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自己演出と地獄、生きづらさの話

女性は男性より他人からどう見られるかを気にする、なんてことはよく言われると思います。お化粧をするから男性より鏡を見る時間が長いからかなあとか勝手に考えるんですけど。
ボルドーよりピンクのリップをつけた方が可憐な印象になるよね、チークはこの位置につけた方が色気が出るかな、みたいにメイクって1個の演出の役割があるのかなあって。
他人にどう見せるか、どう伝えるかって、自己演出だと思うんです。

演出のはじまり

私は高校3年間ずっと演劇をやっていました。裏方も少し任せてもらうことはあったのですが、基本的に役者として舞台に立っていました。
演劇って、演出が作品の要なんです。作品の音響や照明をはじめ、私の芝居や役作り、作品のすみからすみまですべてにおいて演出がなされるんです。
役者の一挙一動、すべてに意味がある。台詞の言い方はもちろん、体の角度や動かし方、感情の移り変わりやそれを表現する度合い、すべてに意図があります。
それを3年間やってきた結果どうなったか。
常に自分の見え方を意識するようになるんです。服、メイク、話し方、視線の動かし方に身振り手振り、こうやったからこう見えたかな、こう思われたかな。息をするようにそんな事を気にするようになりました。
自分に演出をつけるのが癖づいているんです。だから自己演出って、私の人生の軸のひとつではあるんですけど、これができるといいこともあれば悪いこともあると感じてます、現在進行形で。

自己演出できてよかったこと

言い方を選ばずに言うと、とにもかくにも印象操作ができる!笑
身だしなみも当たり前のように気を遣う習慣があるので、身につけているものを褒められることは多いです。
あと、私は身長が低くてちんちくりんにみられちゃうことも昔はおおかったんですけど、そのコンプレックスから自分が何を身につけたらどう見えるかということに対する探究心が強くなりました。そのおかげで、今では実際よりスタイルが良い印象を持たれることも多いです。これは結構、人生得してるなって思います。
他人にどう見られるか=他人にどう見せるか
これは私的にかなり真理。私はポートレートやランジェリーフォトを撮ってもらってInstagramに載せているのですが、その写真を見てくれている人と実際に会うとよく「もっと背が高いと思っていた!」とかなりの確率で言われるんです。それも、スタイルがよく見えるための工夫が効果を発揮しているんだと思います。

見た目以外の面だと、話し方を使い分けるのも得意です。
声の出し方、声音、速さ、言葉遣い、間合い…。
それぞれをどの程度にするかによって相手が自分にどんな印象を抱くのか。大人びていて信頼できそうと思うのか、親しみやすくて愛嬌があると思うのか。使い分け、というか多分演じ分け。
そういうのをしれっと、あたかも素のようにやっちゃう。幅広いタイプの人と円滑な関係を築くためには必要なスキルのひとつだなあと感じることは多々あります。

もちろんいいことだけじゃない

過去の記事でも書いたことがあるんですけど、ほんとに私はいけしゃあしゃあと思ってもないことを口にしてしまうんです。その結果、他人からの評価と本当の自分にめちゃくちゃギャップが生じる。
ギャップの先に何があると思いますか?

孤独です。

自己演出っていえば聞こえはいいんですけど、ハッタリなんですよね。実際の自分よりよく見せるスキル。
1度人前で使ったハッタリは貫き通さなきゃ行けない、演出を続けなきゃ行けない。
1度幕が上がったら終演まで中断することができない演劇のように、人生でもそんな簡単には役を降りることはできません。
自己演出をして生き続けること、それはまさに”Life is playing(人生こそ演劇である)”の体現です。
どんなに褒められてもそれはホントの私じゃないんだけどなあって思うし、どんなにけなされても本当はこう思ってるのになってなる。
周りにどれだけの人が増えても、なぜだか私の本質だったり、いちばん強く思ってることは伝わらなくて、人が増えれば増えるほど孤独を感じる。
ウソだってハッタリだって貫き通せば”ホント”になります。それを信じて、人生の重い緞帳が降りるまで、自分が自分に割り振った配役を全うするんです。
自己演出の4文字が、こんなに重い意味を持っているなんて気がついた時には、物語は中盤に差し掛かっていました。

自己演出なんてできなくていい

見せ方、あるいは魅せ方が上手で損をすることはないと思うんです。だけどちょっと隙がある方がいいです、絶対に。
ああ、この人も少し背伸びをしているんだな、努力をしているんだなって思わせるくらいの綻びがある方が丁度いいです。
極論、見栄なんてはらずに自分の弱さを認めて素直に生きた方が圧倒的に上手に生きれると思います。
自己演出ができる方が一見器用に生きているようにみえるけれど、不器用な生き方をしているだけです。

自分の弱さも脆さもさらけ出して、下手な脚色なんかせずに生きられたらどんなにいいだろうかと心の底から思います。
家族もいて、友人もいて、先輩や上司がいて、自分を頼りにしてくれている人がいて。なのに孤独で、寂しくて寂しくてしょうがなくて涙が発作的に溢れてくるんです。
私はいま、自分の心の綻びを受け入れない限り、この孤独から抜け出せないと思っています。
自分の中の演出家の出番を減らすだけで、きっと見える世界が変わってくるはず、そう信じています。

21年間生きてきて、素直に生きる難しさと大切さを誰よりも経験して学んできている自信があります。きっと、人生の風向きはいつだって変えられる。年末の冷たい風を頬で感じながら、そんなふうに生き方を考える私のお話でした。

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