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ナートゥをご存知になってからまた観てきた【RRR二回目の感想ネタバレ】


日本時間3/13のアカデミー賞でパフォーマンスの披露が話題になった、RRR。大好きです。

先日、二回目のRRRを無事鑑賞してきたので、感想を残しておきたいと思います。
当日は鑑賞前にRRR初見時、気付いたら映画館で買っていたRRRロゴTシャツを着て、インドカレーを食べてから行くという気合の入れようでした。


バターチキンカレーとチーズナン
マンゴーラッシー

今回はネタバレ前提で初回である前回の鑑賞をふまえて書いていくので、未視聴でネタバレ厳禁なかたはそのつもりでお読みいただくか、読まれないことをおすすめします。

ネタバレ度合いが低い、初回の鑑賞レビューはこちらからぜひ!

 

 

ラーマに涙

主人公のひとりであるラーマが心に秘めていた本当の信念や彼の行動指針について判明するのは、親友ビームとの激闘のあと、INTERVAL以降のこと。初回の視聴で僕はビームと同じくINTERVAL以降に彼の大義と、なぜあれほどまでに警察官としても執務や出世に執着してきたのかを知った。だからこそ二回目の視聴では彼の登場シーンから、ラーマという人間に深く思いを馳せることが出来た。

彼の登場シーン、戦国BASARAとか無双系ゲームのように…抗議デモに集まった民衆をマサラ無双するラーマのシーン。顔色一つ変えないその様子は冷酷にも見える。しかしそれも彼の祖国インドの自治を取り戻すためには冷酷もにならないといけないということが感じられた。本当ならば、ラーマだって彼らと同じくイギリス統治に対して立ち向かっている。しかしその方法が違うが故に、思いを同じくしている同じインド人をなぎ倒さなければならない。作中で彼がいう、「はらう必要がある犠牲」の一つだったのだと思う。無双する前に他の警官が盾を手にする中、ラーマは警棒だけでフェンス越しの群衆の前に立っていた。攻撃こそ最大の防御であり、「攻撃をある程度受けること」もはらう必要がある代償だったのかもしれない。(単に盾も与えられない階級だったのかもしれないけど。)

そんなラーマがビームと出会い、子供を救う橋のシーン。腕をつかみ合った瞬間、「やった、成し遂げた!」と言うかのように笑う無垢なビームの笑顔に、思わずラーマも笑みをこぼす。僕はこのシーンに思わず涙した。初回は全く泣かなかったシーンだった。ラーマが歩んだ、武器を得て反撃を目論んできたこれまでの人生、弟を喪った彼にとってこんな笑顔になれた日はあったのだろうか。いや、なかったのではないか。

Dostiの曲に乗せてラーマがビームと親睦を深めていくシーンでも、その思いは加速した。「人生は、楽しいものだった」と彼が両親と弟を、同じ村の仲間を喪ってからの人生における楽しさと喜びを取り戻していっているようにも見ることが出来た。

 

肩車の伏線はDostiだけじゃない

ラーマとビームが親睦を深めるDostiのシーンで、肩車をするところが終盤のバトルシーンでの伏線になっているのはご存じだと思う。でもこのシーンだけでなく肩車である必要性や伏線は他にもあったと個人的には解釈した。そもそもでこのシーンも肩車だけに注目しがちだけれど、ラーマの懸垂⇒肩車という流れが伏線として重要。懸垂をすすめられたビームが「俺は腕より足だ」ということを表現しているのだと思うけれど、STORYとしてもラーマが独房へ投獄された際も懸垂を欠かさず行っている場面がありその後に肩車での戦闘シーンがある。流れとしても重なるところがあるような気がしている。

肩車でラーマが腕の役割を担う理由として、戦闘スタイルを例に挙げたい。ラーマの戦闘スタイルは父による戦闘のためと警察官としての訓練によるものだと思っています。足を使った体術もあるけれどメインは訓練しやすい上半身をメインにしたスタイルで、体感として警棒でのマサラ無双でも足を使っている部分よりぶん殴っている描写の方が印象に残っています。反して森を駆けて暮らすビームたちゴーンド族は生活に根差して鍛えられた戦闘スタイル。インドに生息するベンガルトラは時速60㎞から実験では80㎞もの速度で走るといわれていて、そのベンガルトラと追いかけっこをして負けないことからもビームの脚力の凄まじさが伝わると思う。実際ラーマはビームの弟分のラッチュに逃げられていることから、ラーマはゴーンド族には足で勝てない(一筋縄ではいかない)ということなのではないでしょうか。鞭打ちの刑のシーンでも足を用いて膝をつかないことで屈しない強さを表現していたのも印象的だったし、やはりビームは肩車で足の役割なんだと思う。

腕メインの戦闘スタイルのラーマ、ビームとマッリを逃がすシーンでは腕だけでなく足技も駆使しまくっていて、二人を逃がすためならなりふり構わないように見えるのもグッときたポイントでした。登場シーンのマサラ無双より必死に闘っているように見えるのも、大義と同じくらい大切にしたい人が出来たんだと思えて涙……!

