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社会人芸大生が勉強の合間に買って読んだアート関連書籍・2021下半期編

皆さま、本、読んでますか?

今年は上半期編で大量に本を紹介しすぎたので、四半期で更新を!と思っていたのですが・・・もう年の瀬ですね。



そういえばこの2021年は、地元で何かやりたいと思い、春から私設図書館で本棚オーナーをはじめました。

その私設図書館の運営人は、なんと先日「天声人語」に載りました

そしてなんと12月24日、Business Insider Japanさん主催のアワード「BEYOND MILLENNIALS(ビヨンド・ミレニアルズ)」のファイナリストに選出されたことが発表に!(なんか、なんかすごいことになっています・・・!)

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そんなこんなで、下半期も相変わらず活字にまみれていたわたしが、勉強と趣味もかねて、ここ半年で手に取ったアート関連本を紹介&勝手におすすめします。

今回もまぁまぁ冊数が多めですが、皆さまが なんか面白そう!と思える本と出会うきっかけになったら嬉しいです。

ちなみに昨年、2020年編はこちらです。今から読んでも面白い本ばかりかと。年末年始のお供にぜひ。

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アートとビジネスを考えた3冊

この1年で一層、絵画やポスターなどの平面作品を部屋に飾ることや、買うことをはじめてみた方、興味を持った方が増えたなぁと思います。

世の中には創作活動をしている作家も、本当にたくさんいらっしゃいます。芸大美大を卒業していく方も毎年たくさんいます。

でも、いま専業作家として生きてる方は、どうやって今の“専業作家”にたどり着いたのか、の話って、なかなか表に出てこないので、ずっと疑問でした。

で!今年、まさにその当事者が、専業作家としてどうやって活動してるのかを明かした書籍に出会いました。偶然にも2冊!

年齢も作品のテイストも全く異なるお二人の、ノンフィクションの内容。
フリーランスとして生きてる自分や、何か自分の力で稼いで暮らしていこうとする全ての人にも、参考になることが多々あると思いました。

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そんな作家の方々の作品を、欲しいと思う人たちへ届ける役目を担ってるのが、ギャラリーの存在です。

著者の徳光さんは、オンラインで絵画作品を販売するギャラリー・タグボートを立ち上げた方。現在は有楽町にある百貨店・阪急メンズ館に常設のギャラリーをかまえ、アートフェアも定期的に主催されています。

まさにアートビジネスの最前線にいる方が書いた、ド直球の一冊なのです。

正直、投資目的で作品を買おうとは全く思ってない(そもそもそんな高価な作品は買えない)わたしですが、世の中の人々はどんな風に"アートと投資"のことを見ているのか、どう思っているのか、何を知りたいと思っているのか、を知りたくて読みました。

ここ2〜3ヶ月でしょうか、NFTアートが一般メディアでもだいぶ取り上げられるのを見かけることが増えましたね。さて、来年はどうなりましょうか・・・。

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古代美術の世界をただ知りたくて読んだ3冊

ここ2年ほど、オリエント・エジプト・メソポタミアなどなど、古代美術の造形美の世界にすっかり魅せられてます。
この3冊は、その古代美術の豊富なコレクションを所有する、ミホ・ミュージアムから、通販で購入しました。

中でも空想動物の本は、たまたま訪れた展示で出会いました。オーナーの蔵書として並んでて、読んだらすごくツボで。
ただ、2012年発売のため、なかなか売っているところがなく・・・ミホ・ミュージアムに在庫があると知ったときは小躍りしたくらいでした。

展覧会の図録と、監修された書籍。どれも面白いです!!!眺めているだけで楽しいというか、眼福です。
ミホ・ミュージアムは、岐阜県の山間にある、とっても美しい私設の美術館。本当に山間にあるため、今は3月まで冬季休業中です。
いつかぜひ訪れてみたいと思っている、憧れの館でもあります。

それにしてもなぜ、自分はこんなに古代の美術の世界に惹かれるのか、本当に不思議です。縄文土器も好きなんですけども。想像の世界や、抽象的な造形、石などの素材の感じが好みなのでしょうか。

ちなみにきっかけとなった展覧会はこちらでした。本当に今でも、行ってよかったと思います。図録もよく眺めています。


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もっと掘り下げたくて読んだ2冊

今年リニューアルオープンした滋賀県立美術館。
そのディレクター(館長)に就任された保坂さんは、10年以上前から、美術の専門教育を受けていない作家による作品"アール・ブリュット"にまつわる活動を続けてらっしゃる方です。

この本は2013年の刊行ですが、体系的にアール・ブリュットのことがまとまっている1冊で、アール・ブリュットって何だろう?という方に、ぜひお薦めしたいです。

わたしはもう何度か読んでいて、すでにぼろぼろですが、非常にありがたいことに、先日、お仕事で関わる機会があり、再び手に取りました。

余談ですが、年明けに、東京の渋谷公園通りギャラリーで、編集者・都築響一さんキュレーションによる「おかんアート」の展覧会も予定されています。これもいわばアール・ブリュット。超絶楽しみです。

