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いとおかし、いとおかし 番外2

「味わい」はいらぬいつのころだろうか、「お味わい」だの「味わわせてていだきます」だのと、いいだしたのは。 拙は、「布教使」ではないので、そういう「法話」をスル人が大量に生まれ続けていることを憂いている。 いやもっと。このままでは真宗は変質し、親鸞聖人一流の教え、蓮如上人・順如聖人以来の「教団組織」としての「教学」も、滅びそうである。 ここでは蓮師のお歌からそれを示す あみだ佛 たすけ給への 外はみな 思ふもいふも 自力なりけり 皆人の まことの信は 更になし 物しりがほ

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    • いとおかし、いとおかし13 制作過程3

      説教の復元、上書き さて、考証してきたように、栗原東随舎の残した『古今雑話思出双紙』、にある「茶碗屋敷」の話は、講釈として語られていたと推測しました。  「正直」をキーワードとした「はらごもり」の阿弥陀仏から出たお金のやりとりを、真宗説教が先か心学講義が先かは不明ですが、きりとった。  「道徳倫理」を示す実話とではなく、して話す、という心学の立ち位置から残ったアーカイブは、聞き手読み手としての真宗僧侶が、「仏法因縁」の匂いを感じとっても不思議ではありません。  現行、講

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      • いとおかし、いとおかし13 制作過程2

        講談・落語への展開速記本への道ー読者の誕生 明治期には「速記」が入り、口話が記録されることとなった。中でものちに「話芸」と概念化される講釈・落語や、演説・講話・説教法話などが、さかんに記録され、活版印刷技術の定着によって出版される。 「文明開化」の名の下に、活字本が世にあふれ出す。明治出版ブームである。のちに文芸がさかんになるのも、これが寄与する。 しかしそれは、江戸期の漢学・和学の蓄積と「寺子屋」に代表される識字への意欲、そして学制による学校教育の進展で、「読み書き」

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        • いとおかし、いとおかし13 制作過程1

          ようこそ。説教台本の制作過程公開です。まずは上書きした、原話。 その裏取りです。次に、お話が史実かフィクションかと言う判断です。 これは、講談ネタや落語ネタも検討します。最後に、「説教」とするときの思考と描き方です。3部になります。 「石門心学」 そもそも、江戸から明治の説教本や指南書を読んでいきますと、「メタファーとしてよくできている」、「くりかえしいろいろな先師が採用されている」という「お話」や「譬喩」にであいます。 それらは、そのまま現代でも興味深く通用すると思わ

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        いとおかし、いとおかし 番外2

          いとおかし、いとおかし13 説教

          今回は、まずまるまる「説教台本」から。〽は節かけ記号 春彼岸会説教 讃題) 「縦令一生造悪の 衆生引接のためにとて  称我名字と願じつつ 若不生者とちかひたり」 序弁―彼岸のいわれ)  いただきましたご讃題は、親鸞聖人ご製作のご和讃。さきほどお経があがりましたが、私どもがいただくお経は、漢訳経典、中国語でございます。そのままでは、珍文漢文(ちんぷんかんぷん)。そこで、聖人はそれをやわらかくしてくださったで和讃。やわらぎほめ、というわけです。  それでもわたした

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          いとおかし、いとおかし13 説教

          いとおかし13 茶碗屋敷

          茶碗屋敷 世の中の巡り合わせを「縁」といいます。この世では、戦争や災害、犯罪に事故と、遇いたくない「縁」もあります。しかし、中にはこんな多くの偶然が重なるとは、というお話もあります。フィクションなのかノンフィクションなのかそれもさだかではないのですが、今の世相の中ではこういうどちらともとれるお話は、読み手に委ねられるので面白いかと。 大御所時代  その昔、東京が未だ江戸といわれていたころ。大名には、参勤交代という幕府の定めがございましたから、全国各地の各藩諸家は、江

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          いとおかし13 茶碗屋敷

          いとおかし、いとおかし12

          さて、説教原稿です。 説教「閔子鶱が孝徳、継母の邪心を改めし事」讃題 しかれば大聖の真言に帰し、大祖の解釈に閲して、 仏恩の深遠なるを信知して、正信念仏偈を作りていはく、 「弥陀仏の本願念仏は 邪見にして驕慢なる悪衆生、信楽して受持すること甚だ以って難し、難中の難、過ぎたるは無し。」と お寒い中、ようこそのお運びであります。 序弁 まあ昨今は、親族内での事件がふえまして、親子・夫婦の恵み、「恩」というものについて、わからない時代になったと思われます。私どもは、そんな

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          いとおかし、いとおかし12

          いとおかし12 閔子鶱(びんしけん) 

          これって親孝行?『本朝二十四孝』 という草子がありまして。二十四人の親孝行話ですね。 落語に「二十四孝」というネタがありますので、相当人口に膾炙したんんでしょう。そこでも言われているので、まあ一番有名なのは、「孟宗竹」の語源にもなった「寒のたけのこ」。 父が早世し、病気がちな母が、冬の寒い日にタケノコを食べたいというので、親孝行な息子の孟宗が、雪の中にタケノコを探しに行く話。 当然ないので天に祈り「親孝行ができない」ことを悲しんで、竹に寄りかかっていたら、天が感応して

