見出し画像

【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 5月15日~5月23日

はじめに

こんにちは。長尾早苗です。
今回は読書記録をつけつつ、わたしの仕事日記ということで書いていこうと思います。お付き合いよろしくお願いいたします。

5月15日

今日はポエトリークロッシングTOKYO2のアーカイブを視聴。
御徒町凧さん、高橋久美子さんは10代のわたしの生きづらさを救ってくれた詩人さんなので、生きていてよかったと思いました。
森山直太朗さんの歌う御徒町さんの『生きてることがつらいなら』と、チャットモンチーの『シャングリラ』の歌詞はたぶんずっと忘れないと思う。

5月16日

思うところがあって、今日から9時~15時で外で働くことに。午後はリーディングのため、家に戻ります。
金曜日にシェアオフィス・コミュニティコワーキングスペースの見学に行きます。それまではカフェをめぐって仕事をしようかなと。
外で自分の裁量で作業をするというものは、わたしにとっては憧れでもありました。
今日はGRIVEさんという個人店カフェ。マスターとは顔なじみなので、お昼休憩に少し話したりしました。今日は家でリーディングのため午前中しかいなかったけれど、仕事がとんでもなく捗ったのでよいこととします。
今日はスケッチブックをアイデアノートにする作業と、アウトプットをしていました。
満月の夜、少し早めに寝ました。

雨の月曜日。GRIVEさんはお弁当持ち込みOKなのですごく便利。

5月17日

今日は満月の効果か早めに起きてしまったので、始業前に本棚から、ゆったりとした気持ちになれるものを。
仕事はモスバーガーでしていました。今日はアウトプットと、一週間手放していた詩群の推敲。お天気もなんとか持って、お昼ご飯はお弁当だったので近くの公園のベンチで。すぐに雨が降ってきてしまい、午後は趣味の一週間の作り置きをしに家へ。環境がいきなり変わったのについていけなかったのか、睡眠不足からかで作り置きが終わり次第すぐに休みました。

お弁当は公園で。使い終わりのペットボトルに水を入れています。
仕事環境はだいたいこれがあると揃います。

・今野珠世『潮騒』朔望社

今野さん、懐かしいですね……もう7年ほど前になるでしょうか。ノリで応募した神奈川新聞現代詩コンクールの授賞式で知り合った詩人さんです。
わたしは当時学生だったので、以前のペンネームで佳作をいただきました。今野さんはその時の優秀賞に選ばれた方です。
その場で名刺を交換して、ある日第一詩集が送られてきて。ありがたかったなあ。
ふくよかなイメージとでも言い表せばいいのか、一つの事象から大きなものへと日常が動き出していく描写を切り取った詩群が美しいと思います。
それは多分に肉感的で、第一詩集にふさわしく詩人のすべてでもあるのだけれど。
ああ、現代詩だなあ、と少し安心します。

・大島静流『飛石の上』七月堂

大島静流君は本当に今同人詩誌の主宰を2つしていたり、精力的に活動している詩人のひとりでもあります。
彼の詩は、のちのちまで残ると思っていて、それは多分に「現在」というものをその時間軸で描き出していないというか、「現在のことば」で言い表していない所に素晴らしさを感じます。
吉岡実さんが好きと仰っていたような気がしますが、それをほうふつとさせる詩の一行一行に引き込まれてしまう。
「わたくし」を描いていないにもかかわらず、伝えたいことはきちんと伝わってくる。何を問題提起にしているかと言えば、大島君の場合は「ことば」だと思うのです。これを超える第二詩集が今から楽しみでもあります。