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また、ミュージアムグッズといえば!大澤さん!!!
ZINEはずっと制作販売されてらっしゃいましたが、今年ついに!初のご著書が!!!これは嬉しい&あっという間に読み終えて、すでに何度も読んでる一冊です。

大澤さんは、わたしが参加している「これぽーと」のメンバーでもあり、SNSでつながっていることもあって、本屋さんだけでなくトーハクなどのミュージアムショップで取扱いがあったり、NHK「あさイチ」に取り上げられてるのを見かけたりしたときは、勝手に身内の気分になって喜んでしまいました(笑)

こんなものがあるんだ!楽しい!と、グッズをきっかけに地元や旅先のミュージアムに足を運ぶの、とても素敵だと思います。ネットでポチれるものもあるし、フルカラーのページを眺めているだけでも、楽しいですよ♪


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佇まいから美しい、とっておきの2冊

わたしはもう10年以上前から、瀧本幹也さんの写真が好きで、写真展などにはなるべく足を運び、写真集も何冊か大切に持っています。
その瀧本さんが18歳のとき、出会った師匠が、藤井保さんでした。

30年近く、師匠と弟子であり続けるお二人の、ここ2年の往復書簡、写真とメールでのやりとりをまとめた一冊です。

・・・重みを、時間の重みを感じます。
しかも、そのやりとりをこうして書籍で読めるだなんて、なんて幸せだろう、と。(ファンは勝手ですねw)
装幀も美しいし、ラッキーなことにお二人のサイン入りの書籍が買えたので、本当に宝物の一冊になりました。この先、何度も読み返すと思います。

ちなみに、無事、都内のギャラリーで展覧会も行われました。素敵でした。

書籍だけでなく、ほぼ日に載ったお二人のインタビューも超絶素敵だったので、ぜひこちらも!

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「ふつう」が劣化している。

そんな言葉や話を、どこかで見聞きして、ぐさーっと心に刺さったんです。ほんとだその通りだ、と。
それが深澤直人さんのお話でした。
で、読みたい読みたいと思っていたこの一冊を、ついに買いました。

文庫本が正方形になったくらいのサイズですが、分厚いです。
でも中の文字サイズは結構しっかり大き目。もともとが雑誌連載だったこともあって、一篇ずつが読みやすい文量なので、しばらく持ち歩いて、噛み締めるように読み進めました。

深澤直人さんがデザインするもの、好きなんですよね。皆さまも知らないうちに手にしてると思います、無印とかで。
この本を読みながら、深澤さんって、まるで哲学者だな、と思いました。


特筆すべきは、装幀です。
写真で伝わりますでしょうか・・・布張りです。文字は活版印刷?

ぜひこちらと合わせて、本を手に取ってみてください。


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読んでいて優しい気持ちになる2冊

10月、インスタグラムで薫堂さんの写真展が開催中と知って出かけたギャラリー。
そこで、同時期に展示を行っていたハービー・山口さんご本人に、偶然、お目にかかることができました。
熱く熱く、展示している作品を撮ったときの話や、いろんな人との出会いの話を、惜しげもなく気さくに語ってくださって、貴重なひとときでした。

ハービーさんって、本当に不思議なくらいに、“奇跡の瞬間”に立ち会ってて、見事に写真におさめてらっしゃるんですよね・・・
しかもそれらは絶対に、ハービーさんじゃないと撮れない写真ばかりなんです。

不思議すぎる・・・引き寄せる力というか、何か見えない大きな力が働いてるとしか思えない、ベストショットだらけの写真家だと思います。

その場でこの一冊を買ったら、こころよくサインしてくださって。
そんな一連のエピソードまるっと思い出としてくっついた一冊です。


余談ですが・・・ハービーさんといえば、2019年初夏、旅の途中で偶然訪れた、長野県の小海町高原美術館。写真家50周年(!!!)の個展が開催されていたんですよね。
ご子息の写真作品も素敵で、写真集を買って帰ったことをよく覚えています。

そして、ハービーさんと薫堂さんは、テレビ番組『東京会議』で写真部として撮影し合う旧知の仲でいらっしゃいます。

『妄想浪費』はもともと、雑誌『Forbes』で連載していて、ずっと読んでいたのですが、ギャラリーでの展示の会期中、たまたま書籍発売記念のサイン会に行けたので、買った一冊です。
実は、憧れの存在だった、薫堂さん。お話ししながらサインをいただけて、感激でした。
(そして2冊書いてもらったサイン本の1冊は、薫堂さんを好きなあまり、ギャラリーでの展示を企画して開催にまでこぎつけたディレクターの方にプレゼントしました✨)

