一般社団法人次世代基盤政策研究所(NFI)

新型コロナ感染症の蔓延をはじめ、激動する現代社会には、さまざまな問題が発生しています。 このNOTEでは、現代社会が直面している課題について、NFIのメンバーが、専門家の目でそれらのトピックについて書いた辛口のコメントを掲載いたします。

一般社団法人次世代基盤政策研究所(NFI)

新型コロナ感染症の蔓延をはじめ、激動する現代社会には、さまざまな問題が発生しています。 このNOTEでは、現代社会が直面している課題について、NFIのメンバーが、専門家の目でそれらのトピックについて書いた辛口のコメントを掲載いたします。

最近の記事

わが国の組織は世界で戦える力をもっているのか

一週間ほど前からアメリカに来ているが、先日、こちらの企業の社長からリーダーシップのあり方について話を聞く機会があった。そこで聞いた話しは、非常に面白かった。 ●海兵隊隊長に求められる資質 彼は、元海兵隊の軍人。海兵隊では特殊任務を担当していたとのことだが、当然、その内容は教えてくれない。家庭の事情で7年で海兵隊を辞め、実業界に入ったそうである。海兵隊は、最も危険だが、最も勇敢な軍の部隊。敵前上陸して、橋頭堡を築くのがミッションである。 そのような軍隊のリーダーに求められ

    • 東電福島第1原発処理水問題:科学的に正しいことを述べているのに、なぜ中国は厳しく反応するのか

      東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に対する中国の厳しい反応が問題となっている。科学的に安全であることが証明され、処理の過程などがすべて公開されているのに、なぜ中国は反発するのか。 かつて政治学を専攻していた者が、権力現象としての政治という切り口からこの問題を考えてみたい。もちろん、これがは一つの見方にすぎないことはいうまでもない。 この件、わが国では困惑の感があるが、これは明らかに政治的な行動であって、科学的な正当性を主張しても、強く抗議しても、相手に行動を変えさせる効

      • 人口減少の時代、医療の世界でこれから何が起こるのか?──(3)崩壊に向かう地域医療

        1.止まらない人口減少と収縮する社会 2.地方消滅の必然性 3.崩壊に向かう地域医療 4.VRHによる医療改革をめざせ 5.直面する課題と求められる意識改革 <本稿は、1週間くらい前に、未完のママ公開してしまいましたが、このたび完成しましたので、改めて公開します。> 3.崩壊に向かう地域医療現在の医療の提供体制の下では、急速に人口が減少する地域においては、患者の減少によって医療機関の経営が困難になり、診療科の閉鎖、病床の削減、医療機関の閉院等によって、地域で提供する医療の

        • 人口減少の時代、医療の世界でこれから何が起こるのか?──(2)避けられない地方消滅

          1.止まらない人口減少と収縮する社会 2.地方消滅の必然性 3.崩壊に向かう地域医療 4.VRHによる医療改革をめざせ 5.直面する課題と求められる意識改革 2.地方消滅の必然性前章で述べてきたことは、国全体の人口の変化であるが、人口減少の姿は地域によって大きく異なる。 東京都の渋谷駅前の交差点の写真がしばしば放映されているが、都市部では、人口減少の実感はない。若者も多いし、街は活気がある。しかし、人口減少の進む小規模自治体では事情は全く異なる。人口減少、とくに若者の減少

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        記事

          人口減少の時代、医療の世界でこれから何が起こるのか?──(1)人口減少の現実

          ●はじめに わが国の人口減少は、今後想像を超える速度で進み、それが止まる可能性はない。現実に、人口減少が急速に進む地方では、地域社会の様相が大きく変わりつつある。わが国の自治体の大半を占める小規模な市町村はどうなるのか。とくに、高齢化が進む地域で、住民生活に不可欠の医療はどうなるのか。 次世代基盤政策研究所(NFI)では、これまで人口減少の下でわが国の医療の質を維持・向上させるために、EUのEHDS(European Health Data Space)構想を参考にしつつ、

          人口減少の時代、医療の世界でこれから何が起こるのか?──(1)人口減少の現実

          戦後78年目の終戦記念日に思う

          ●戦争の意味が変わった  この季節になると、メディアは一斉に戦争の悲惨さを報じ、平和の重要性を強調する記事や番組を発信します。戦争で受けた一般国民の犠牲を忘れてはならない、それを後世に伝えることこそ、戦争を体験した世代のなすべきことと述べ、戦争の愚かさ、平和憲法を守ることの大切さを伝えようとしています。  私自身は戦後生まれですが、父は、私が生まれる前に出征し、1945年8月に今の北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で武装解除され、その後2年ほどシベリアに抑留されていました。義父も

          戦後78年目の終戦記念日に思う

          人口減少と医師の働き方改革──求められる意識と制度の改革

          ●医師の残業規制は、医療の質の低下をもたらす  2024年から、医師を対象とした労働時間を制限する働き方改革が実施される。それに伴い、医師の労働時間の制限が医療現場に与える影響が懸念されている。  しばしば指摘されているように医師の労働時間は非常に長く、医師の健康をむしばむという問題とともに、そのような労働によって支えられている医療のあり方も問われている。とくに、人口減少が進む地方では、医師不足が続いており、このまま労働時間を短縮したのでは、地域医療はまちがいなく崩壊へと

