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留学中に摂食障害【バレエで植え付けられた価値観】【痩せは正義】

私が摂食障害、拒食症と診断されたのはアメリカ留学中。しかしアメリカに来てから摂食障害になったわけではない気がする。


価値観の植え付け、バレエ

私は4歳の時にクラシックバレエを始めた。遊びで開脚をするほど体が柔らかく、それを見た幼稚園の先生に勧められた(らしい)。
近所にある小さなバレエ教室に通い始めた。初めは幼稚園の子が集まるクラス、そしてすぐに小学校に上がったのでバレエ教室でも小学生クラスに入った。
教室は過去に有名バレエ団に入団した方がいたようだが、基本的にバレリーナとして就職したりコンクールに出る人はおらず趣味程度で習っている人が大半だった。3歳から上は子供のいる大人まで年齢はさまざま。
しかしバレエはバレエ、レッスン中の身だしなみや体型はしっかり注意された。髪の毛はシニヨン、衣装はタイツにレオタード、バレエシューズとトウシューズ。教室の壁は鏡張りになっていて常に自分の動き、身体とにらめっこ。
タイツにレオタード姿というのは、身体のラインが露骨に出る、かつセクハラで逮捕されない究極の衣装だと思う。そんな格好の人が同時にレッスンするのだから、いやでも他の人と自分の体型を比べてしまう。
この人は太ももが太い、この人は甲のしなりが素晴らしい、この人は脚全体がまっすぐで細い…

バレエの動きの美しさやスキルもまたしかり。脚を上げた時のバランス感覚、脚のしなり、腕の動かし方… 身体を上手く使えている人の動きというのは見ていてほれぼれする。

それでも気になるのはやはり体型。どれだけ動きがなめらかでも、どれだけ脚が高く上がっていても脚や腕が太いと「私はああなりたくない」と思っていた。


ある日レッスン中に先生がある生徒に向かっていらいらした声で言った。「もっと脚を伸ばして、中途半端にしてるからどんどん太くなるのよ」
私は自分が言われていないにも関わらずすごく怯えていた。こんな人前で体型を怒られるなんて。太いって言われるなんて。

太ったら自分の価値はなくなる。太ったら怒られる。太ったらばかにされる。

そんな固定観念が自然と植え付けられていった。


食事制限、でもお菓子は食べる

バレエは小学校を卒業するころに辞めたが、それからアメリカの大学に入学するまで私の食事はあまり変わらなかった。

毎日の食事(朝、昼、夜)は、おかずは食べるがその分お米はお茶碗の半分も食べない。炭水化物は太る、悪だ、と信じていた。この習慣が始まったのは小学生のころ。バレエを一緒に習っていた友達とそのお母さんはすごーーーく細い。だれが見ても細い。いつかその友達と話していたとき、彼女のお母さんはお米をほとんど食べないと言った。そして私は「そうか、お米を食べなければ太らないのか」と信じた。しかしお米を食べないとお腹は一杯にならない。代わりによくお菓子を食べていた。クッキーやチョコレートが大好きで、ほぼ毎日食べていた。太らなかったのは消費カロリーが多かったのだろう。


アメリカ、拒食症

いよいよアメリカの大学へ。アメリカといえばチーズたっぷりのピザ、ハンバーガー、サンドイッチ、奇抜な色のケーキなどありえないほどのカロリー量の食べ物。私は絶対に、何としてでも太りたくなかった。太ることは自分の存在価値を失うことと同じなのだから。
幸い大学の食堂にはサラダバーがあり、私の食事はそのコーナーで完結した。
朝食は白湯、昼食はミニトマト3個、きゅうり3切れ、レタス少し、夕食はサーモン、ほうれん草少し、ミニトマト3個  など。
じゃがいもやかぼちゃ、にんじんなど糖質の高いものやパン、ピザなどの小麦粉製品、炭水化物は極力取らなかった。もちろんお菓子なんてもってのほか。
友達に「それだけ?」「もっと食べなよ」と言われても「これだけで十分だから」と絶対に自分のルールを曲げなかった。
運動していればもう少し食べたかもしれないが、大学では寮に住み移動は寮と教室間の5分程度。運動していないから食べてはいけない。食べ過ぎると太る。
そう考え、太ることに怯え、食事の量はますます減っていった。


留学して初めての冬、私の身体はがりがりで、あきらかに病気か何か患っていそうな、見るに堪えられなかったが、私はそれでも自分はおかしいとは思わなかった。


しかしすでに体の不調は出ていた。
・階段で脚が上がらない、上れない
・顔の筋肉がなくなって上手く笑えない
・肌ががさがさ、しわが目立つ
・髪の毛は毎日ごっそり抜け落ちた
・脂肪がなさすぎて長時間椅子に座ると骨が当たって痛い

単に寒さにやられたんだろうと考えつつもこの身体のままでは家族に会うのは厳しいか… と思ったりしていた。



気が向いたら続きを書く、かも。

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