百の人

「……ええっと、それで、夜道を歩いて行ったら、いや、やっぱり行かなかったんですけど、いや、行ったかな、まあそれはともかく、夜道といえば僕が思い出すのは……」
 百物語の百話目をうっかり担当することになってしまった僕は、今、必死に話を伸ばしている。だって百話目を語り終えたら怪異が現れてしまうから。怖いじゃん。

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