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常識とは18歳までに作られた偏見である。

就職活動や転職活動の文脈でよく「成長」という言葉をきく。

「より自分を成長させられる環境で仕事がしたい」とか。

「自分を成長させることで事業に貢献したい」とか。

それら自体は非常に素晴らしい心がけだ。ただこのようなうたい文句により(自分が将来的にスーパーマンのように成長すると)バイアスがかかり、成長にこだわり過ぎることで、多くの時間を搾取される可能性があるので注意(現実を正しく読み取る力)が必要だ。

人は初めてものごとを行うときは頭をすごく使い、短期間でものすごく成長する。が、一定まで学習が進むと、その後はほとんど成長しなくなる。

ここからわかりやすくするためにRPG(ロールプレイングゲーム)に例えてみよう。RPGではレベルは1,2・・・99と段々と(線形的に)上がっていき、それに応じて、各能力(一般的には、攻撃力や防御力など)も線形的に上がっていく。

しかし、現実はどうだろうか。経験を積んでレベルが段々と(線形的に)上がるのにあわせて能力が段々と(線形的に)上がるのは最初だけである。イメージでいうと、最初の方はレベル (能力)が「1, 2, 3」と上がっていくが段々と、「5.9, 6.3, 7.21」のようにゆっくりと上がるようになり、いずれは「9.968346862......, 9.968346978......」のようにほとんど上がらなくなる。それに何かができるようになるとそのものごとに適用する思考回路になるが、その反対のものごとには適用しにくくなる。つまり、経験によるレベルアップにあわせて、上がる能力はもちろんあるが、下がる能力もあることを忘れてはいけない。例えば、細かい作業(裁縫や盆栽など)を得意とする人は、力のいる作業(引越しなどで大きな荷物を運ぶ)はあまり得意ではないはずである。知る/学習するという意味での成長はもちろんある。しかし、覚えたら、忘れる。人間はそういう風にできている。であれば、知る/学習することに時間を無為にかけるよりも、作ること(アウトプット)に時間をかけた方が有益ではないだろうか

脳(神経細胞)と身体(筋肉)は子供から大人になる過程では外界からの五感情報をインプットし、様々なことを学習し、思考回路がダイナミックに形成されていく。しかし、その成長は大人になるにつれてだいたい頭打ちになる。あとはその回路の中で、組織の仕方が変わっていくだけである。そのため、幼い頃から野球やフィギュアスケートなどに打ち込んでいた人は、人より何倍も秀でた能力を発揮するのである。

ただ、小さい頃から特段何かに熱中し、オリンピックレベルまで秀でた能力を持っている人というのは極少数である。では、小さい頃からとくに打ち込んだこともなく、大人になり、レベル(能力)も劇的に上げられない状態でどうやってラスボスを倒せ(成功すれ)ばいいのだろうか。

また、RPGの世界に戻ろう。とくにドラクエがわかりやすいので、ドラクエで例えさせていただくこととしよう。ラスボスを倒すために、すべきことの一つ目は「装備とアイテム」を整えることである。多くの人が大人になってからもレベルをあげることにこだわりすぎていて、装備とアイテムを軽視しがちである。ボスを倒すためには装備とアイテムは非常に重要である。現実の世界で装備とアイテムにあたるのは文字通り、見た目や持ち物(よいPCやよい環境)もあるが、評判や肩書き、資格や特許などもそれにあたるだろう。それらを身に付けることにより、レベル上げ以外の方法で、劇的に攻撃力や防御力を高められる可能性があるのである。

二つ目は、ドラクエ3以降で登場する「職業」である。職業だとリアル世界にももちろんあるし、装備とあまり変わらない感じがするだろう。ただ、ドラクエ6以降には職業を掛け合わせた、上級の職業が登場する。剣士と格闘家を極めたら、バトルマスターという職業につける。これは剣士と格闘家のよいところが掛け合わさることで、その二つの職業よりも強くなるのである。もちろんこれは、現実の世界でも有効である。例えば、営業と経理を合わせることで、より会社の財務状況を理解した強い営業マンになれるなど、掛け合わせによる効果は絶大である(もちろん、ドラクエでも掛け合わせても新たな職業にならないケースは多々ある)。

最後は、「パーティー(仲間)」である。キャラクター(人)にはもちろん、得て不得手がある。それにラスボスを一人で倒す必要はまったくなく、ドラクエでも、勇者、武闘家、僧侶、魔法使いといったようにバランスよくパーティーを構成し、攻略していく。自分ひとりで何でもできるようになる必要があると思い込んでいる人が何と多いことか。子供の時は苦手なことにも挑戦すること自体は非常に重要である。しかし、大人になってからは子供の頃に比べると学習することの旨味が薄れてしまうことは先述のとおりである。であれば、苦手なことは得意な人にまかせてしまおう。

たいていの人が自分(個)と世界を切り離して考えがちである。RPGでは主人公はいるが、プレイヤーはあまり主人公と自分を一心同体に考えない、装備やアイテム、職業、パーティーや周りの環境なども考慮した上で、『どう攻略するか』を考えていく。つまり、戦略が非常に重要である。これは、現実の世界でも同じではないだろうか。自分の周りで起こっていることを主観的に考えてばかりいると、攻略に失敗してしまう。VUCA(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ))と言われる現代、戦略を考える上で、現実を現実のとおりに正しく捉える能力が求められるのである。

ポイントをおさらいしよう。

1. 『成長』に固執しすぎると無為に時間を搾取される
2. 人は『成長と同時に衰退』もしているため、入り以外はインプットよりアウトプットの比重を意識する
3. 「装備とアイテム」と「職業の掛け合わせ」と「パーティー(仲間)」 = つまりは『戦略 (ストーリー)』で勝負することをないがしろにしない

以上を心にとめ、不条理な世界を上手に楽しく攻略していこう。

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