 

なぜ馬なのか、なぜバイクなのか

ラーマとビームのふたりを表現する上でよく描かれる、二人の乗り物も深堀りしながら観ていました。

ラーマが馬に乗っているのは、単純に警官として必要な技術のひとつに馬術があったのかなと。もしかしたら警官として偉くなるために必要だったのかもしれない。

ビームがバイクなのって、ちょっと違和感あったりしてたんですよ。森の民だし、冒頭のゴーンド族が暮らす村はバイク乗るのにはあんまり向かなそうな地形に見えたし。なので妄想ですが、マッリを助けるためにデリーに来てから親方に教えてもらったのかなと。親方はビームたちの素性を知った上で働き口として受け入れてくれたようだし。仮の姿とはいえ整備工なのだから乗れた方がいいし、整備工として違和感がない方が身を隠せるという親方の考えだったら良いななんて思った。Dosti(どんだけ好きなんだこの曲)のシーンで少年のように笑いあってそれぞれ乗る馬とバイクに、そんな背景があったら胸が熱くなるどころの騒ぎじゃない。

 

ビーム、良い子がすぎる。

ビーム、本当に無垢な男性でとってもキュート。二回目観てもキュート。

シータがビームたちを匿うために吐いた「天然痘の患者がいる」という嘘を信じたり、自分たちの素性がバレたら親方たちに(ラーマにも)迷惑が…と基本的に彼は人を信じて善意を素直に受け取りそれを返したいという……本当に……優しい(語彙力) 表情も豊かだし。

ジェニーへの恋心や憧れも、彼女が本来なら憎む対象になりかねないイギリス人なのに彼女の親切な人柄に素直に惹かれているのもかわいい。もちろん屋敷に入り込む協力を得たいのもあるんだけど、好意は別にちゃんとあってそれがどうにもまっすぐで良い。

きっとビームにとってラーマのとった行動はこれまでの人生での一番の“裏切り”だったんだろうな…だからあんなにも憤り、それを正面から彼にぶつけた。しかし真実を知れば、自分が無知だったことを正直に受け入れ嘆き、じゃあどうしたらいいだろうとすぐに行動できるのも彼の素直さのなせるところ。本当にビームは素直で良い子や……ラーマが一瞬で心を開いちゃうのもわかるよ………ラーマをよろしくビーマ…………

 

どんな想いで息子を「武器にしたのか」

ラーマのこれまでに思いを馳せるうえで、ご両親のことは欠かせません。お父さんはラーマを「お前こそが自慢の武器」と例えるくらい、父親としてと同じくらい「共に戦う戦士」としてラーマを育てました。イギリス兵が差し迫る中、お母さんに対しても「俺の戦いはお前の戦い」だと言い聞かせ、お母さんもそれをしかと受け入れていたことを考えるとお父さんと同じように考え、ラーマを愛する子であり頼もしい戦士として育ててきたことを感じます。

戦士、と簡単に言ってしまいましたがともに戦い英国の打倒を目指すということは、子を死と隣り合わせの環境に置くことでもあります。それがどんな想いだったのか、政府に対し憤ることはあっても未だある程度の平和を保っている日本に暮らす僕には、きっと本当の意味ではわからないと思います。想像することしか出来ませんが、両親もはらわないに越したことはないものの、はらう必要のある犠牲の中に自分たちやラーマ、弟の命も含めていたのでないかと思います。祖国のために。

それをラーマも受け入れていて、父を尊敬していた。

これも想像の範疇ではあるのですが。ラーマは親方たちとの食事のシーンでビームに弟の面影を重ねたけれど、きっと父のことも重ねたのではないかと思うんです。それはあの鞭打ちの刑を受けながらも、民衆に歌う姿で。父と方法は違うけれど同じように引き付け、心を震わせ、立ち上がる力を与える様子が村人を力強く率いた父の姿に重なったのでは。だから、武器無くしてそれをやってのけたことへの敬意もふまえて彼とマッリを自分という犠牲をはらっても逃がそうと思ったのではないかと。

 

さいごに

正直ハッピーエンドではあるのですが、「この後血で血を洗うインド独立戦争に…!!」と思うと正直複雑な気持ちにもなりますが、当のインドもイギリスもそれを乗り越えたからこの作品があって、イギリスでもヒットしたのでしょう。だから僕が憂うのもおせっかいなのだろうな、と勝手に腹落ちしております。

アカデミー賞でのパフォーマンスも、インド人とイギリス人だけでなく多様な人種のダンサーが参加していて感慨深いものがありました。

色々考えてしまう部分がなくはないのですが、それ以上の圧倒的エンタメ作品なのも事実。政治的な部分が色濃いはずなのにそれを完全なエンタメにし切っているのもRRRの魅力ですね。

現に二回目であっても、肩車での戦闘シーンでラーマが大きく腰を反らせて二丁の銃をぶっ放すシーンや、領事館(で合ってますか?)襲撃シーンで獣たちと飛び出す両手に松明を持ったビームのシーンはめちゃくちゃカッコよくて大興奮できました。

出来ればもう一回大スクリーンで見たいし、応援上映も行ってみたい。

古のオタクなので取り合えず円盤を買う予定ではいるので、それに合わせてプロジェクターも買いたいところです。安くていいやつどなたか知りませんか。15,000円以内が希望です。

そして来月、なんとコラボレストランの予約が取れてしまったので、僕にRRRを布教した張本人と一緒に行って参ります……!


────俺たちのナートゥは終わらねぇ!!! 
   次号センターカラーでコラボ飯に咆哮!!!!(R)



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