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誰かがきっとそばにいる チョン・セラン「フィフティ・ピープル」

今回は、チョン・セラン「フィフティ・ピープル」(2018年、亜紀書房)についてです!

本作最大の特徴は51人の主人公の短編であること!
韓国のある架空の都市にある大学病院を中心に、そこで働く医者や患者あるいは、近所に住む人や外国人などなど。あらゆる人たち、それぞれの視点から描いた物語です。
こっちで出てきた誰かが、あっちにも出てきて。こっちでは良い人に見えたのに、こっちではちょっと違って。など、いろんな視点から作品世界をぐるっと見渡せるようになっています。

子供から老人、あらゆるセクシュアリティ、国籍の人々が登場するので、きっと誰もが好きなキャラクターを見つけることができると思います。

印象に残ったのは、最年長の主人公イ・ホの言葉。

私たちの仕事は、石を遠くに投げることだと考えてみましょうよ。ソ先生はスタートラインから投げているわけではないんだよ。私の世代や、そして私たちの中間の世代が投げた石が落ちた地点で、それを拾って投げているんです。

(p.449)

沁みました…。こんなふうに、心揺さぶるような話・言葉もあれば、韓国の社会問題を色濃く反映した重く暗い話だったり、笑ってクスッとできたり、ほろっとする話もあります。良い言葉が多過ぎて、本が付箋だらけになりました…(笑)最終章を読み終えた後、登場人物が愛おしくなっていること間違いなしです!

現実世界も、本作のように、いろんな人が身の回りにいることを気づかせてくれました。

文化や社会背景についても、解説にて詳しい説明があるので、韓国文学に馴染みがない方でも、チャレンジしやすい作品です!!ぜひ!


ここまで、お読みいただきありがとうございました!

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