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社会人芸大生が勉強の合間に買って読んだアート関連書籍・2021上半期編

皆さま、本、読んでますか?

昨年から始めたこのシリーズ、とてもありがたいことに、多くの方に読み続けていただいてます。


2021年は4月以降、大学を休学していますが(詳細は別記事「”余白”のつくりかた」でどうぞ)、おかげさまで順調に仕事が慌ただしくなり、積ん読も増やしております。

てか、もう上半期が終わるって本当ですか!!!
気のせいでは?と思ってしまうくらい、いろんな記憶が薄いですが、相変わらず毎日活字まみれになっているわたしが、勉強と趣味もかねて、ここ半年で手に取ったアート関連本を紹介&勝手におすすめします。参考になりましたら嬉しいです。


◎いろんな入門書系

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①東京美術「すぐわかる」シリーズ

今年度、大学を休学した目的の一つに、編入してからの2年で学んできて、興味を持ったり知りたくなったことを深掘りすることがありました。
そのため、いわゆる”入門書”たちをたくさん手に取りました。

 中でも、芸術系の書籍や専門書を数多く出している出版社・東京美術さんの「すぐわかる」シリーズは、大学の先生方に参考文献としてお薦めされることも多かったもの。コンパクトなA5サイズながら、ほぼカラーで図版や写真も多く、とてもわかりやすいです。

わたしは、自分が特に好きで改めて詳しく知りたかったテーマ「近代日本版画」「ガラス」「絵巻物」「伝統文様」を、ここ半年の間に、展覧会のミュージアムショップや、古書店、メルカリで見つけて購入しました。

ちなみにこの「すぐわかる」シリーズ、他にも、本当によくぞこのテーマで!というピンポイントな内容で出ているので、ぜひご覧ください。

また、作家一人ひとりを掘り下げている「もっと知りたい」シリーズも秀逸ですので、合わせてぜひ。


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②致知出版社 「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」

ビジネス雑誌『致知』で有名な致知出版社から出ている、「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」もお薦めです。
わたしが、まずは!と思って購入したのが、岡倉天心『茶の本』と、世阿弥『風姿花伝』の2冊でした。

そもそも改めてこれらの本を読もう、と思った理由は、茶道のお稽古を始めて3年も経つのに、そういえばまだ読めていなかったこと、また、大学の必修科目に幅広い古典文献にあたるものがあり、この機会に古典をちゃんと読みたい、と思ったからでした。

本来なら原文にあたるべきかもしれませんが、まずは内容を理解することが大切だ!と思い、こちらを手に取りました。四六判のソフトカバー製本なので、持ち歩いて読むにもちょうど良いですね。わたしはベッドサイドに置いて、朝晩少しずつ読み進めました。

ちなみに『茶の本』の表紙には、わたしが習っている裏千家の大宗匠・千玄室さんのお写真とお言葉が。大宗匠、大好きなんです。思わず飾っておきたくなりました。

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このシリーズ、今後も新刊が定期的に出るようですし、少しずついろいろ読みたいと思っています。


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◎書くことにまつわる本

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●アートにまつわる文章執筆に特化した訳書美術を書く
●キュレーター、つまり学芸員の仕事の中でも、展示に特化した業務にまつわる訳書ザ・キュレーターズハンドブック

この2冊は、大学のレポート課題や、学芸員課程を履修していく中で知って、読みたくなったもの。どちらも400ページ前後あるので、少しずつ読み進めているところです。しっかり読み切って、来年度の復学時に活かしたいと思っています。

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取材・執筆・推敲

刊行前のnoteセミナーが素晴らしすぎた、古賀史健さん『取材・執筆・推敲』。わたしのインスタでも投稿していましたが、本当に名著すぎます。こちらも約470ページとなかなかの厚みですが、お薦めです。

ちなみに、noteのセミナー、なんとnote公式のYouTubeで無料で視聴できます!!!
この内容を無料で。太っ腹が過ぎると思うのはわたしだけではないはず。

2時間ありますが、倍速視聴でもいいのでぜひご覧ください。これを観るだけでも、とても学びがあります。
そしてたぶん、この本も読みたくなると思います。買って損のない1冊ですよ。


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◎言葉といえば、野田地図!!!

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ことごとくチケットの先行抽選に外れまくったのですが、ありがたいことにリセールで超絶良席を確保できた上、2回も観劇できてしまった『フェイクスピア』。ただいま わたしのnoteにいろいろ書くべく準備中です。7月中には公開しますので、お楽しみに。

★追記:書きました!

