百壁ネロ

ヒャッカベネロ。小説家。日本推理作家協会会員。第16回講談社BOX-AiR新人賞を受賞…

百壁ネロ

ヒャッカベネロ。小説家。日本推理作家協会会員。第16回講談社BOX-AiR新人賞を受賞しデビュー。著作「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社FICTIONS)「ゆびさき怪談」(PHP文芸文庫)「ごあけん」(講談社BOX)等。だいたい荒唐無稽な小説を書きます。

マガジン

記事一覧

固定された記事

10/17、約10年ぶりに小説の単著新刊が出ます。

タイトルの通りなのですが、若干お恥ずかしい話ではあるものの、小説家デビュー作である2014年刊の「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社BOX)以来、約10年…

百壁ネロ
9か月前
4

劇団やきそばグランギニョル旗揚げ公演「人生に向いてない」 (未完)

【一幕】 ▼一場 修学旅行一週間と一日前の夜(日曜)  明転。  和室の居間。  ちゃぶ台を囲んで危々子と父母が座っている。  危々子はセーラー服、父母は父母…

百壁ネロ
17時間前

黙示緑黄色野菜

 一本の人参が、人類を滅亡へと導いた。  いや、正しくは「ひとりの八百屋と、一本の人参が」と言うべきだろう。

百壁ネロ
22時間前

変身(高揚版)

 朝起きたら、あたしはカツカレーになっていた。  これは面白くなってきやがった……!

百壁ネロ
22時間前

小説家である僕の「偏愛小説50選」

「偏愛小説50選」というのがTwitterでありまして、(Xと呼ばない派です) いろんな読書家の方々が自分の愛する小説のタイトルと著者名をずらりとリスト化して紹介するとい…

百壁ネロ
5日前
3

変身(最強版)

 朝起きると、コブラになっていた。  やったー強いじゃん! 最高!

百壁ネロ
5日前

圧倒的全納感

 お金があって仕方がないので、とりあえず五百年分の年金を納めてきた。  まだまだあるので、同じ市に住む人の分も全部、五百年分納めてきた。  まだまだある。もう国民…

百壁ネロ
5日前

「令和ナイズド猟奇歌」Original by 夢野久作

ドグラ・マグラでおなじみの小説家・夢野久作の猟奇的短歌集「猟奇歌」。 非常に面白く魅力的ですが、ちょっと現代では炎上リスクが高いので、おせっかいですが、令和の世…

百壁ネロ
2週間前
4

百の人

「……ええっと、それで、夜道を歩いて行ったら、いや、やっぱり行かなかったんですけど、いや、行ったかな、まあそれはともかく、夜道といえば僕が思い出すのは……」  …

百壁ネロ
2週間前

鄒坂さんは嘘がきらい

「えっ、大きなカブって嘘だったの?」  どういう会話の流れだったかは忘れたけど、そのとき鄒坂さんはたいそう衝撃を受けていた。 「嘘っていうか、童話だよ」  僕が正…

百壁ネロ
2週間前

ごぶごぶ

 生きるか死ぬかは五分五分だった。  それだけじゃない。進めるか進めないか、解けるか解けないか、壊せるか壊せないか、吸えるか吸えないか、叶うか叶わないか。それら…

百壁ネロ
2週間前

R父

 山田さんとこの父さんは、キラ仕様らしい。  しかもデザイナーのサイン入りで、シリアルナンバー入り。  噂が本当なら世界に数人程度規模のめちゃくちゃレアな父親だ。…

百壁ネロ
2週間前

熟成

 カレーは一晩寝かせると美味いというが、実は死体も同じである。  僕は彼女の死体を、台所の床で一晩寝かせることにした。じっくりと。

百壁ネロ
4週間前
2

俺でも勝てる将棋入門

 昨年、将棋のルールが大幅に見直され、紆余曲折あった結果、最終的にほぼ腕相撲と同じものになった。  ……これなら、プロになれるかも知れない。  俺は勇気を出して、…

百壁ネロ
4週間前
2

四季が

 いつの頃からか、季節がひとつずつずれてしまった。夏はあけぼの、秋は夜。正直、さほど違和感はない。

百壁ネロ
1か月前

部屋キャン

 目が覚めると、知らない人が僕の部屋でキャンプを始めていた。わざわざテントを張って。  僕の部屋、六畳一間なのに。もっといい部屋あるだろ絶対。というか外でやれ。

百壁ネロ
1か月前
10/17、約10年ぶりに小説の単著新刊が出ます。

10/17、約10年ぶりに小説の単著新刊が出ます。

タイトルの通りなのですが、若干お恥ずかしい話ではあるものの、小説家デビュー作である2014年刊の「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社BOX)以来、約10年ぶりとなる単著の新刊が刊行される運びとなりました。

『轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件』
というタイトルです。
星海社さんから、10月17日の発売です。

