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#0005 人材マネジメントの地図 私たちは何の話をしているのか?

なぜ地図を作ったのか

おつかれさまです。坪谷です。

私が人事コンサルタントとなり、クライアント企業の支援をはじめたころ、とても驚いたことがあります。それは同じ言葉を使っていても、企業によって、人によって、その意味がまったく異なるということです。

たとえば「人事制度」とは何でしょうか?

ある人にとっては、賃金を決める仕組みのことです。またある人にとっては、人材を育成する体系全体のことです。またある人にとっては半年に一度行われる人事評価のことです。コンサルティング以前に、そもそも会話にならない

そして外部のコンサルタントとだけではなく、「いま、何の話をしているか」が同じ組織の中でもまったく噛み合っていない。私はその恐ろしい現実に気がつきました。そして言葉の認識をあわせるための「中間物」が必要だと強く感じるようになったのです。

どうやって地図を作ったのか

下の図は、私が人事コンサルティングを行う際に、クライアントと何の話をしているのか、現在地を確認するために作った「地図」です。人事領域を話すために必要な要素を盛り込んでいくと、結果的にそれは「人材マネジメントの地図」となりました。

坪谷邦生『図解 人材マネジメント入門』より

私はもともと何もわかっていない人事担当者でしたので、企業人事の方々に理解できるものを作るのは得意でした。初学者だったころの自分にもわかるレベルまで噛み砕くだけなので、時間さえかければ簡単なことです。人事測定研究所編『トータル人事システムハンドブック(HRR)』の内容をモデル化し、コンサルティング実践の中で4年間かけて磨きました

拙著『図解 人材マネジメント入門』でこの図をご紹介したところ、多くの方に活用いただくようになり、やはり皆さんは地図がなくて困っていたのだと実感しました。

どんな地図になったのか?

人材マネジメントは大きく6つの要素からできており、要素同士は有機的に繋がっています。

人事評価

人事評価とは「やってもやらなくても同じ」という悪平等をなくすためのものです。等級に応じて人事評価を行い、評価結果が他の各要素へ影響していきます。

報酬

報酬とは賃金に限らず働くことによって得られるものすべてです。等級によって報酬の水準が設定され、人事評価によって実際の報酬が決定されます。

等級

等級とは人材マネジメントのコンセプトを具現化したものです。社員のランキングの基準であり報酬の根拠となります。

リソースフロー

リソースフローとは人材が入社してから退職するまでの一連の流れです。採用要件は等級に紐付けて設定します。異動配置では人事評価結果をもとに適材適所が検討されます。代謝もまた評価情報によって決定されます。

人材開発

人材開発とは一人ひとりの成長に対して企業が意志を持って行う投資です。ビジョンや戦略を達成するために必要な人材を育て、そしてビジョンや戦略を生み出す人材を輩出します。仕事の経験によって人は育つため異動が重要とな
ります。

組織開発

組織開発とは組織の効果を高める計画的な取り組みです。組織プロセスを変革し、人と人との関係性にアプローチします。

このように人材マネジメントの構成要素はお互いに有機的に結びついています。要素自体の質も大切ですが、結びつき方によっても人材マネジメントの効果は変わってきます。この「人材マネジメントの一貫性」についてはまた別のツボでお伝えしようと思います。

私のお伝えしたいことは以上です。

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