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もったいない場所

 何もない原っぱを眺めながら、先日にあった地域のお祭りを思い返した。

 いつもの散歩道で見慣れているものの、あんなふうにお祭りがあると非日常な感じがしてわくわくする。

 それでも、こうして、終わってしまうとまた何にもない土地がだだっ広くあるだけで、子どもたちが遊べるわけでもないし、そもそも入ることも許されていない。

 ただ、この原っぱを眺めるだけだ。

 土地の問題、権利の問題、なんて私にはわからない。

 でも、これだけの土地、原っぱがあるなら、自由に出入りして楽しく遊べたらいいのになぁ、なんてことは思う。

 そんなことを思いながら、近くに同じように原っぱを見つめている夫婦がいた。

「本当、もったいないよね、ここ。こんなに広いのに何にもないなんて。あー、テーマパークとかできないかなぁ。ディズニーまでとは言わないからさ。子どもたちが遊べるようなものができないかなぁ」

 そんなことを言いながら、夫婦は去っていった。奥さんのほうは、お腹がぷっくらしているのがよくわかった。

 私はその話しを聞きながら、子どもたちが遊べるように、ということに同意はするけれど、テーマパークは同意できなかった。

 そうか、何もない場所がもったいない、と感じる人もいるのだ。

 私は、何もない、からこそ自由にいろんなことができる、発想を持てる、という可能性のあるこの土地のもったいなさを思ったけれど、あの夫婦は、こんなに広いんだから何にもないのがもったいない、と思ったのだ。

 私は、その感性の違いを思いながら、さて、どっちがいいのだろう、と考えながら、きっとどっちにしても反感があるのだろうな、と、しみじみ、感じてしまったのであった。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。