経営とデザインの関係
こんにちは、Nanaです。
最近はデザイン経営に関する素晴らしい資料が沢山公開されていますね。
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/document/design_keiei/jirei_20200319.pdf
この資料でも冒頭にある通り、経営者をはじめ社会全体的にもデザインに関する理解不足・意識の不統一が大きな課題になっているようです。そこで、経営者がデザインに関心があるとどんなメリットがあるか?私が思うことを綴りたいと思います。
デザインは評価に直結する
そもそもですが、デザインというのは広い言葉なので今日の内容は"見た目やトンマナの設計"とします。ビジュアルに関する部分ですね。
「なんでデザインにコストを割かなきゃいけないのか」
「デザインに力入れてどんな効果があるんだ」
こういう人いますよね。
幸い自分が働く職場ではある程度の理解をいただいてるんですが、世の中のサービスをみてるとこんな言葉が聞こえてきそうな広告やコンテンツがたくさんある気がします。
確かにデザインに馴染みがない人には、そう映るのかもしれません。
そんな時私が思うのは「デザインは教養と一緒」なのではないか、という点です。
例えばですが、あなたが営業の採用担当だとしましょう。
目の前に2人の候補者がいます。二人の技能は似通っています。
ただ、違うのは見た目です。
A太さんは服装が乱れていて、シワくちゃのシャツがズボンからはみ出しています。髪もボサボサで、ちょっと不潔そうです。
B男さんはピシッとスーツを着こなして、姿勢がとてもいい。髪も綺麗に整っていて、みるからに清潔で爽やかな印象です。
さて、あなたはどちらを採用したいですか?
もちろんB男さんの方ですよね。デザインの重要性もこういうことだと思うのです。
面接で身なりを整えるのって教養としては当たり前のことですよね。
そう、デザイナーの目から見ると外見を整えるのって「当たり前のこと」なんです。上の例えで言えば、デザイナーはB男さんの目線でものを見ているのです。
多くの人に受け入れてもらう
面接官に自分を売り込むのは、お客さんにサービスを提供することに置き換えられます。
たぶんデザインを重要と思っていない経営者がいるとしたら、その人はA太さんの目線なだけなのかな、と感じてます。身なりに気を使うことを知らないから、それがなぜ重要なのか気がつかない。本当に採用面接の場だったら誰もが当たり前に「清潔感がある方がいい」と思うのに、です。
(だからこそデザイナーには葛藤が起こります。
「なんでこんなに当たり前のことを説明しないといけないのか」
「当たり前すぎて言葉にならない」と。
もし感情的になっちゃうデザイナーがいるとしたらこの辺かも。)
面接を受ける2人の話に戻りましょう。
A太さんは多分、朝起きて、シャワーも浴びずにそのまま床にあるシャツを引っ掛けて面接に来たんでしょうね。準備なんて起きて5分で済みます。
B男さんはどうでしょうか。前々からスーツをクリーニングに出して、シャツにもアイロンをかけてたんでしょうね。朝は早めに起きて、シャワーを浴びて、髭を剃って、髪を整えて。当たり前とは言え、手間はかかります。
でも二人が面接に来たら、そこから勝負スタートです。
面接官は目の前にいる二人をその場で判断します。
これって、すごくサービス作りに似てませんか?
ほとんどのサービスはお客さんに判断されるのは一瞬です。
でも採用候補者二人の準備にかける考えはだいぶ乖離がありますよね。
同じように見た目のデザインにコストをかけるのも、まずは「人に選ばれるため」です。
なので、経営者がデザインに関心があるとどんなメリットがあるのかというと「より多くの人に選ばれるため」なのかと思います。
もちろん見た目だけ清潔感があっても、中身が伴ってないとお客さんは付きませんが、まず見た目は確実なとっかかりになります。
デザイナーはサービスのTPOをマネジメントする
経営者が本気で事業とコストを考えるなら、やるべきはデザイン自体に手をつけないことではなくて、てどうやってデザインプロセス改善するかです。
B男さんなら、クオリティを落とさずに普段の準備をどれくらい短縮できるのか考えるのだと思います。「コストがかかるから身支度なんで整えなくていいじゃん!」という考えはではA太さんになってしまいますよね。
ヨーロッパでデザインがしっかりしているのって、単純にB男さんくらい教養がある人が大多数なだけなのか、と思います。
もちろん世の中には戦略として散らかった見た目を使う場合もあります。でもそれだってデザインの一種です。両方わかってるから必要な塩梅をコントロールできる「あえて」の技なのだと思います。
そんなことを考えると、見た目に関するデザイナーの役割って「プロダクトのTPOを誰よりも深く理解して表現すること」と言えそうです。
とはいえ普通に一般の人に広く受け入れてもらいたいなら、小綺麗にした方がその可能性が上がりますよね。さらにいうと、一般の感覚と乖離しない限りは目の肥えた人に合わせられた方が面接で落とされる可能性がもっと減ります。
変な話、目の肥えた人からみると配慮のない見た目は「不快」なんです。そう思われるのを極力減らすためにも、より腕前のあるデザイナーと仕事をするのが経営者にとっては大きな武器になるはずです。
あとこれは個人的にすごく重要だと思っているんですが、結局のところ「人に紹介したくなるか?」ってことではないでしょうか。
自分はB男さんだったらどこに出しても恥ずかしくない、自分のお客さんに自信を持って紹介できそう、そんな気がしました。
整ってるもの、綺麗なものって、それだけで人に教えたくなりませんか?
それ自体がひとつの価値になるんです。
だからこそ、それを得た時の心の高揚がデザイナーにとって嬉しい瞬間だったりします。少なくとも私はその瞬間が大好きです。
自分もまだまだ感情をロジックで分解して説明するのは修行の身ではございますが、少しでもこの話が誰かの心に伝わって「デザイナーの仕事ってそういう意味があるんだな」「彼らのモチベーションてそういう部分なんだ」と思ってくださる人が増えると嬉しいです。
もちろん自分は一例なので、他の考えもたくさんあることでしょう。あくまでも沢山ある考え方の中のひとつとして、この話がデザイナー理解の扉を開けるきっかけになれれば幸いです。
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