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「とあるアリ商事の会議 ーコンサルタントが教える冬の越し方」

「さて、今日は長い冬をどう乗り切るかを話あおう」

餌がないんだ。どうしよう。

そういってアリ商事の会議は始まった。

「とりあえずムダを省きましょう」

そとから招かれたコンサルタントはそういった。

「そうはいっても、ムダってのはなんなんだ?」
「もうこっちは限界だ」
「そんなものはない」

「いえ、あるはずです。とりあえずなくてもいいものを捨てるんです」
「とりあえずなくてもいいもの?」

「そう。とりあえず、なくてもいいものですよ」
「だったら脚でも切り落とせっていうのか? とりあえず一本くらいなくてもなんとかなるぞ?」

やけくそ気味に1人が呟くと

「それはいい考えですね」

コンサルタントはそういうと、社長は同意し、脚を一本リストラした。
アリにはたくさんの脚がある。いっぽんくらいなくてもなんとかなったのだ。

脚一本を支える体力がいらなくなり、その場はなんとかなった。
アリ商事はとりあえず、急場を凌ぐことができた。

けれども、エサがなければ結局飢えてしまう。

果たして、この場にとどまるか、新天地に向かうか。

どの道をとっても、危険はある。

「どうしたらいいのか?」と皆が悩んでいると、コンサルタントは

「もう一本くらい、脚がなくても大丈夫ですよ」

そして、もう一本の脚をリストラした。

多少体はよろけたが、少し立つとなんとかなれた。

気を良くした彼らは 困ったら脚を一本リストラする、ということを春が来るまでに同じことを繰り返した。

最初は恐る恐るやっていたが、何度かしているうちに「大丈夫なこと」になっていた。


そして、春が来た。

春の恵みが溢れている。けれどもそのころのアリ商事はたっているのがやっとで、歩けなくなっていた。

「なぁ、これからどうしたらいいんだ」
「どうしようにもこれ以上は動けません。うごけないのならばどうにもできません」
「そんな、それをどうにかするのが君の役目じゃないのか?」
「ここまでどうにかしてきました。でももうそれも限界ですね」

そういうと、コンサルタントを去っていった。


そして、

「おお! 君が、あのアリ商事を越冬させたというコンサルタントか!」
「はい。なんとか冬を越させることができました」

「その手腕でウチを助けてくれないか? どうしたらいいかわからないんだ」
「自分で手伝えることでしたらよろこんで。」


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