          人口減少と医師の働き方改革──求められる意識と制度の改革

          マイナンバーと監視国家論

          昨2022年10月、河野大臣が、2024年秋から、保険証の廃止、マイナンバーカードへの一体化を発表してから、それをめぐって混乱が生じている。 これで、ようやくわが国も世界の通常の国の仲間入りができるレベルになったかと思ったのだが、とくに、春以降マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐようになってからは、この決定の廃止を求める声もが大きくなっている。 マイナンバー制度とマイナンバーカードの使用とはそもそも異なる問題なのだが、名称を含め、一般の国民には理解しづらい仕組みが混

          マイナンバーカード問題──高齢社会が生む(?)非現実的な“ゼロリスク”の追求──

          今、問題になっているマイナンバーカード問題について、山本一郎氏が文春オンラインに、下記のような記事を書いている。 https://bunshun.jp/articles/-/64160... 同氏の、さすがというべきか、いつも変わらぬ絶妙の文体は読者を魅了するが、論旨は明解で正論がブレずに展開されていく。 とくに「行政改革は何をやっても高齢者からの評判が悪くなる」はそのとおり。何となく落ち込んでいく今の社会に不満をもち、残り少ない人生に不安をもつ高齢者が、現状変更に反対

          マイナンバーカード問題──高齢社会が生む(?)非現実的な“ゼロリスク”の追求──

          マイナンバーカード問題             ーなにが問題なのか?ー 

          今、批判的な世論が盛り上がっているマイナンバーカード問題だが、メディアの無理解というか、作為的な批判というか、そこにかなりの原因があると感じる。 この問題、第1に、現代社会では、多様な個人情報を紐付けすることによって、行政サービスや民間サービスが提供される。それを正確、迅速、効率的に実施するためには、異なるところに置かれている個人のデータを同一人物について結び付けるか、あるいはその者のデータであることを確認する必要がある。 名前や誕生日等で同一性を確認するのだが、同姓同名

          マイナンバーカード問題             ーなにが問題なのか?ー 

          マイナ保険証問題とマイナンバー制度

          地方で開業している知人の医師から、マイナ保険証のトラブルが多いため、紙の保険証も持参するように患者さんにお願いしているという話を聞いた。 クリニックで登録しても、被保険者の確認が容易にできないようだ。困った問題だが、早く改善して欲しいものだ。 そもそもこのオンライン資格確認の仕組みを導入すべきだということになったとき、これまでの保険証の形式だと、ミスや悪用が多く、それを防ぐことができない。 レストランや商店で、われわれがクレジットカードの有効性を簡単に確認できるように、

          マイナ保険証問題とマイナンバー制度

          NOTEでの発信再開のメッセージ

          NFIでは、一昨年まで、われわれの研究活動から得られた意見を、メンバーの個人的見解としてNOTEで発表してきました。 しかし、一昨年から、情報政策に関する研究、とりわけEUにおける医療データの利活用のための制度についての研究に集中したこと、また他のオープンな媒体に発表した見解に対する誹謗中傷を含む批判的な書き込みがみられ、それらが研究活動の妨げになる可能性があったことなどから、NOTEでの定期的な発表は中断し、われわれの意見発表は限られた方々を対象としたFacebook等で

          行政の現場とDX

          7月10日付の朝日新聞デジタルに掲載された「女児虐待の疑い、AIの「保護率39%」評価参考に児相が保護見送り」という記事が話題になっていた。読んでみたが、掲載したメディアは、何を主張したいのだろうか。私には、わからない。 AIの保護率39%という評価に頼って児童相談所(以下「児相」)が誤った判断をしたとして、県の責任を問いたいのか。それとも、そもそもAIなど使わず、職員が判断すべきだと主張したいのか。単に事実を報道したというには、欠落している情報が多い。 虐待やいじめ等の

          世界の医療情報の活用に日本は追いつけるのか? 自民党・政府における新しい制度の検討と欧州EHDS構想から我が国が学べること

          NFI事務局です。  自由民主党政務調査会 社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部 健康・医療情報システム推進合同PTをはじめ、内閣府規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策 ワーキンググループ」等、現在、国のいくつかの会議でヘルスデータ活用のための新しい制度創設に向けた議論がなされています。  政府での検討の様子については、昨日、以下のような報道もされています。 この記事中で、 とされている部分は、欧州委員会が、2022年5月に、COVID-19の経験を踏まえて公

          世界の医療情報の活用に日本は追いつけるのか? 自民党・政府における新しい制度の検討と欧州EHDS構想から我が国が学べること

          ChatGPT教?~生成系AIは人間に何を見せてくれているのか?~

          こんにちは、NFI研究主監の加藤です。noteでの投稿は久しぶりとなります。 2022年度はnoteでの発信をあまりすることが出来ませんでした。2022年度のNFIの活動はどちらかと言えば情報収集・分析といったインプットに力を入れました。2023年度は昨年度のインプットも活用しながら、アウトプットにも力を入れていきたいと考えています。シンポジウムやセミナーの開催など、NFIの活動にご期待ください。 さて、アウトプットといえば、昨今、ChatGPT(いわゆる生成系AI)が大

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          ついに動き出した欧州のデータスペース構想~European Health Data Spaceの設立~

          こんにちは、NFI理事の加藤です。 日本では大型連休中の5月3日、データ利活用に関する政策について非常に重要な情報が公開されました。 欧州委員会が以前から予告していたとおり、European Health Data Space (EHDS)の設立について、その具体的な内容を公表しました。私はこの公表を「ついに欧州のデータ戦略が具体的に動き出した」と捉えています。EHDSを単なるヘルスデータの一活用と切り捨ててしまうのは早計です。 上記のプレスでも欧州委員会副委員長のMa

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