持ち前の運だけですべてを解決する「轟運探偵」が、助手の女子高生

もっとみる
劇団やきそばグランギニョル旗揚げ公演「人生に向いてない」 (未完)

劇団やきそばグランギニョル旗揚げ公演「人生に向いてない」 (未完)

【一幕】

▼一場 修学旅行一週間と一日前の夜(日曜)

 明転。
 和室の居間。
 ちゃぶ台を囲んで危々子と父母が座っている。
 危々子はセーラー服、父母は父母らしい格好である。

危々子 ……修学旅行、行っていい?
母   いつ?
危々子 来週。来週の明日から、三泊四日。
母   どこ?
危々子 京都。
母   なるほどねえ。危々子、京都は鬼が出るんだよ。
危々子 え?

もっとみる

黙示緑黄色野菜

 一本の人参が、人類を滅亡へと導いた。
 いや、正しくは「ひとりの八百屋と、一本の人参が」と言うべきだろう。

変身(高揚版)

 朝起きたら、あたしはカツカレーになっていた。
 これは面白くなってきやがった……!

小説家である僕の「偏愛小説50選」

「偏愛小説50選」というのがTwitterでありまして、(Xと呼ばない派です)
いろんな読書家の方々が自分の愛する小説のタイトルと著者名をずらりとリスト化して紹介するというムーブメントなんですが、僕も読書家というほどではないですが小説家ですので、自分の「偏愛小説50選」をやってみました。(まだ作成途中ですが)

というのが、全部ウソなんですね。
上に貼ってる25の小説のタイトル(と著者たち)は、全

もっとみる

変身(最強版)

 朝起きると、コブラになっていた。
 やったー強いじゃん! 最高!

圧倒的全納感

 お金があって仕方がないので、とりあえず五百年分の年金を納めてきた。
 まだまだあるので、同じ市に住む人の分も全部、五百年分納めてきた。
 まだまだある。もう国民の分、全部払っちゃおうかな。

「令和ナイズド猟奇歌」Original by 夢野久作

「令和ナイズド猟奇歌」Original by 夢野久作

ドグラ・マグラでおなじみの小説家・夢野久作の猟奇的短歌集「猟奇歌」。
非常に面白く魅力的ですが、ちょっと現代では炎上リスクが高いので、おせっかいですが、令和の世の中に合うように優しい味わいに直してみました。

※元歌はすべて青空文庫からの引用です。

殺すくらゐ 何でもない
と思ひつゝ人ごみの中を
濶歩して行く

殺すくらゐ 何でもない
なんて思わない人の命は
かけがえがない

ある名をば 叮嚀

もっとみる

百の人

「……ええっと、それで、夜道を歩いて行ったら、いや、やっぱり行かなかったんですけど、いや、行ったかな、まあそれはともかく、夜道といえば僕が思い出すのは……」
 百物語の百話目をうっかり担当することになってしまった僕は、今、必死に話を伸ばしている。だって百話目を語り終えたら怪異が現れてしまうから。怖いじゃん。

鄒坂さんは嘘がきらい

「えっ、大きなカブって嘘だったの?」
 どういう会話の流れだったかは忘れたけど、そのとき鄒坂さんはたいそう衝撃を受けていた。
「嘘っていうか、童話だよ」
 僕が正すも、
「作り話ってことでしょ? じゃあ嘘じゃん!」
 鄒坂さんはそう言って、怒りに震え始めた。ええー、そんなに?

ごぶごぶ

 生きるか死ぬかは五分五分だった。
 それだけじゃない。進めるか進めないか、解けるか解けないか、壊せるか壊せないか、吸えるか吸えないか、叶うか叶わないか。それらもすべて、五分五分だったのだ。

R父

 山田さんとこの父さんは、キラ仕様らしい。
 しかもデザイナーのサイン入りで、シリアルナンバー入り。
 噂が本当なら世界に数人程度規模のめちゃくちゃレアな父親だ。ショップでの買取価格もかなり高いと思う。
 いいなあ……私の父さん、コモンだもんなあ……。

熟成

 カレーは一晩寝かせると美味いというが、実は死体も同じである。
 僕は彼女の死体を、台所の床で一晩寝かせることにした。じっくりと。

俺でも勝てる将棋入門

 昨年、将棋のルールが大幅に見直され、紆余曲折あった結果、最終的にほぼ腕相撲と同じものになった。
 ……これなら、プロになれるかも知れない。
 俺は勇気を出して、将棋部部室の扉を叩いた。

四季が

 いつの頃からか、季節がひとつずつずれてしまった。夏はあけぼの、秋は夜。正直、さほど違和感はない。

部屋キャン

 目が覚めると、知らない人が僕の部屋でキャンプを始めていた。わざわざテントを張って。
 僕の部屋、六畳一間なのに。もっといい部屋あるだろ絶対。というか外でやれ。