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nekonomimi1026
2024年2月1日 22:58
航)このまま、一緒におってくれん?侑芽)一緒にいたいけど…航)俺ちゃあかんが?侑芽)そうじゃなくて。私、恋愛経験乏しくて…侑芽が俯いきながらそう答えると航はその体を引き寄せた。航)俺はその方がええ侑芽)そうじゃなくて。こういうのも初めてで…航)え…?侑芽は学生の頃、勉強に明け暮れていたから、ほとんど恋愛をしてこなかった合コンや紹介などで知り合った相手と何度か
2024年2月3日 00:55
2人が初めて結ばれた朝。余韻に浸りながらも身支度を整えてから由紀と健太郎が泊まっている「となみ荘」に向かった。今日でこの2人が八王子に戻る。行きは北陸新幹線で来たが、帰りは富山空港から飛行機で羽田に戻ると言う。この日は航も休みだったから、侑芽と一緒に空港まで2人を送ることにした。由紀)おはよう!あら、航くんも一緒?侑芽)うん。今日、航さんもお休みだから空港まで送ってくだ
2024年2月13日 16:49
航)せっかくやし…このままデートせん?侑芽)デートですか!?嬉しい〜!侑芽は思いがけない誘いに心が躍る。二人にとって初めてのデートだ。空港を出発し、富山市内を見渡す小高い丘の上に到着した。そこは立山連峰も一望できる眺めの良い公園だ。航)ここは呉羽山やちゃ。侑芽)ここが呉羽山かぁ!聞いたことはあります!航)立山見るがはここが1番ええ思う。今日は天気が最高やさかい、よう見
2024年2月15日 00:32
夕暮れの街でお囃子の音を聞きながら歩く2人。侑芽)わぁ〜。すごい賑やかですね!航)はぐれんようにせんと航は侑芽に手を差し出す。侑芽は周囲をキョロキョロ見てからその手を掴んだ。城端曳山祭りは越中の小京都と言われる美しい街の中心にある城端神明宮の祭礼である。毎年5月4日・5日に開催され、初日の今日は夕方から宵祭だ。この街で曳山《ひきやま》と呼ばれているのは、祭礼で引
2024年2月25日 14:49
侑芽は上司である黒岩に呼び出され、市民を名乗る人物から匿名で苦情が届いたことを知らされる。その内容は、『役所の職員が市内で人目も気にせんと男とイチャイチャしとる。ふしだらや。厳重注意するように』という内容であった。黒岩)…という話なが侑芽)それは…私のことですか?黒岩)まぁ…うん。あなたが彼と一緒におるとこの写真まで添付してきて侑芽)え、そんな…黒岩)別にね、交際しちゃ
2024年2月26日 01:01
思いもしなかった決別の言葉にただただ泣きじゃくり、その夜は眠れぬまま過ごした。そして航にメッセージを送る。『ごめんなさい もう一度話がしたいです』すぐに既読がついたものの、返信はなかった。どんなに辛い出来事があっても仕事は休むことが出来ない性分だ。翌日、出勤すると、同期の高岡が飛び上がって驚いている。高岡)ちょ、ちょ、ちょっとぉ!何その顔!ひっどいクマ…。あっ、わかっ
2024年2月29日 15:23
春子が鬼の形相で皆藤家にやって来た出迎えた歌子は歌子)ちょっこし待っとって?今、呼ぶさかい!工房で仕事をしていた航は、春子の声に反応し顔を上げていた。そこへ歌子が入って来て歌子)ねえ、なんや春ちゃんがすごい剣幕で来たんやけど…あんた、何したが?航)別に…航がしぶしぶ出て行くと、春子が無言のままアゴを振り、「表に出ろ」と言っている。ここにやって来た理由は明確で、そ
2024年2月29日 16:11
航が侑芽にLINEを送った。だがいくら待っても既読にならないまま時間だけが過ぎた。“1週間も放ったらかした罰やな”そう思って諦めにも似た境地になり、頭を抱えたまま天井を仰ぎ見る。今すぐにでも会いに行きたい。だが酒を飲んでしまっていたから今から運転はできない。腹をくくって電話をかけるも応答はなかった。一方、侑芽はベランダに出てぼんやりと夜空を見ていた。眠れぬ夜が