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“環境負荷ゼロ”を実現するために必要な企業間連携とは?

こんにちは、NEXCHAINです。

NEXCHAINでは、様々な会員向けイベントを定期的に開催しています。
去る4月20日、会員の皆さんが集まり気軽にディスカッションする「オンラインサロン」を実施しました。

今回は、「“環境負荷ゼロ”を実現するために必要な企業間連携とは?」をテーマに、株式会社日立製作所様、栗田工業株式会社様にピッチいただきました。

これからピッチ内容をご紹介しますが、その前に少しだけ、この記事を読んで頂いている皆さんにも考えてみて欲しいことがあります。

“世界人口の約90%の人々は汚染された大気の下で暮らしており、多くの野生生物たちは自然状態よりも約100~1,000倍のスピードで絶滅の危機に瀕しています。
私たち人間が、健康のためにカロリーや成分表示を気にするように、地球のために環境負荷の低い商品を選択できるとしたら、あなたはどうしますか?“

今回のオンラインサロンも、そんな問いかけからスタートしました。もし少しでも興味を持っていただけたら、この後ご紹介する内容も、是非読んでみてください。



ご登壇いただいた各社ご担当者のプロフィール


株式会社日立製作所 西野瞬(にしの しゅん)様

西野 瞬(にしの しゅん)様
株式会社日立製作所 水・環境ビジネスユニット 経営戦略本部 グリーン戦略事業PJ
顧客企業やパートナー企業と環境にかかわる協創活動に取り組み、現在は、持続可能社会への転換のための事業開発に従事している。持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム分科会では議長を務める。


栗田工業株式会社 柳原 茂生(やなぎはら しげお)様

栗田工業株式会社 産業・社会インフラ本部CE事業開発部門事業開発二部
中長期のシナリオプランニング、戦略構築、及び企業間連携を通じた事業創出に携わる。持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム分科会では副議長を務める。

初めに、株式会社日立製作所様と栗田工業株式会社様が、社会全体の環境負荷低減を目指し議論する場として、NEXCHAINで立ち上げた持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム分科会(略称:SXPエコシステム分科会)の概要について、株式会社日立製作所 西野様よりご説明いただきました。


持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム分科会の概要(株式会社日立製作所 西野様)

2023年1月末に立ち上げたばかりの新しい分科会で、「持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム(Ecosystem for Sustainable Transformation Promotion)分科会 」の略称として「SXPエコシステム分科会」と呼んでいます。

サステナブルな社会を作っていくためには生活者が主役となった取り組みが欠かせませんが、そのためには、事業者が正確でリアルな情報を提供し、生活者の判断や行動をサポートする必要があります。

しかし、事業者が個社のみでそれを達成することは難しく、業界や市場を超えた事業者同士の連携が求められます。

この分科会では、環境負荷低減を計測・証明する基準やスキーム作り、また具体的なソリューションの連携やその効果の可視化・定量化を進めていきます。

そしてNEXCHAINには、「啓蒙・発信を通じた仲間集め」「データ連携」「法整備・規制緩和の提言」の3つの観点でのサポートを期待しています。

続いて、「具体的にどのようなことを目指しているのか」という観点で、栗田工業株式会社 柳原様よりご説明いただきました。


社会全体での環境負荷低減を促進するために(栗田工業株式会社 柳原様)

皆さんも、例えば清涼飲料等の食品のカロリーゼロ等の成分表示を気にすることがあると思いますが、それと同じように、「“環境負荷ゼロ”を選択することができる世界の実現」をコンセプトに掲げ、私たちは活動しています。

私たちはこれまで、個社で事業者向けの環境負荷低減に関わってきましたが、個社の活動だけではサーキュラーエコノミーの達成はできないと考えています。事業者の生産活動という“動脈”だけではなく、 生活者の消費活動という“静脈”も含めて検討することが重要だと考えています。

例えば、食品製造・加工業者が事業活動を通じて“環境負荷ゼロ”を目指そうとしたときに、それを阻む、少なくとも3つの壁があると考えています。

1つ目が、法律や規制等の制約により、やりたいことができない「ルールの壁」、2つ目が、サプライチェーン上の各事業者が個別に取り組んでいるため、互いに何をしているのかわからない「パートナーシップの壁」、3つ目が、環境負荷を低減するための有効なソリューションがわからない「テクノロジーの壁」です。

