならない作業を、誰も見ていないところでしていた日の退勤時。

その上司が「ありがとう」と一言声をかけてくれた。

仕事の成果に直接結びつくような作業ではないが、小さな取り組みをきちんと見ていてくれることがうれしかった。

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決して言葉数が多かったわけではないが、確実に「ほめられている」「認められている」という実感があった。

人をよく見ていたからこその一言だったと思う。


【結果と成果】

成果を期待される仕事があった。
成功させるためにできる限りのことをした。
しかし、結果は期待していたものとは違った。

残念がってくれる人、気を遣って声をかけずにそっとしてくれる人と、それぞれ配慮してくれている。

その中で一番心に響いたのは、「今回のあなたのたくさんの努力は報われなかったけれど、この努力はきっとこれからの役に立つと思うよ」と言ってくれた言葉だった。

結果も大切だけれど努力をきちんと評価してもらえたことがうれしかった。

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ほめて育てられた子が自己肯定感が高い、とは言い切れない。

大事なことは、どれだけほめるかではなく、何をどうほめるかが大事なのではないか。

大人も同じではないだろうか。

【何のためにほめているのか、誰のためにほめているのか】

人は時には、ほめられたくてがんばっていることもある。

それは、私のことを見ていてね、私のがんばりを知っておいてね、

という願いが込められている。


ほめるという行為は、それに対して、見ているよ、知っているよ、という応答だと思う。

たいていの場合、喜びを共有できるだけで幸せである。

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【何をほめるか】

勉強や仕事で、具体的な目標を目指してがんばることはよくある。

成績を上げるとか、志望校に合格するとか、仕事で目標の数値を達成するとか。
また、日常の些細なことでも、小さな目標を目指してがんばっていることはたくさんある。

どれも生活していく上で大事なことだと思う。

がんばっている人の周りにいる人は、結果だけではなく、取り組んでいるその人自身に目を向けるようにしたい。

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努力や工夫にこそ目を向けるべきだと思う。

人はその努力や工夫の積み重ねで成長していくものだから。


【大人になっても】

大人になると、いつも周りの人が見ていてくれる状況であるとは限らない。

そんなときは自分で自分をきちんと観察することも大切である。

努力や工夫を漏らさず全部知っていて、苦労や挫折も含めて一番理解できる人は、自分自身である。

がんばっている自分に目を向けることを忘れてはいけない。

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容易にほめるのはやめよう。

一人ひとりをよく観察して、その努力や工夫にも目を向けよう。

そして、ちゃんとほめよう。

自分のこともちゃんとほめよう。

そうすることによって、人は確実に成長していける。

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