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地球を汚し続けても、旅にでる理由

旅人のみなさんへ

最近ふと思い出した言葉がある。

19歳で初めて海外に行ってみて、その何にも変えられない魅力に夢中になったわたしは専門学校最後の年も就活の為にポートフォリオ(作品集)を一生懸命つくるみんなを横目に、モロッコへ4ヶ月の間に2度も通ってはイスラムの世界を肌で感じてはシャッターを切る、そんな生活をしていた。

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学校は全授業必須単位だったので休んでいい日数を数えては作品提出の週と被らないように計算して、毎日必ず授業に出席して、最後の2週間全部の授業を丸々休んで旅に出た。

単位はギリギリだったけどデザイナーの先生たちはわたしがモロッコに夢中になって撮影するのを快く送り出してくてた。

夏休み前、ポートフォリオの学年全体の講評会があって、わたしは就職にも興味がないのでポートフォリオは作りたくないと担任の先生にいうと「じゃああなたがモロッコに夢中になっているそのわけと魅力を1冊にまとめてそれを提出して」そう言われ、ラッキーくらいに思って提出4日前から作品制作に取り組んだ。

作品を作ったことのある人ならわかると思うけど、4日じゃ大抵いいものは作れない。何かロジックがあるわけでもないので、感覚や発想頼り。今まで自分が見てきて感じたものがクリエイティブに繋がる。と私は思っている。そんなわけで、中途半端な作品を講評会の2日前に先生に見せに行った。

「なんかうまく表現できないんだよね〜」そう呟くわたしに、いつもなんとかなるわよ!って言ってる適当さが取り柄の10年以上イギリスでデザイナーをしていたまるで外人みたいな性格の先生が突然声をあげた。

「あんた、地球を汚して世界を飛び回って、で何がしたいの?ただの観光?見てきたもの、なにも表現できないなんて、そんなことなら家の布団で寝てなさいよ。その方がずっと地球を汚さないしいいわ。」

そうちょっと怒鳴ってわたしを見つめた。

わたしはというと先生が大きい声を出した驚きと、「地球を汚して旅をしている」ことへの発見に、まるで一生冷めない夢から冷めたくらい、感情全てが現実にやってきた。

結果、その言葉で生まれ変わった私が作った講評会で出したモロッコの冊子「مغرب」はポートフォリオでもないのに、学年のみんなが評価してくれて学年200人くらいいる中で2位の評価をもらえてよかったんだけど。ポートフォリオでもないものを、いいものはいいって評価してくれる桑沢のみんなが本当に好きだなと思ったし、今も本当にいい学校だったなってよく思う。

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旅をしているみんなへ

地球を汚してる自覚あるかな

別になくてもいいです、逆にないのが普通だと思うんだけど調べたら、ナショジオの記事の引用なんだけど

引用元:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3248/
空の旅で一番心配なのは墜落事故だろう。しかし最新の研究によって、墜落事故に遭うよりも、排気ガスに含まれる有害な汚染物質で命を落とす可能性の方が高いと明らかになった。 近年では、毎年1000人前後が航空機事故で死亡している。一方、ジェット機の排気ガスは年間約1万人の命を奪っているという。これまでの研究は、離着陸時に発生する排気ガスだけが人体に害を及ぼすという前提に立っていた。今回の研究では初めて、巡航時も含めて早死にした人の数を総合的に試算している。

って調べるだけでも2010年の記事だけど出てきて、これが本当の現実かはメディアが発信しているだけで私は調べていないのでわからないけど、先生が言った「地球を汚して世界を飛び回って、で何がしたいの?」っていう言葉は正しいと思う。

旅をしたら何か成果をあげないといけないわけでもないし、地球を汚す排気ガスのデメリットを超えるメリットを出さないといけないわけでもないけど、ただ旅をすることは世界的にみたら一部のお金持ちだけができる娯楽であり、最大な環境汚染のひとつなのかもしれない。っていうことを知って流のと知らないのでは今後の人生変わってくると思う。

わたしが地球を汚し続けても、旅にでる理由

21歳の時先生に投げかけられた問いに、答えられているのかわからないけど。

私はモロッコのイスラムの世界に出会って人生観も宗教に対する考え方も大きく変わって、イスラム国の問題が世界中のメディアで取り上げられていて「イスラム=怖い」という風潮が特に強かった3年前、わたしが感じてきたイスラムの羨ましくなるくらい美しい生き方とか多くの魅力を写真とmagazineを通して伝えてきた。それが例えモロッコのイスラムに限定されようとも、自信をもって発信してきた。

川崎で行った個展「نور」(ヌール:直訳は光の意味)、や卒制で行った展示「مغرب」(Maghreb/マグリブ:日が没する国/モロッコの意味)で、多くの人のイスラムへの印象を変えられたと思う。

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多くの人の声を聞くことができたし、メディアが報じる情報が一部であって全てではないこと。すごく微力で世界はきっと1mmも動いていないけど、それでもその時私ができる最大限の地球を汚してまでも発信したいモロッコの魅力を伝えてこれた。

そしてまた自分にも問う、今地球を汚し続けても、旅にでる理由はなにか

なくたっていい、でもあるときっともっといい世の中になるなってわたしは思う。

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Kaupili nana.
(2019年6月25日記事転載)

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