単行本の形になって読み通すと、また新鮮だったし、連載時よりも引っかかる言葉・エピソードが多くて、気づけばいくつも付箋を貼ってました。
Webでいまだに読めますが、紙の本もいいですよ~


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ただただ、読んでて楽しい3冊

 だんだん趣味色が強めの書籍紹介になっていますが・・・汗

佐藤雅彦さんは、わたし、たぶん高校生の頃から憧れの方です。
テレビで紹介されてずいぶんと話題になったようですねこちら。確かに面白いんですよー。
数学が苦手すぎてすっかり忘れたわたしも、読んでいて楽しめました。

佐藤さんといえば、こちらの2冊もお薦めです。

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滝藤賢一さんは、俳優の方です。仲代達矢さんが主宰する「無名塾」出身で、近年はドラマや映画だけでなく、CMでもよくお見かけしますね。

俳優ですが、滝藤さんの服への愛はもう、尋常じゃないんです。
しかもファッションセンス!本当に絶妙!そして滝藤さんじゃないと着こなせないものばかり。
この一冊は本当に、眺めているだけで、そのセンスにも写真を撮ってるシチュエーションにも、はっとさせられて楽しいんですよ。

滝藤さんは、笑顔に嘘がなくて、素で喋っている感じも素敵で、良い俳優さんだなぁと。あと、園芸番組の本気度も素敵。(はい、ファンです。)

こちら、発売記念のトークイベントにちゃっかりオンラインで参加して、名前&サイン入りの本が後日届きました。
イベントでは、編集さんとのやりとりも面白くって、その楽しんで作った雰囲気が本からも伝わってくるなぁと思いました。

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平野啓一郎さんも、大好きな作家さんのお一人。
『マチネの終わりに』でファンになった後に読んだ、この『ある男』は、2018年に単行本が出たときが最初。衝撃、そしてひたすらに号泣でした。
ついに2021年 文庫化され、来年は映画も公開されます。

映画は楽しみだけど、本だけを何度でも読んでいたい、かも。
そのくらい、自分の中に情景が克明に浮かんで焼き付いて離れない作品です。ぜひ、老若男女問わず、読んで欲しい一冊です。

今回は、こんな素晴らしい取り組みのタイミングで、購入できました!


ここ数年、大学の勉強や仕事で読まないといけない本が山のようにあるため、物語にどっぷりはまって読めてないのがつらいところですが、年末年始は久しぶりに読みたいなぁと思っています。

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「書く」ことにまつわる実践本2冊

まずは、批評本なのに、行く書店行く書店で、売れてます!コーナーに並んでいて、結構驚いた一冊を。

批評、と言われると何だか技術が必要で、小難しいイメージがありますが、この本では、

必要なのは、センスではなく調査力と注意深さ。そしていくつかのコツを飲み込めば、誰でも楽しく批評ができます。作品をより深く理解し、たくさんの人とシェアするための、批評の教室へようこそ。

と、誰でもウェルカム!!!な雰囲気。
その通り、読んでいて面白い、なるほどね!な一冊でした。

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そしてもう一冊が、ライターさとゆみさんの最新刊。
これは本当にすごい一冊です。使える、実践的すぎる一冊。

そうなんだよ!知りたいのは文章術じゃないんだ!どうやって書く仕事で生きていくかなんだよ!!!という叫びを、全力で受け止めて剛速球のストレートで返してくれています。

心構えを学べるので、書く仕事の人だけではなく、働く人全員読んだほうがいいんじゃないか、とさえ思いました、本当に。


このさとゆみさんの本と、上半期編でもご紹介した、古賀史健さんの『取材・執筆・推敲』の2冊は、もう必読だと思います。
てかこの2冊さえ読めば完璧なんじゃないか、と思うくらいの内容です。


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今読んでる、ラジオ本!!!

武田 砂鉄 編 『開局70周年記念 TBSラジオ公式読本』

ラジオ、大好きです。
長らく、FM:AMがだいたい8:2で来ていたわたしが、ここ1~2年で、なんと2:8くらいまでになったのは、間違いなく、TBSラジオのせいです。そしてradikoのおかげも大きいなぁ。

発売と同時に売切が続出し、あっという間に重版がかかったという分厚いラジオ本。楽しいのですぐ読み終えてしまうのがもったいなく、ちまちまと大切にページをめくっています。

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まとめ

途中でほぼ趣味の本になっていましたが、なんと今回は6,600字越えの超大作(!)、長々とお読みいただき、本当にありがとうございました!!!

でも、お察しの通り、これでも、買ったり読んだりした全て、ではないんですよね。相変わらず、自分でも恐ろしくなりましたw
でも、本だから良し、とします。

そうそう、こちらも地道にこつこつ、読んでますよ~『東京の生活史』。
この一冊こそ、年末年始のお供にぴったりかと!

来年こそは、四半期でご紹介しますね。きっと。

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その他、本にまつわる記事を他にもいろいろと書いてます。


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