おやすみ、フジファブリック
大好きなバンド、フジファブリック。
春夏秋冬を歌う「桜の季節」、「陽炎」、「赤黄色の金木犀」、「銀河」の4部作シングルたち。
音楽が大好きな友達と互いにCDを貸し借りしていたある日、わたしはフジファブリックを知りました。
「桜の季節」
別れの歌。なるべく重い気持ちを抱かないように、少しでも明るく別れを迎えようとしているはずなのに、どんどん暗く息苦しくなる。前向きな別れはなく、どんな別れも辛いという現実。桜が咲き散る頃ではなく、「桜が枯れた頃」。
「陽炎」
夏の暑さをしっかり感じるのに、いつの間にか涼しい。体は夏を楽しんでいるはずなのに、気持ちは陽炎のようにゆらゆら不安定に揺れる。夏に、過去や誰かを振り返ってもあまり苦しくないのは何故だろう。フジファブリックの春夏秋冬ソングの中で「陽炎」が一番好きかもしれない。
「赤黄色の金木犀」
いつの間にか秋。わたしは春夏秋冬の中で秋が一番苦手で、夏の騒々しさが秋になるにつれて、どこもかしこも静まり返っていくのがとても寂しく感じる。そこに自分ひとりだけ取り残される焦燥感にたまらなくなる。でも、この曲を秋に聴き歌うと秋が少し楽しくなれた。
「銀河」
冬の変態(ほめ言葉)。怪しくて不気味だけれど、ついつい一緒に踊り出したくなるMVの銀河ダンス。どんなに凍えるように寒くても、あなたと一緒に飛び出せば、ノリノリで踊り切れるはず。
ということで、大好きな春夏秋冬4曲のMV紹介と感想を添えてみました。
わたしがフジファブリックの音楽に、夢中になるのに時間はかかりませんでした。本当にあっという間でした。楽しいのにどこか楽しめきれていなくて、そこから繋がる切なくてどこか寂しい世界。
ライブやフェスへ参加し、何度もフジファブリックを見ていました。最初から最後までずっと楽しくて楽しくて、はしゃいで踊って見ていました。当時のわたしは、くそったれな日々への生きる元気をもらっていました。
しかし、ある年のクリスマスイブ…何の前触れもなく志村が亡くなり、フジファブリックは4人から3人へ。
あまりに突然すぎる別れにフジファブリックを知る誰もが悲しみに暮れ、ただひたすらに「もういない」という現実を受け入れられませんでした。
『おいおいクリスマスイブに逝っちゃうなんて何てことしてくれてるんだ、「さよなら」はまだまだ早すぎる、これ嘘だよね?冗談だよね?』と感情がしっちゃかめっちゃかになりました。今もこの気持ちはあまり変わっていませんが。
本当に大好きな4人の形だったからこそ、突然すぎる別れが悲しいのはもちろんだけれど、ただひたすらに寂しかったです。でも、それは今も何も変わらず、寂しいままです。
その日からフジファブリックは解散してしまうのではないか、とよく言われるようになりました。でも、解散しませんでした。だから、3人のメンバー(山内さん、金澤さん、加藤さん)たちに、改めて「ありがとう」を。
あの日以来、わたしは誰かの「代わり」はいないのだと強く思い知った気がします。志村の代わりはいないし、他のメンバーたちの代わりもいないし、フジファブリックの代わりはいません。
そうして、いつの間にか2023年・春。
フジファブリック×フレデリックのコラボ楽曲「瞳のランデヴー」は、とても苦しくて切なくて、でも一切目がそらせなくて、本当に素敵な曲でした。そして、両バンドからの志村へのラブレターのようにも感じてしまいました(※これはわたし個人の感想なのですが)。
わたしが感じていた志村への想いが「瞳のランデヴー」の中にあるように感じました。もしかして、みんな同じような気持ちだったのかなと思うと少しホッとしたけれど、それと同時にひんやりとした寂しさがさらにこみ上げてきました。
あれからたくさんの時間が過ぎたけれど、フジファブリックもフレデリックもまだまだ走り続けるのかな? 「瞳のランデヴー」だけで終わらず、また一緒に歌ってくれたらうれしいな…なんて、わたしはのんきなことを考えていました。
未だにわたしは志村へ「さよなら」とは少しも思えないし、言えないまま過ごしてきました。フジファブリックは決して終わらなかったし、今もずっと続いています。
だから、これからもわたしは絶対に志村やフジファブリックに対して「さよなら」とは言わないし、フジファブリックに「おやすみ」と伝えます。
「解散」という表現を使わないでくれてありがとうございます。将来いつかいつか気がむいたら「おやすみ」から「おはよう」と始めましょう。
フジファブリック×フレデリック「瞳のランデヴー」
おやすみ、フジファブリック。
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