そして、これだけは声を最大ボリュームにして言いたい。観に行こうか迷っていらっしゃる方、ぜひ行ってください。行かないと後悔すると思います。これぞ、舞台。なまもの。ものすごかったです。ぜひ。

東京公演は、7月11日(日)まで。大阪公演は、7月15日(木)~25日(日)です。


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◎アートにまつわる本&対談集

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MIT 音楽の授業―世界最高峰の「創造する力」の伸ばし方
●『アートがわかると世の中が見えてくる

わたしはやっぱりどうにも、アート×ビジネスやアート×投資でリッチに!みたいいな書籍には関心を持てず。しっかり読み応えのあったこちらの2冊をおすすめします。

『アートがわかると~』は、大学で日本の工芸や文化などを教えている方が書かれているので、義務教育ではまず教わらない美術史、日本の美術のちょっとややこしい話や問題点などが、とても丁寧にまとめられています。

そして『MIT ~』の方は、こんな大サービスが!ぜひご覧ください。


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普段あんまり本を手に取らない方でも、きっととっつきやすいであろうジャンルだと思っているのが、対談本です。そんな中で、わたしがお薦めしたい2冊がこちら。

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●『クローズアップ藝大

タイトルからもお察しの通り、キャスターの国谷裕子さんが、東京藝大の先生方と対談した様子がまとまった1冊です。
国谷さんは、NHKの番組を降板された後、東京藝大の理事になってらして、同じタイミングで藝大の先生になったクリエイティブディレクターの箭内道彦さんから、この企画を提案されたそうです。

ちなみに元々は藝大のホームページで連載されていました。そして今でもWebで読めます。が、わたしはやはり紙の本で読むほうが読みやすい気がします。新書なのでコンパクトな体裁ですし。

たとえばこんなかわいいカバーをつけて持ち歩くのも、良いですよ。


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●『つくるをひらく

主に関西を拠点に活躍されている、建築家・光嶋裕介さんの対談集です。

その対談相手が豪華!
わたしは、10年以上ずっと作品のファンである現代美術家・束芋さんとのパートを読みたくて手に取りましたが、アジカンのゴッチさん、内田樹さん、いとうせいこうさんに、写真家・鈴木理策さんと、他の方々とのお話も非常に興味深い内容でした。

そして、この書籍の装丁に使われているのは、なんと光嶋さんご自身が和紙や墨、金箔を使って描いたドローイング作品なんです。
手がけた作品をGINZASIX内の銀座蔦屋書店で展示した際、イベントとして豪華対談の数々が行われていたそうです。いやはや、ぜんっぜん知らなかった。

でも、銀座の森岡書店さんでこの本が販売されたときは、無事に情報をキャッチして足を運べました。光嶋さんともお話しできたし、作品も間近で楽しむことができて、そんな体験も含めて読んで良かった1冊でした。


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◎その人となりを知るための評伝本

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これまで、どちらかというと歴史に埋もれ気味で、あーんまり注目されてこなかったような作家の回顧展や展覧会が、この上半期はいくつも行われていたように思います。

残念ながら都内では、臨時休館にぶつかってしまい、会期の途中で終了してしまったものもありましたが、そんな中でも、図録以上にわたしが特に手にして良かったと思ったのが、作家の評伝本です。

巡回中の『渡辺省亭』展のミュージアムショップで買った一冊や、


こちらも巡回中の『吉田博』展のミュージアムショップで買った、安永幸一さんによる書籍。

最近では、福富太郎さんの展覧会で買った『芸術新潮』も、とてもとっつきやすく情報をまとめてくれていて、図録と合わせて読みました。

わたしは、展覧会の内容や、展示作品を一点一点をじっくり観て楽しむことももちろんするのですが、やっぱり、その作家や人物自身にいちばん興味があるんです。
どんな人生をおくったのか、何歳のときにどんな出来事があって、どんな作品が生まれたのか、どんな人と出会い別れたのか、そしてどんな世の中を生きていたのか、みたいなことがとても気になってしまいます。

なので、こういった評伝や関連書籍は、結構欠かせないんですよね。ミュージアムショップで一緒に取り扱っていると、ついつい手が伸びます。
皆さまもぜひ、この作家が好き!という方について、評伝などでぐぐっと掘り下げて追いかけてみてはいかがでしょうか。

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◎ずっと気になっている 考現学&今和次郎の本

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●『今和次郎と考現学

こちら、全然関係ない展覧会を観に行ったときに、ミュージアムショップ内の書籍スペースで見つけて、思わず買ってしまった一冊です。

震災後の東京の町を歩き、バラックのスケッチから始まった〈考現学〉。その創始者・今和次郎(こん わじろう)は、これを機に柳田民俗学と袂をわかち、新しく都市風俗の観察の学問をはじめた。ここから〈生活学〉〈風俗学〉そして〈路上観察学〉が次々と生まれていった。

考現学とは、著者の今和次郎さんが提唱した学問で、考古学をもじって名付けられました。
わたしはこの考現学を、たぶん大学の近現代の芸術史講義か何かで知り、とても興味を持ったんです。なぜか無性に気になる、というか。文化人類学や民俗学などとも近しいから?なのかな???
そんな浅すぎる知識しか今のところはなくて、まだ全然掘り下げられていないです。この書籍もまだ、ぱらぱらっとしか読めていません。
でも絶対にわたしはこれを読んで、面白い!って思う気がしていて、読み進めるのが楽しみな一冊です。

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◎100分de名著のテキストから

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冒頭でご紹介した入門書と同様にお薦めしたいのが、NHK・Eテレで毎週月曜夜に放映されている番組『100分de名著』のテキストです。

