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ご当地小説を投稿しています。全てフィクションです。他にも自分の作品の舞台や各地の風景を撮影しYouTubeでアップしています。併せてご覧いただければ幸いです。(YouTubeは右下の再生マークからどうぞ) なお、カクヨムにも同名で小説を投稿しております。

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  • 【小説】連綿と続け

    富山県を舞台にした小説

  • コラム

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連綿と続け・あらすじと登場人物

題名: 連綿と続け (あらすじ) 東京都八王子市で生まれ育った一ノ瀬侑芽は 大学を卒業し、富山県の南砺市役所に就職が決まった。 南砺市では人口と観光客が年々減少し、その回復が急務となっていた。 その為には地域の人々の協力が必要となり、その間に入る担当者として新人の侑芽が選ばれる。様々なことに苦戦する侑芽であったが、足を運ぶうちに地域の人々の暮らしぶりやそれぞれの思いを知り、観光だけに頼らず地域の為に何か出来ないか、という思いが芽生えてくる。始めは厳しい態度であった彫刻職人の

    • 【小説】連綿と続け No.53

      離したくない、離れたくない。 あらためて思いを確認し、夜が明けた。 この日はマルシェの前日。 侑芽は会場設営に駆け回る。 参加者達は そんな侑芽の姿を見て安堵している。 「やっぱアンタがおってくれて良かった」 「明日も必ず来てくれるんやちゃ?」 会う人会う人が声をかけてくる。 一時はマルシェ開催が危ぶまれたから、 不安が大きかったのは むしろ出店する側だった。 久しぶりに参加者達の顔を見て 侑芽自身も様々な思いが込み上げ 泣きそうになる。 そこへ高岡が声をかけてきた

      • 三島由紀夫の潮騒を久々に読み返した。3回目の読了だが、歳を重ねる度に瑞々しい純愛に心が洗われる。これ以上のラブストーリーに出会える気がしないし、自分の小説がチープに思えて心が折れそうになる。いや当然なんだけど。私は私だし。しかしこの作品は永遠の憧れであり目標

        • 【小説】連綿と続け No.52

          すぐにスマホを確認すると、 待ち焦がれていた侑芽からのLINEだった。 『マルシェに出られることになりました』 航は迷うことなく返信する。 『良かったな 侑芽が頑張っとったからや』 『いえ、私は何も…』 『ちゃんと飯食うとるんけ』 『はい。航さんは?』 『こっちは心配せんでええ』 他愛のないやり取りが テンポよく続いたが少し間があき、 またメッセージが届いた。 『ちょっと声が聞きたいです』 それを見てすぐに電話をかける航。 侑芽)フフフ!早いですね 航

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        連綿と続け・あらすじと登場人物

        • 【小説】連綿と続け No.53

        • 三島由紀夫の潮騒を久々に読み返した。3回目の読了だが、歳を重ねる度に瑞々しい純愛に心が洗われる。これ以上のラブストーリーに出会える気がしないし、自分の小説がチープに思えて心が折れそうになる。いや当然なんだけど。私は私だし。しかしこの作品は永遠の憧れであり目標

        • 【小説】連綿と続け No.52

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        • 【小説】連綿と続け
          54本
        • コラム
          13本

        記事

          【小説】連綿と続け No.51

          侑芽)どういうことですか? 富樫)それがねぇ、準備で集まった人らに、一ノ瀬さんが担当から外れて当日も来れんくなった事を伝えたら…… 富樫が事の顛末を説明している。 それはマルシェの参加者達から 不満の声が上がっているという内容だった。 「一ノ瀬さんが何べんも通うてくれて、きちんと説明してくれたさかい参加を決めたんや!」 「あの人を信用して任せたがに、こんながは話が違う!」 といったクレームが相次ぎ、 参加を辞退する人達が続出していると言う。 侑芽)そんな、どうしまし

          【小説】連綿と続け No.51

          【小説】連綿と続け No.50

          キスを避けた侑芽。 航は呆然とした。 侑芽)少し……考えさせてください 航)考えるて……何を? 侑芽)これからのこと。仕事も……航さんとの事も…… 航)俺との事て何を?まさか、別れるて言うんか?昔のこと……そんな気になるんか? 侑芽は黙ったまま何も答えない。 航)俺は嫌や。こんな時にこんな事で。侑芽がしんどい時に1人にはできんちゃ 強引に抱き寄せる航。 ずっと人に無関心だった男が、 必死になって1人の女性のために思いを伝えている。 侑芽)私、航さんのことすごく

          【小説】連綿と続け No.50

          【小説】連綿と続け No.49

          侑芽は城端のアパートに戻った。 航が役所まで迎えに来る事になっていたが、 とても会う気にはなれない。 部屋に入ると同時に スマホがブルブルと鳴っている。 航からの着信であった。 何度もかけてくるから、 思い切って電話にでる。 侑芽)はい…… 航)やっとでた。今どこにおるが?役所で待っとれ言うたがに 焦っている様子の航。 侑芽はか細い声で答える。 侑芽)ごめんなさい…… 航)なんで泣いとるんや 侑芽)いえ……泣いてません 航)アパートにおるんやろ?今そっち行く

          【小説】連綿と続け No.49

          【小説】連綿と続け No.48

          航は侑芽からの連絡に 事態を知る。 メッセージのやり取りで、 航はすぐに誰の仕業か検討がついた。 航)アイツや…… その瞬間、 青筋を立てるほど怒り心頭になり、 拳を床に叩きつけた。 正也)おい、何やっとんが。怪我するぞ 航)これ終わったら、ちょっこし出てくる 正也)なんや急に……まぁ、きりもええし、たまにはリフレッシュも必要やちゃ!今日はもう上がれま 航は昼食も食べず自宅に戻り、 香菜に電話をする。 航から連絡が入った香奈は 香菜)航〜?どうしたが? 航)

