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そらのうた

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#ストーリー

願いが交錯するまで

数多の甘い囁きには心動かされない
願いは君に振り向いて欲しいだけだ

夜風が頬を弄る皐月の夜だった
静かな公園で強く揺れるブランコは
数分後の僕の心臓にかなり似ていた

木漏れ日が綺麗な白昼より
君の瞳は願いは眩しかった

どこ吹く風で在りたいと自分と向き合う
強風にも世間にも流されない強さに惹かれた

光を探した夜を何度も数えた 夜を跨ぐ度に
ベランダから眺める星彩も僕に届かなかった

ただ

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プロローグを経て

どこかで誰かが号泣必死の映画を観て泣く

「今日から人に優しくしよう」とSNSで決意した誰かは数日後、クラスメイトに平気な顔して罵詈雑言を浴びせる

物語は届かないの?
言葉は届かないの?
思いは届かないの?

私はそっと目を閉じた
私は部屋に閉じ籠った
私は前髪をより伸ばした

現実から逃げたくて
私は藍色の空を撮り始めた

明日なんて来るな
金輪際、夜は空けるな

祈りが通じるはずもなくて

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星雨の詩

星雨の詩

夜空を翔る光の筋が数多翔る
僕の隣にいる君は瞳を閉じて両手を組む

いつからか星は夜を照らす輝きに留まらず
願掛けの対象になっていた

僕も君も少しずつ

大人になった証拠なのかな
弱さを知った証拠なのかな

仰いで手を翳し
背伸びしても届かない
宙を瞬く光には

だから君は祈りを捧げるんだね

星が流れる いつも通りの夜に
星が流れる 君と過ごす夜に

僕の願いは半分くらいは叶っている

君の願

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驟雨の詩

君は突然 退屈に支配されていた僕の前に現れた

夏のある昼下がり
喧騒から外れた場所で出会ってしまった

突飛な行動や気まぐれな態度

振り回されていては悪くなかった
むしろそんな君だから好きだった

君と巡った夏祭り 花火の刹那は僕らの恋模様みたい

夏の終わりが訪れる前に僕は切なさを知ってしまった

出会ってしまったなんて
振られた男の強がりだ

出会えたが正解だろうな

君と巡り逢えたことが

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君の素顔

夏に雪が降るわけないよ
もし叶ったら奇跡と呼ぶだろうね

空想は無料
実現には労力やら時間が必要だ

雪は冬の代名詞
強がりは君の代名詞

君がふとした瞬間に張りつめた虚勢を
外してくれと願うばかり

無理しなくていいんだよ
たまには弱さを晒してよ

でも都合の悪い言葉はフィルター除外
この声が届いてと願うばかり

前を向く君とは違う側面を
ありのままの姿を見せてくれたら

そんな君も綺麗だよ

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季節を感じて

季節の香りがするって一体なんのこと?
感受性に乏しい僕は君の言葉に頷けなかった

今から雨が降るよと言っては
本当に雨が降って君は予言者か何か?

そこそこの田舎育ちなのに僕は分からなかった

まるで君だけが世界に呼応しているよう

意味を持たない劣等感を覚えた僕は
目に見えない君との距離にいたく苛まされた

根拠は無いけど
君が吹くしゃぼん玉は春風に運ばれて
どこか誰も知らない南の島に着地しそう

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文学少女の片想い

私を構成する本という果てない世界
その本を小宇宙と切り捨てる人もいる

本の世界では見つけられないものを
現実で探すのは難しい

本の世界に在るものを
現実で自分の目で探すのは可能

勇気や優しさ 淡い恋心
打算や裏切り 強かさ

一呼吸置いて
思考を整理する

臆病な私は今 あなたに恋をしています
ともすればあなたは知る由も無いでしょう

恋愛小説のエンディングでは
結ばれることがままある

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夕方、河原、ヘッドホン

放課後の帰り道
ヘッドホンを付けながら
河原で音楽を聴く君

今やワイヤレスイヤホンが流通して
社会は小型化したもので溢れている

テレビも携帯も扇風機も

今でもヘッドホンで聴くのは君のポリシー?

なんだかね、不思議で面白くって

君が重きを置いているもの
君を構成しているもの

そんな君の個性をゆっくり教えて

全ては理解できないよ

だから君が語りたい自分を
少しずつ見せてくれたら
#詩

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願わくばこの声が

言葉一つで君を象る
言葉一つで世界を切り取る

言葉には対象を揺らす力がある

君に向けるそれが
淡雪のように優しく降り注げたら

君に向けるそれが
舞い散る桜のように記憶に留められたら

どうしてさ

意図した通りに伝わらないで
笑顔が溢れないから
伝達が難しいから

世界は複雑を極めるのだろうね

君に届くかな 僕の声は
君に伝わるかな 僕の想いは

この胸に閉じ込めた感情を吐き出して
季節を

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夏の空のような

心に余白があればいいのに
もっと君で埋め尽くせたらな

脳のメモリが増えればいいのに
君との時間をずっと覚えられたらな

忙しない日々の中
返信が遅くなったり
電話越しの声で疲れが吹き飛んだり

春夏秋冬季節の匂いが脳を刺激する度
積み重ねた思い出が過ぎる

これからも思い出を

晴れた夏の空のような
若い色で心が占められますように
#詩 #ポエム #自由詩 #思い出 #物語 #ストーリー #日

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蝉の声、楓の紅

夏が陰りセミの声も後わずか
無駄に長いこの命で何を残せるの?

名声、富、子孫

息絶えたら意識もろとも認識できないのに

人生の春を生きる私は
夏の暑さ、陽の強さをまだ知らない

太陽と月が戯れてるうちに
楓が咲き誇り終わりは近くのね

楓の紅より記憶に残る何かを
貴方の心を揺らす言葉を

それらをこの世界に残せたら
夏の暑さ、陽の強さを笑って振り返られるだろうね
#声 #詩 #ポエム #自由

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あなたに出逢えて

あなたに出逢えて
多くを与えられた

文字を綴る楽しさ
胸の痛みが筆を促す事

あなたに出逢えて
私は変化を遂げた

上手な言い回しより
素直な気持ちを伝えること

見つめられると照れ笑い
なにせ美しいのだもの

少しは本音を言えるようになったでしょう

あなたのおかげで
視界の解像度は上がった

あなたの声は言葉は
人一人を変えたんだ

あなたに出逢えて
狭い世界に彩りが増した

あなたに出逢え

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