・向田邦子『父の詫び状』文春文庫

昭和後期のお父さんって、かわいらしいなと思います。
わたしは高校生くらいの時に向田邦子さんのレポートを1年かけて作った思い出があり、それは多分に母との思い出でもありました。
わたしが通っていた高校ではユニークな宿題を出す先生が多く、これから一生、学歴だけで「お嬢さま」と呼ばれるであろうわたしたちに、単なる「お嬢さま」だけではなく、そのことに笑って返せるような誇りと気品を持たせたかったのではないかなと今になって思います。
向田邦子さんは今、わたしが物書きとして生活していく中で、憧れであり、食いしん坊でずぼらという所に改めて親近感を抱きます。
その中でも彼女の「家族に対するまなざし」には、暗い所がありません。豊かな家庭というより、あたたかな家庭で育ったんだろうなと思います。
お父さんというものを今になって思い返すと、彼にも息子だった時があり、自分が父親になるというある種大変な中で仕事もしていく。いとおしいなと思います。今はわたしたちはみんな巣立ってしまって、今のご時世の移り変わりで、父も母と旅行に行ったりしていますが、それでよかったんじゃないかなとしんみり思います。わたしが煙草の煙に弱かったため、冬の晴れた月夜に、父がどてら姿で庭で煙草を吸っている後ろ姿を思い出したりしました。

5月18日

昨日は体も眠たがっていたし、頭もなんだかぼんやりしていたのか、朝からグループワークでミスをしたことが発覚。ちょっとへこみましたが、まあそんなこともあるさと立ち直り、食事の準備など。朝食に納豆を加えたおかげで、なんだかさらさらとした気分です。
カフェ生活も今日を入れてあと2日になりそう。コミュニティコワーキングスペース、面白そうしかないので、実際にそこで働いて、すぐにメンバー申し込みをしようと思います。
なんだかもう久しぶりになってしまった口語自由詩。書いてない・書けないことの苦痛がどうしてなのか分からなかったため、今の日常や感じているつらさを、まずは言語化してみることに。1万字のエッセイを書き、初稿ができあがりました。勢いでストックしておいた詩の推敲も。
さすがにおかわりのコーヒーもぬるくなってきたので帰りました。

今日の仕事風景。暑かったですね……!


・中山庸子『心がだんだん晴れてくる本』新潮文庫

この本はわたしが本当に心が疲れていた10代に買った本だなあと思い返します。そして、この本を再び開く日も、相当何かを抱え込んでいる、とも。人の心に処方箋はないです。でも、自分で作ることはできると思います。
ある種それは自分を知るということで、自分が何を好きなのか、何が嫌いで何をしたいのか、ということは、とても重要なことだったりします。
そういう機会を持つためには、ある種、人よりもっと暗い寂しさの中に身を置くことも必要だったりします。
寂しさは明日元気になれたり、そのつらさをわかりあえる手段でもあったりします。
そういうことを学べてよかったなと思いました。

5月19日

今日はカフェで書けるだけ書いて、太陽燦々だったので周辺を散策してきました。
カフェのお客さん情報で、ゑくぼというチーズケーキ屋さんがあるのですが、冬に竹内涼真さんがテレビロケで訪れたそう。わたしも以前買ったチーズケーキ屋さんなのですが、その近くにコミュニティカフェ、陽だまりカフェがオープンしていたので、持ち込みOKだったのでお弁当を食べてきました。200円でフリーWi-Fi完備、ドリンク1杯はすごいです。お箸が割れてしまったので、割り箸をいただきました……本当にありがとうございます!新作29編。書いた後に散策とお昼ごはん、図書館へ向かったので、とても充実した一日でした。ラウンジは今日も何か面白そうなイベント、明日がとっても楽しみ!

スマホで執筆していたカフェ。お世話になっております!
散策。
後で調べてみたら、竹内涼真さんがテレビロケで訪れたみたいですね!
ついでに、お弁当を食べてきました。
いい感じでコミュニティカフェです。
一般200円、高校生以下無料で、フリーWi-Fi完備!

・原田ひ香『三千円の使いかた』中公文庫

買ってから何度も読んでいるのだけど、何度も新しい発見があっていいなあと思います。
御厨家の三代にわたる女性達の、お金と生き方に関する物語。これから新生活をはじめようとする人たち、そして退職後のみなさんなんかにはとってもおすすめしたいです。
お金って、どう使うかでその人が見えてくるんですが、人となりを見るのに手っ取り早いのが、三千円の使い方だったりする。
わたしの友達にも色々います。かつて、お嬢さまもいれば、そうじゃない女の子達もたくさんいる学校に通っていたので、未だにブランド物のバックを集めている子、子育てに邁進している子、たくさんの女性達がわたしの友達にいます。
生き方はそれぞれあっていいし、それぞれの進む道次第だと思う。それを誰かに強制するのも、なんか違うなあと思うんです。