          【小説】連綿と続け No.48

          【小説】連綿と続け No.47

          会議室に通された侑芽は 黒岩と共に席に着き、 険しい表情をした副市長から問われる。 副市長)君が観光推進課の一ノ瀬さん? 副市長は50代半ばの中年男性である。 普段はまず会う事もない副市長に 萎縮してしまう侑芽。 侑芽)はい。一ノ瀬侑芽と申します。 副市長)ここに呼ばれた理由はわかっとる? 侑芽)いえ…… すると副市長の秘書が パソコンを傾けて侑芽に見せてくる。 画面を覗くと市民を名乗る人物から 匿名のメールが届いていた。その内容は 『役所の人間が観光協会の職員

          【小説】連綿と続け No.47

          【小説】連綿と続け No.46

          いつも通りの侑芽に、 騒ついていた心が穏やかになる航は、 彼女を迎え入れて、 すぐにギュッと抱きしめた。 侑芽はその胸に埋もれながら抱きしめ返す。 そして体を離した後、 持ってきた保冷バッグを持ち上げ 侑芽)今日、早く終わったので夕飯作ってきました! 航)おぉ。いつもありがと 侑芽はキッチンに立ち、 慣れた手つきで料理を皿に盛りつける。 最近はこうして 航に手料理を振る舞う機会が増えた。 航は普段、 仕事終わりに実家で夕飯を済ませてから帰るが、 侑芽が泊まりに来る

          【小説】連綿と続け No.46

          【小説】連綿と続け No.45

          その頃、 航は五箇山の秋祭りで使われる 獅子頭の修復作業を行っていた。 集中し、正也と確認をしながら細かい部分を補修し、 目の前の仕事と向き合っている。 あらためて紹介するが、 皆藤家がある八日町通りは、 瑞泉寺の表参道である。 この瑞泉寺の裏山は八乙女山という。 山の向こう側には庄川が流れ、 その上流を辿っていくと五箇山と呼ばれる山深い地域がある。 三角屋根の合掌造りで知られ、 山を隔てて隣接する岐阜県の白川郷とともに 世界文化遺産に登録された事で有名になった。

          【小説】連綿と続け No.45

          【小説】連綿と続け No.44

          マルシェの会場となる井波文化会館に着くと、 西川が待っていた。 侑芽)お待たせしました! 西川)俺も着いたばっかりや。先に中を見ようけ 侑芽)はい! イベント当日は、 晴天なら屋外に店が立ち並び、 フリーマーケットの様な開放的なスペースで マルシェが開催される。 雨天の場合はホールの中で 開催する事になっている。 今日は雨天になった場合を想定し、 ホール内での配置を念密に打ち合わせする。 侑芽)どう転んでもいいように準備しなきゃですね 西川)うん。そのつもりで

          【小説】連綿と続け No.44

          【小説】連綿と続け No.43

          侑芽の甘い囁きに 吸い込まれるようにして覆い被さった航は、 「誰にも取られたくない」という気持ちを ぶつけるように、荒々しくその求めに応じた。 土砂降りの雨音が 全ての音をかき消してしまうから、 誰に気を使う必要もない。 ここは2人だけの世界。 囁き合い、何度も互いの名を呼ぶ。 航)侑芽、こっち向いて? 侑芽)航さん、もっと…… 求愛の果てに 横になってウトウトしている侑芽の鼻に 自分の鼻を擦り寄せる航。 航)侑芽は小悪魔や 侑芽)小悪魔?どこがですか 航)俺

          【小説】連綿と続け No.43

          【小説】連綿と続け No.42

          航と西川が口論になり、 互いが拳をふり挙げようとしたその時、 大声で止めに入ったのは春子であった。 「そこで何やってんの!!」 侑芽)春ちゃん!? 春子)ちょっとな〜に〜?侑芽どうした〜? 春子は侑芽に駆け寄って行き、 まるで幼な子をあやす様に侑芽の頭を撫でから 航と西川を睨みつけた。 春子)ちょっとあんた達!さっきからうるさいんだよ!侑芽に何してくれたわけ?それにこっちは、せっかくのデートが台無しなんですけど! 春子は腕を組みながら大声で怒鳴った。 春子と武史も

          【小説】連綿と続け No.42

          【小説】連綿と続け No.41

          『高瀬遺跡で蛍の写真を撮ってから向かいます』 今日は航の家に泊まる約束をしている。 侑芽は航にLINEを送り、 高瀬遺跡に引き返した。 到着すると夜にも関わらず 蛍鑑賞をしに来ている人々がちらほらいる。 そんな光景を眺めていると、 先に着いていた西川が手を振っている。 侑芽)西川さん!お疲れのところすいません 西川)なん。疲れとらんよ。それにしても結構見に来とる人おるね! 侑芽)有名なんですね〜。全然知らなかったです 西川)混む前に行こう 侑芽)はい! 暗く

          【小説】連綿と続け No.41

          産休クッキーの件を眺めて感じるのは多くの人が理解のあるいい人に思われたい、もしくは大人になってもピュアな人間アピールする偽善者が圧倒的に多い世の中だなということ。実際の職場であれやったらほとんどの人間は顔で笑って心で呪うだろう。それがリアル。そういう闇の部分を書くのが小説家の仕事

          産休クッキーの件を眺めて感じるのは多くの人が理解のあるいい人に思われたい、もしくは大人になってもピュアな人間アピールする偽善者が圧倒的に多い世の中だなということ。実際の職場であれやったらほとんどの人間は顔で笑って心で呪うだろう。それがリアル。そういう闇の部分を書くのが小説家の仕事