もちろん番組そのものも、映像でより丁寧に、作品の世界を紹介してくれるので理解しやすいですが、このテキストがまた秀逸なんです。
この番組とテキストのおかげで、古典へのとっつきにくさがずいぶんと軽減されました。

直近の放映で、わたしが迷わず購入したのが、平野啓一郎さんによる、三島由紀夫の『金閣寺』。もちろん番組にも毎週、平野さんが出演されて、現在もライフワークとして取り組まれている三島由紀夫研究の見解も織り交ぜながら、非常にわかりやすく、作品と三島由紀夫について紹介してくれていました。
文庫本の『金閣寺』を番組放映の半年以上前に家族から借りていて、ちまちまと読み進めていたのですが、番組とテキストのおかげで、一層、読み進めるのが楽しくなりましたし、三島由紀夫の美しい文体を、よりしっかり味わえるようになっています。

また、一緒に写っている『生きがいについて』は、2018年5月に放映されたものですが、番組のホームページで、過去の放映作品のページや、番組10周年の記念対談を読んでいて見つけた作品です。
何とかして手に入れて読みたい!!と思っていたときに、たまたまバックナンバーを置いてある大型書店で見つけて、すぐに購入しました。過去作品もとてもお薦めですよ。


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◎なげいれの花にまつわる本

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●『はな ひと うつわ
●『今様花伝書

この半年で、思いきって始めてみて、とっても心動かされたのが、なげいれのお花のお稽古でした。
洋の華やかなお花ではなく、野に咲く和のお花をその姿のまま生ける、という、なげいれのお花の世界。
本当に難しいのですが、見ているととても心が落ち着いて、好きだな、と心の底から思いました。

残念ながら仕事の都合で、お稽古は一旦お休みすることになってしまったのですが、ほんの数回でも、先生に指導いただきながら学べて、本当によかったです。
大学の科目で『抛入花伝書』に少しだけふれましたが、改めて全文読みたいと思ってます。その他、お稽古に活かすべく、書籍をいくつか探して、購入しました。今は写真集のように、事あるごとにページをめくって見とれています。とってもお薦めです。


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◎骨董・古美術・うつわにまつわる本

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なげいれのお花に惹かれた理由はいろいろ思い当たるのですが、そのうちの一つは、骨董が好き、古いものが好きだから、かもしれません。

なげいれのお花を生けるのは、いわゆる花器ではなく、古道具、籠や土器などが多いんです。
だから、茶道のお稽古を始め、なげいれのお花にもふれて、これまで絶対に沼にハマってしまうから、と、ものすごくセーブしていたのですが、いよいよもって骨董・古美術に目をむけはじめてしまいました・・・。

だから、やはり欠かせないのは、雑誌『目の眼』。
意外と大型書店でないと取り扱ってない雑誌なのですが、なんと非常にありがたいことに、毎月、最新号を全ページ、公式サイトで無料公開してくださっているんです!!!
皆さまもぜひ、ちら見してみてください。お好きな方、きっといるはず!


同様に、絶対に沼にはまる、とセーブしていたのが、うつわです。
作家さんのつくる、うつわの数々。素敵なんで、とても危険なんです。でも、もういっか、と思い始めてしまいましてw。

うつわといえば、鎌倉の「うつわ祥見」さんですよね。うつわ作家さんについても、近いうちにnoteで書きたいと思っています。

★追記:書きました!


◎これから読みたいアート×ファッションな本

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●『現代手芸考

子どもの頃からずっと親しんできた、手芸。その手芸にまつわる論考をまとめた一冊です。発売されてすぐ知って、ずっと読みたかったんです。大学のSNSでも話題になっていましたし。
でもなかなかレポートに追われて手に取れていませんでした。近いうちに読むのを楽しみにしている一冊です。

●『言葉の服 おしゃれと気づきの哲学

先日、国立新美術館で開催中の展覧会「ファッション・イン・ジャパン」展に行って、そこのミュージアムショップで購入しました。

著者は「matohu(まとう)」というブランドを立ち上げた堀畑裕之さんです。
ブランドのことは、ずっといろんなところで見聞きしていて、気になっていたのですが、ショップでこの美しい装丁に目がとまり、ぱらぱらっと立ち読み。
ちょうど開いたページが、なげいれのお花のことと、わたしも買った安重さんの花鋏のことで、びっくりしました。

え、お洋服の本じゃないの?
目次の言葉たちをみて、思わず買わずにいられませんでした。
こちらも読むのがとても楽しみです。

そして、「ファッション・イン・ジャパン」展は、超絶ものすごい内容でした。ぜひ気力・体力を万全にし、時間に余裕をもってお出かけください。
洋服に興味がなくても、日本の戦後文化の流れがとてもよくわかります。観ておいて損のない展覧会だと思いました。


◎まとめ

今回、写真を撮り、つらつらと文章を書いてきて、明らかにこれまでよりも格段に、ご紹介した本の数が増えましたね・・・。

でもこれでも、買ったり読んだりした全て、ではないんですよね。自分でも恐ろしくなりましたw でも、本だから良し、とします。

下半期は2回に分けてご紹介するかもしれません。
長々とお読みいただき、ありがとうございました!!!

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次の記事は 7月5日(月)に公開します。



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