そして、それらの壁を乗り越えるには、デジタルの力を使って様々な情報を連携し、多様なステークホルダーを繋ぐプラットフォームが必要で、その中で、ルールや仕組みを作っていきたいと考えています。

弊社は水処理に関する事業を行っていますが、変化するお客様の要望に対して、自社だけで応えることは難しい現状があります。私たちのようなソリューションプロバイダーにとっても、すぐにパートナーを見つけられるようになれば良いと考えています。


“環境負荷ゼロ“を阻む”3つの壁“ SXPエコシステム分科会作成資料

続いて、私たちが実現したいことを3つご紹介します。

まず「“環境負荷ゼロ“のルール作り」としては、既に欧州で定められたルールに従うだけでなく、私たちのビジネスエコシステムに合ったルールを作っていくことを視野に入れています。

続いて「ビジネス機会の創出」としては、事業者とソリューションプロバイダーだけではなく、認証機関や金融機関を巻き込むことで、全ての関係者に対してビジネス機会を作り、相乗効果を生み出したいと考えています。

最後に「最終消費者への訴求」としては、自社の取り組みが認証機関や金融機関に認められることで、株主や消費者に対して価値を訴求する。それによって、消費者が正しい購買行動を選択するという行動変容を促すことを目指しています。

そんなコンセプトに共感いただける方々と、一緒に検討を進めていきたいです。


SXPエコシステム分科会の目指す姿 SXPエコシステム分科会作成資料


サプライチェーン全体での環境負荷低減のために(栗田工業株式会社 柳原様)

例えば食品製造・加工業者の場合、自社でどれだけ環境に配慮した事業活動を行っても、サプライチェーン上の他の事業者も同様に取り組まない限り、環境負荷の低減は実現できません。

こうした課題に対し、各事業者の環境に関する取り組み状況をサプライチェーン全体で把握することで、ボトルネックとなる部分を見つけ出し、それを解消するためのアクションを起こしたいと考えています。

複数事業者間の全体最適化 SXPエコシステム分科会作成資料

また、製造・加工業者は生産活動を重視するため、廃棄物処理は「早く」「安く」対応できる業者を求めます。わざわざ遠方まで廃棄物を運び、結果的に環境に負荷をかけていることもあります。

仮に、地域レベルで廃棄物処理計画や処理状況に関する情報、アップサイクルの状況が可視化され、共有されていればどうでしょう。その地域の事業者同士で繋がりが生まれ、イメージアップにも貢献できるのではないでしょうか。


地域の資源循環状況の可視化 SXPエコシステム分科会作成資料

そして私たちは、先程ご紹介した内容以外の観点でも、様々な業界の事業者に対し、ヒアリングを実施しています。

例えば、カーボンフリー商品の開発を通じて、直接的に消費者に価値を訴求することに関してヒアリングした小売り事業者からは、「上流の原材料や製造事業者は、環境に配慮した事業活動をしているのか?」という意見があり、特に外資系の小売り事業者からそのような要求が高まっていることがわかります。

また、脱炭素や廃棄物削減等のサステナビリティ関連データを可視化し、自社のランキングを明らかにする取り組みや、ソリューションプロバイダーや事業者が、環境負荷低減を目指す事業に対して投資しやすい仕組みに関して、必要性が高まっていることも明らかになっています。


最後に

登壇者よりピッチいただいた後、参加者も交えてディスカッションを行いました。
「環境負荷ゼロのために多くの企業や生活者の方々と協力していきたい」、「自分の選択が環境に貢献していることにつながると興味が出てくると思う」等、前向きな意見が活発に飛び交い、予定終了時刻を30分近くも延長する程の盛り上がりでした。


NEXCHAINでは、オンラインサロン等のイベントを活用し、自社以外の人と意見を交わし、新規事業アイデアをブラッシュアップすることができます。

今回ご紹介した持続可能な資源自律経済への移行促進エコシステム分科会での検討内容や、NEXCHAINでの活動にご興味のある方は、下記よりお問い合わせください。

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