百壁ネロ

ヒャッカベネロ。小説家。日本推理作家協会会員。第16回講談社BOX-AiR新人賞を受賞…

百壁ネロ

ヒャッカベネロ。小説家。日本推理作家協会会員。第16回講談社BOX-AiR新人賞を受賞しデビュー。著作「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社FICTIONS)「ゆびさき怪談」(PHP文芸文庫)「ごあけん」(講談社BOX)等。だいたい荒唐無稽な小説を書きます。

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10/17、約10年ぶりに小説の単著新刊が出ます。

タイトルの通りなのですが、若干お恥ずかしい話ではあるものの、小説家デビュー作である2014年刊の「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社BOX)以来、約10年ぶりとなる単著の新刊が刊行される運びとなりました。 『轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件』 というタイトルです。 星海社さんから、10月17日の発売です。 持ち前の運だけですべてを解決する「轟運探偵」が、助手の女子高生探偵「努力探偵」と共に、孤島の館で起きる連続〝探偵〟殺人事件に挑むという、特殊設

    • 「無限部活学園」あらすじ【週刊少年マガジン原作大賞 連載部門】

      部活動が盛んな私立馬辺留坂高校には、この世にあるものもないもの含めて「すべての部活」が存在している。言い換えれば「無限」に部活が存在するのだった。新入生の一ヶ原三々音は、なにか部活に入りたいと意気込んでいたものの、部活の数が多すぎて決められない。「部活動総合管理委員会」の委員長である先輩・十色七の助言を受けながら、『蟹部』『演じて劇をするの大好き部』『ぬぎゅ花部』など、無限に存在する謎の部活を見学し、大いに悩みながら、奇妙な学園生活を過ごすのだった。 連載作品本編:1話目

      • 「無限部活学園」本編 第3話

        「……ほんとに、そろそろ部活決めたいなあ……」  机に頬杖をついて、ぼんやりと独り言を漏らしてしまう。  窓の外は、月が綺麗な夜の空。  そして私の目の前には、一枚の紙――入部届。  入学から一ヶ月がたった五月の放課後……というか、夜。私は今日も今日とて、巨大な部室棟の一室に宿泊している。ごはんは『定食部』で食べさせてもらって、お風呂は『銭湯部』で入らさせてもらって、パジャマは『寝間着部』で貸してもらって、『ビジネスホテル部』が作ったこのビジネスホテルの一室さながらの部屋で寝

        • 「無限部活学園」本編 第2話

          「ねね、三々音、部活なにに入った?」  入学からちょうど一週間がたった、木曜日の放課後。  数少ない同じ中学出身の友だち、千子ちゃんが廊下で喋りかけてきてくれた。  ショートカットの髪とサバサバした物言いが特徴的な自他共に認めるスポーティー女子の千子ちゃんは、なにやら運動部に向かう途中らしく動きやすそうなスポーツウェアに身を包んでいて、スポーティーさ七割増し(私の体感比)って感じだ。うーん、かっこいい。  まあ、それはそれとして……。 「ええっとね、ええっと……実は、私」ちょ

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        10/17、約10年ぶりに小説の単著新刊が出ます。

          「無限部活学園」本編 第1話

          《部活動は“無限大”》  私立馬辺留坂高校は、部活動が非常に盛んです。  生徒の部活動加入率はほぼ100パーセントで、全国大会常連という実力派のクラブも多数ありますが、何より我が校には、すべての部活動が存在します。  すべてとは「この世に存在するすべて」であり、さらに「この世に存在しないものも含めてすべて」です。  言い換えれば、我が校には部活が“無限”に存在するのです。  あなたが頭に思い描いた理想のクラブや、想像だにしなかった個性的なクラブと出会って、ぜひ“無限大”の青春

          「無限部活学園」本編 第1話

          らだけ

          「ら」 「らー」  言葉から、むしろ“ら”以外が抜けてしまった結果、人々は“ら”だけを喋り、“ら”でコミュニケーションをするようになった。不自由そうに見えて、慣れたら意外とこれが便利。 「らららー」 「ららー」 「らー!」  という具合に、街角で繰り広げられる『おーい』『おー』『ひさしぶりー!』ぐらいの感じのたわいない日常会話も、やたらとごきげんなミュージカル風になって、なんだか聞いてるこっちまで楽しくなってしまう。僕は足取り軽く鼻歌混じりで路地裏に入る。 「ら」僕が言うと、

          分かち合う、知。

           最悪なことに、図書館から借りた本を汚してしまった。  ああ、いくら美味しいからってトマトジュースを水鉄砲に入れて自分の口目掛けてピシュピシュ撃ち飲みしながら読むんじゃなかった(ほんとにこの飲み方で飲むと信じられないくらい美味しいんだよトマトジュースって)。  それはともかく、本を汚してしまった以上、きっちり責任を取るしかない。僕は身辺整理をして、恋人、親友、家族、行政窓口に次々電話を掛けて別れを告げたり謝罪して、ふうと一息、右手に汚れた本を持ち、左手にはこういう事態のために