・松浦弥太郎『あなたにありがとう。』PHP文庫


9時から始業するようになって、朝に読書をすることが増えました。誰にも邪魔されない時間。いいですよね。
弥太郎さんにはそんな朝にいつも一声かけてもらうように、くらしのきほんを見ています。
何だろうな、基本的に弥太郎さんの生き方や魅せ方って、そのまんまを愛する、というのがぴったりくると思う。自分でも、他人でも。
その、素でいていい、という感覚がすごく心地よくって。あんまり誰かの前で飾り立てなくてもいいし、その人はその人だから美しいと思える日々が続けばいいなと思います。
わたしもこの何日間かのカフェ作業で、色んなお客さんを見てきました。カフェっていいところは、そのお客さんの素が見えるところなんですね。わたしは隣で作業をしているだけなんですが、お客さんたちが、職業を超えて話し合ったりするコミュニティが、素で生まれているところが好きです。
そういうものが、弥太郎さんのいう暮らしにも現れているんだな、としみじみ思います。

5月20日

今日は楽しみにしていたコミュニティラウンジで仕事! の前にトラブル発生。マイナンバーカードを無くしてしまいました……。なんとか作業が終わったらトラブル解決のため動くことにしました。ラウンジはとても良い雰囲気で、集中して作業ができました。無料開放と共にツアーもついていたのですが、ラッキーなことにガイドさんを独り占めしたので、色々聞けました。
喋り声も邪魔にならず、気軽に立ち寄れて作業できる場として活用できそうです。SPRAS AOBADAIといいます。自分の裁量で作業ができる外のスペースがほしかったんです。
帰って、マイナンバーカードの遺失物届を出して、区役所に電話して、月曜日はまたそのために動くことに。自分へのご褒美も兼ねて、その日はお買い物をしてからラウンジで作業をすることにしました。
夕方には友人とカフェで作業。その前にパソコンの電源ケーブルが壊れ、泣きそうでした。編集の方からメールが来て、少し泣き言を言ってしまったのだけど、応援してくださりとってもうれしかったです。帯の文を書いていただいた詩人さんがいるのですが、とてもよいものとなりそう。うれし泣きに変わりました。
今週もがんばれました。第五詩集、第六詩集草稿執筆終了。

ラウンジの壁際席。朝活で行くと楽しいです。
ワークラウンジよりはコミュニティラウンジの方がすき。

・カズオ・イシグロ 土屋政雄訳『わたしを離さないで』早川書房

んー……難しいですね。人間の本質と倫理に迫った作品です。
もしも近未来で、内臓移植などの関係で、その人に移植するためだけに「作られた」提供者、と呼ばれる人々がいて、彼らたちの特別な居住区があったら。生きること、生き抜くこととは。犠牲、とは。
カズオ・イシグロさん、今のわたしにとってはものすごく大好きな作家さんなのですが、彼がノーベル賞を受賞した時、そこまでわたしは彼の良さがわかりませんでした。まだ20代半ばというものもあって、彼が問うている真理や本質をつかみきれなかったようにも思います。
でも、彼のインタビューを当時たくさん見ましたが、やっぱり彼はすごいと思う。今の政治思想にも、ぶれない何かをもっていて、どちらにも行かず、まっすぐに冷静に物事を見ている。未来のことを書こうとしたらきちんと過去の資料を読み解き、そこで過去のことを書いてから未来のことを書いて発表する。そういった作家の姿勢こそが大事だと思います。

・カズオ・イシグロ 土屋政雄訳『クララとお日さま』早川書房

クララは年を取らない。クララは日光で生きている。クララはずっと美しい。だって彼女は、AF(AI)だから。
美少女のアンドロイドのクララは、近未来の世界で一世代旧型のアンドロイドとして「商品」とされ売られます。近未来の世界では、家電と同じような扱いで家族にアンドロイドはわたっていきます。
しかし、クララは何かともらわれていっても新型と比べられてしまいます。
それでも、病弱な少女ジョジーと友情を育み、シスターフッドが芽生えるほど、クララは学習し、成長して行きます。
ジョジーはやがて少女から大人になり、それでもクララは年を取りません。
ちょっと切なく、でもあたたかな気持ちになれる長編でした。

