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140字小説【実話︰こっち】

 あれは学生の頃、文化祭で友人と共に入ったお化け屋敷でのこと。あまりに暗くて出口が見えず途方に暮れていたら、やがて「こっち……こっち……」と、微かに声がした。

 本来なら耳を傾けてはいけない声だったかもしれない。それでも藁にもすがる思いで導かれてみたら……

 ……無事に外へ出られた。