          分かち合う、知。

          「とまらない悲しみと悲しみと悲しみと悲しみ」あらすじ【ジャンププラス原作大賞 読切部門】

          主人公の七月にできた彼女は「悲しいこと」が好きだった。ある日の放課後、彼女から告げられた「あなたの悲しむ顔が見たい」という願いを叶えるべく、七月は自分が何をされたら、自分のまわりに何が起きたら悲しいかを答える。しかし、彼女の過剰さゆえにどう答えても絶対に悲惨な結末になってしまい、七月は困惑するのだった。 読切作品本編:

          「とまらない悲しみと悲しみと悲しみと悲しみ」あらすじ【ジャンププラス原作大賞 読切部門】

          「とまらない悲しみと悲しみと悲しみと悲しみ」本編

           彼女ができた。  彼女は悲しいことが好きだった。  笑うより思いきり泣くことのほうがストレス解消効果がある、と何かで聞いたことがある。それを知ってか知らずかは知らないけど、彼女は悲しい涙を流すのが大好きだった。  付き合って初めてのデートは映画。事故で死んだ飼い主の帰りをずっと待ち続けた子犬(ミニチュアダックス)が、主人を見つけようとあちこち旅して最終的に死んじゃう話だった。彼女はわんわん泣いた。湧き水みたいだった。泣きながら、口元は少し微笑んでいた。  次のデートも映画だ

          「とまらない悲しみと悲しみと悲しみと悲しみ」本編

          「サーカスが来て頬が腫れた話」あらすじ【ジャンププラス原作大賞 読切部門】

          主人公の七月は同級生の佐藤優子から「家庭の事情でサーカスに売られた」と聞かされ、日曜開催のサーカスのチケットを貰う。その後、空中ブランコの練習に付き合ってほしいと頼まれ、放課後、佐藤と共に近所の公園でブランコを漕ぐ日々を送る七月。そして日曜、半信半疑で会場の場所へ向かうと、そこにはサーカスのテントが立っており中では様々な演目が行われていた。夢かと疑う七月を後目に大トリで佐藤が登場し、見事に空中ブランコを成功させる。終演後、いまだに夢かと疑う七月のもとに佐藤が現れ、サーカス団と

          「サーカスが来て頬が腫れた話」あらすじ【ジャンププラス原作大賞 読切部門】

          「サーカスが来て頬が腫れた話」本編

          「私、サーカスに売られちゃったんだ」  朝のホームルーム前。隣の席の佐藤さんがにこにこしながらそんなことを言うので僕は、 「へえ」  と軽く返した。我ながらずいぶん適当な相槌だと思ったけど、佐藤さんはなぜか嬉しそうに笑っていた。笑う白い歯や頬に窓から日が射して余計嬉しげに見えた。 「七月くんって彼女いるの?」  ぶしつけな質問に戸惑いながらも、いないのでここは見栄を張らずに、 「いないよ」と答える。 「じゃあ一枚だけあげるチケット。今週の日曜五時からだから」  佐藤さんは薄汚

          「サーカスが来て頬が腫れた話」本編

          AI百景

          世の中に転がる様々な既存の文章を入力し、AIに無理やり続きを書かせるという試みです。 小説などの自由な創作物ではなく、レシピやニュースなど、文章として明確に「誤り」「不自然」が存在するテキストを中心に選びます。 ※「AIのべりすと」を使用しています。 ※本文中の太字部分がAIが作成した箇所です。 1:レシピ(ハンバーグ) 玉ねぎをみじん切りにし、レンジで4~5分加熱するか、フライパンで炒める。 ひき肉に塩を加え粘りがでるまでよく混ぜ、ハンバーグの材料すべてを入れて手早く混

          AI羅生門

          ※「AIのべりすと」を使用させて頂きました。 ※本文中の太字部分がAIが作成した箇所です。 1:羅生門を全文打ち込み、AIに続きを書かせる。  ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。  広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。

          【小説】次元の狭間VS生活委員会の僕

          「ねーねー七ノ木、次元の狭間に落とし物しちゃったんだけど取ってきてー」  休み時間。同じクラスの柚子見さんが笑顔でそんな依頼を持ってきた。  僕が所属する生活委員会は確かに学校内での落とし物全般についての相談を受けるのが仕事のひとつなんだけど、だからって次元の狭間に落としちゃった物はさすがにどうしようもない。ので、 「さすがにどうしようもないよ」 と素直に返す。 「そっかー、どうしようもないかー。えー困ったなー」  柚子見さんは、むうっと頬を膨らませて腕を組み、ふわっと髪をな

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