・藤井悦子、オリガ・ホメンコ編訳『現代ウクライナ短編集』群像社ライブラリー

なんていえばいいのか……わたしは、知らなさ過ぎたな、と。
現代に生きる作家たちは、どの国にもいます。それがたとえ、今戦争が起こっている地域にも。その国にもその人々にも、きちんと歴史があって過去があります。それを紐解いていくのが翻訳文学だとも思っています。
ロシアという国に圧迫され続けてきた過去、そして豊かな風土と、人を思う心。わたしはもちろん日本語話者ですし、当事者というわけではありませんから、この戦争に関して何も言うすべをもちません。
しかし、その国に対して学ぶべきものはたくさんあるということしかわたしにはわかりませんでした。だからこそ、知りたいがためにこの資料を読んでいました。未だに根付く人間と人間の民族のいさかいなども書かれており、それが現代なので、きゅっと胸に来るものがあります。
それでもとても風土は豊かな国なのだな、ということも。

5月21日

大雨。今週の疲れも出ていたのか、マイナンバーカード再発行のための証明写真を撮って、図書館に本を返し、帰って寝ていました。
壊れた電源ケーブルは午後に届き、それでも寝ていました。外のスペースというものが平日あまりにも久々だったからかもしれません。

パソコンも5年もの。パフォーマンスはよいのですが、バックアップをしっかりと……。


夜にTKOOというZoomオープンマイクで詩を読みました。
新鮮な気持ちでした。ありがとうございました!
メキシコ・アメリカ・フィリピン・シンガポール、日本、それぞれの地域でそれぞれが抱えている問題や感じたことがいくつもあって、それをパフォーマンスしながら「魅せていく」というものに非常に興味を惹かれました。
わたしの詩は「あなたが幽霊になっても」という書下ろしの詩です。事故にあって幽霊になっても、「天国出張」として必ず帰ってくる夫と、妻の日常を詩にしました。一応、英訳もしておいて、対訳したテキストをお見せしながらリーディングしました。日本の詩人さんからは、「切ないけれど美しい」「夫婦なんてそんなものですよね」とある程度、夫を喪ってしまった語り手である「わたし」と作者であるSanaeを分けて読んでくれていたのですが、海外のパフォーマーからは、「Sanaeさんに本当の幸福がありますように!」というコメントをいただき、ちょっとだけ苦笑しました。でも、それが海外での「読み」なんだなあと深く感じるものがありました。
フィリピンのタガログ語での故郷を思ううたが素晴らしかったです。日本の詩人さんとも交流を持ててよかった。

今週は日曜更新をやめて、まずはマイナンバーカードを再発行してから、ラウンジに慣れるということをしていきたいと思います。
また、第二詩集をもっと読み込んで、それからスラムと文学フリマに備えます。

5月22日

今日は晴れていて、予定も特になかったのでラウンジでさくっとアウトプットをすることに。たくさんの人のにぎわいがうれしかったなあ。
少し編集さんとメールをするなど。外回りのデザイン作業に入った第二詩集『フレア』、楽しみです!
わいわいとしているラウンジ、今日は地元マルシェをするそう。人の活気があるってやっぱりいいなあ。
学生時代の友人が昨日のYouTubeライブを見ていてくれたらしく、うれしい感想を聞きました。

5月23日

マイナンバーカードの再発行のため、区役所に行きました。英会話・読書ラジオを聞いてから出かけられるのはうれしいですね! 空はどんよりのち晴れで月曜日らしいと言えば月曜日らしいです……。手続きも無事終わり、一か月後に出来上がりのはがきが届くことになりました。マイナポイントなどが始まるので、今来てくれてよかったと言われました。たいへんな日々でしたが、よかったです……。その後、お弁当用のお箸を買いにナチュラルキッチンに行きました。手帳用のシールもitoyaで。ときめく。

いつものお弁当は作り置きおかずとごはん。平日はワンプレートごはんが多いです。
今日の戦利品。わんこに癒されたい……。


今日はウェブサイトの整備と、第二詩集や準備中の詩集原稿の読み込みをラウンジでしました。
今日からスラムや文学フリマへ向けてがんばって告知と練習の日々です!
がんばります!

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,568件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?