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          いとおかし12 閔子鶱(びんしけん)

          いとおかし、いとおかし 学際版2

          浄土をめぐまれるー「三界」論で性差を超えることわざからスタート 「子は三界の首っかせ(枷)」とは、正しき「子煩悩」の意でしょう。 今では、子どもを可愛がる意味だと思っている人が多い。 しかし、これは親が子に「執着」することを言う。 それはまた裏返せば、「愛」とか「孝」とかで、オブラートに包んである「親への依存」をいってますね。 親が子どもを囲い込むのか、子どもが親に首輪をつけて働かせるのか。 昨年の「宗教」を巡る騒動は、実は「宗教」ではなく、こっちです。それは、次のこと

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          いとおかし、いとおかし 学際版2

          いとおかし、いとおかし 学際版1

          ええっと、FBはつぶやき用とすべく、長くなるものはこっちに集約して書くことにしました。 「救済=きゅうさい」はありえない発音から お経(漢文=2世紀~8世紀の中国語)として、アーカイブされた文字を、音読して、「釋尊の教え」をその場で聞いているように聞く、というのが仏教のスタートでゴール。 なら、どういう音で読むかはむちゃくちゃ大切でしょう。 来年33回忌を迎える、明治生まれのバアチャンは、近所の月参りにいくのに門徒さんの住まいを「○○アバートの二階やで」と教えてくれた

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          いとおかし、いとおかし 学際版1

          いとおかし、いとおかし11

          プロ仕様です。法話・説教に関心があればどうぞ。話すための台本ですので、読む法話とは少し違います。 冬説教「煩悩具足(ぼんのうぐそく)」一座前席 讃題) 〽煩悩具足と信知して. 本願力に乗ずれば. すなわち穢身すてはてて. 法性常楽証せしむ 法説【釈】)  仏教は仏道といいますから、ブッダになる方へ向かってブッダになるように生きていくという教えです。最初に読みそなえましたのは、そう生きて行かれた、親鸞聖人が、唐の善導大師さまをほめたたえられたお歌、和讃であります

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          いとおかし、いとおかし11

          いとおかし11 キリがない 

          紀伊国屋亦右衛門文左衛門じゃない 紀伊国屋といえば、みかん商いで分限者となった紀伊国屋文左衛門が思いだされる人も多いでしょう。五十嵐文吉は、紀州湯浅出身で江戸で大商人となったので、出身地域を「屋号」としました。土地持ちの一次産業者以外は、京・大坂・江戸の三都や、各地の城下町へ移動して、商売人になるものも増えたのが元禄バブル時代。 この時期から、屋号に出身地を入れることが増えます。歌舞伎で「紀伊国屋」といえば、京役者の系譜をひく澤村宗十郎家のこと。 「衛門」とはもともと朝

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          いとおかし11 キリがない

          いとおかし、いとおかし10‐②

          物語の上書き(現代化)説教本から 私がこの説教話を知ったのは以下から。 「布教資料譬喩因縁妙辨三百題」 福岡徳榮寺義渓述、筑前大久保一枝編  大正4年11月初版 大正11年2月第七刷 顕道書院 一圓二十銭

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          いとおかし、いとおかし10‐②

          いとおかし、いとおかし10-①

          一子地説教再度のプロローグ ①プロ仕様です。説教構成をどうしているかを示します。 ②くりかえしになりますが読むものと、話すための土台(台本・シナリオ)とは違います。 ⓷人間が文字を使うようになってわずか5~6千年。文字によるアーカイブは数字による財産把握。文字は権力であったし、今も「法」というかたちであり続けている。 ④多くの人々がリテラシーを得て情報を貯蓄し、そのアーカイブからいつでも取り出し可能になったのはつい最近。 ⑤聖なるコトバ、宗教のコトバは、聖職者が暗誦すること

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          いとおかし、いとおかし10-①

          いとおかし10 扇屋のピンチ 

          久しぶりに「note」にかえってきました。 伝承の中で埋もれているおもしろいお話を、紹介しております。 さて本日は、私の先達でもあった漢文学者の白川静先生の17回忌にちなんで、先生がお好きであった「そとうば」のお話をいたしましょう。 扇屋のピンチ「そとうば」って 「そとうば」と聞かれて何を思い浮かべますでしょうか?「卒塔婆」なら、お墓に立っているものですね。これは、おシャカ様の遺骨を祭った塔、「ストゥーパ」に由来するコトバです。仏舎利塔と訳します。 おシャカ様が涅

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          いとおかし10 扇屋のピンチ

          いとおかし、いとおかし9-② 裏取り

          近代以前の『桃太郎』刊行史草双紙 江戸時代の小説の一ジャンル。江戸特有の挿絵入り仮名書き小説。寛文(かんぶん)末年(17世紀後半)ごろに刊行され始めた幼童向けの絵本である赤本を初めとして、黒本、青本、黄表紙、合巻(ごうかん)という順序で展開し、明治10年代(1877~1886)まで、200年出版され続けた絵双紙。 赤本(赤小本) 初期の半紙半切の体裁が赤小本。子ども向けの絵本で、表紙が丹色(にいろ-赤)のためこの名がある。寛文末年(1670ころ)より、江戸で正月に出版さ

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          いとおかし、いとおかし9-② 裏取り