『最近の若者は~』5千年前から使われる言葉は、なぜ使われ続けるのか?心理学で解説
今回は最近の若い者は~は若い頃に言われた経験がある人だったとしても年長者になると使い始める。
人類が生きてきた長い間で繰り返し使われてきた、最近の若い者は~の歴史と心理的な理由についてを解説した内容となっております。
【最近の若い者は~は古代エジプトから使われているのが分かっている】
現代に残ってないだけで、もっと昔から使われていたかも知れませんが、『最近の若者は』と古代エジプトの遺跡壁画にヒエログリフという人が記したとされており、他にも書いたのはエジプト人では無く
アッシリアからエジプトに送られものに記されていたとの説もありますが、紀元前1680年に栄えたヒッタイト王国の粘土板にも最近の若者はと記されており、そちらはトルコのアナトリア博物館に貯蔵されております。
古代ギリシャの哲学者のプラトンも『最近の若者は~』と嘆いていたことが分かっており
プラトンの対話篇『国家』に『最近の若者は年長者をうやまうことをせず、これでは今後どうなってしまうのか』と老害全開の言葉を残しています。
ただプラトンは、実際は年少者に教えを説く内容がそのように(若者への文句に)解釈されてしまったのではないか?という説もありますが、普通に遠回しに文句を言っただけかも知れません。
日本でも徒然草(つれづれぐさ)という南北朝時代の歌人、吉田兼好が『最近では智をひけらかすような見慣れない名前を付けるものが多い、教養の無い人がすることだ』と現代風にいうと
最近の若者はキラキラネームばかりつけて分かりづらい!バカか!と、他にも調べたらどんどん例が出てくるぐらいに昔から年長者が若い人に対して不満を持って嘆くことが繰り返されてきたようです。
ではなぜ年長者がそのような心理に陥るのか?について解説して行こうと思います。
【バラ色の回願で昔を美化する】
人間の生きる為の本能からの心理で、過去の出来事をその時の評価よりも高く評価してしまう心理です。
要は昔は今よりも良かった、若い時の自分はこんなにも頑張ったとその時に感じた評価よりも現在に昔を振り返って自分の評価を高く見積もり、過去の肯定感を高め、綺麗な思い出にする。
これは人間が生きて行くのに嫌だったことをそのままで覚えているよりも、綺麗な思い出など自分のこれから生きて行くのに都合の良い情報として処理してしまった方が
これからも生きて行くのに最適だからで、人によっては過去にトラウマがあり、過去に戻りたくない人もいると思いますが
過去、若い頃にそれなりに過ごした人間が歳を取ると特に、身体も衰えて過去の若かりし頃の自分への憧れにも似た美化が始まりやすくなります。
そして美化されたものと現実を比べて落差を感じてしまうのが『最近の若者は~』にも繋がる場合も少なくないと考えます。
【ダニング・クルーガー効果で自分を過大評価している】
ダニング・クルーガー効果は年長者とは限らずに、能力の低い人ほど自分の能力を高く見積もり、他人の能力を正しく認識出来ない心理効果です。
この心理効果は名前の通りに、心理学者のデヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーがコーネル大学で学生を対象として自己評価と実際の評価の差について調べる為に
学生達にユーモア、英語の文法、論理的思考のテストを行った後に自己評価をしてもらうという実験をした結果
テストの点数が低い学生ほど高い学生よりも自己評価が高かった、それは自分の能力を正しく認識してなかったのと、他者の能力を低く見積もったためで
逆にテストの点が高い学生は自分を過小評価する傾向があったそうです。
それはテストの点の高い学生は自分達が行えるタスクは他人にも容易に出来ると思っている。要は自分は特別凄くないと思ってるのと自分の出来て無い所を明確に認識する能力が高いことで
この思考が学力の向上に繋がっているのかも知れません。逆にテストの点数が低い人ほど自分の能力の低さに自覚を持ちづらい
分からないことを正しく認識出来ないのと、問題を他人のせいにするなど感情的に問題の原因をすり替えるなど。能力が低い人ほどやりがちで
それがテストの点という能力の差を生み出すのかも知れません。そして特に高齢者になると誰でも認知機能が若い頃に比べてどうしても低下してきます。
それは老化と共に脳が収縮して行くからで、記憶力だけでは無く、理性を司る前頭前野の機能なども低下すれば感情的になりやすくなる。感情的になりやすくなると論理的に考えるよりも感情が脳を支配してしまうので
自分の気持ちで動いてしまいやすくなる。自分の気持ちで動いてしまいやすくなるということは客観的に物事の正しさを議論するよりも、自分の気持ちを優先する思考に行きやすくなるのが
この思考が過去を美化するバラ色のの回願にも繋がるということです。
【外集団バイアスで自分と異なる集団を同一視する】
正式名称は外集団同一性バイアスと言います。自分の属している集団に対しては多様性や違いを認識している
すなわち同じ世代、同じ時代を生きて来た人たちの価値観や考え方は自分の人生の経験測から理解しやすいが、他の集団、若者に対しては同一視してしまいやすくなる。
最近の若者は~欲が無い、覇気が無いなどなど。しかし
これは誰にでも起こり得る心理効果で、特に知らない集団に対して未知を嫌うので、○○人は雑だ、○○会社の人は冷たいなど、このような人たちにだよねと
次でも紹介しますが、同一視して無意識にラベリングしてしまいやすくなるのが、会社なら若い人は立場の関係上、思っても口に出来ないことが年長者は立場がそれなりにある場合が多く
外集団バイアスからの同一視を言葉として発する機会が若者に比べて多いのが、最近の若者は~を良く言ってると認識されやすいが原因の一つとしてあります。
【ステレオタイプ的な先入観とラベリング理論でその行動に近づかせる】
ステレオタイプとは多くの人に先入観的な浸透しているイメージです。
例えば世代で言うと、ゆとり世代や悟り世代などのイメージで、多くの人がそう思う事によって自分も知らず知らずのうちに先入観を持ってしまうことと
ラベリングは単品だと、相手に区分け出来るようなラベルを自分の思い込みで貼ってしまう。すなわちその人の世代や容姿、話し方、趣味などでこのような人物だと思考を省略する為に勝手に相手を区分けしてしまう。
そしてラベリング理論になると、1960年にシカゴ学派属するハワード・ベッカーが唱えた
周囲のその人に張り付けたレッテル(ラベル)によって、その人の行動が左右されてしまうという理論で、犯罪心理学で性格や精神疾患、生まれた環境などで、その人を社会的に望ましくない行動をする人だというレッテルを理由に
仕事につけなかったり、精神的苦痛を感じ本当に社会的に望ましくない行為をする非道徳的な人や犯罪者になってしまうという理論で
ラベリング理論について深掘りすると話しがそれるので割愛しますが、コイツは逸脱した行為をする若者だというレッテルを貼って接することにより
実際にそのレッテルを貼られた若者が年長者の目の前で、悪い方向に変わってしまうのを見て、最近の若者は~
に繋がる場合もあり、これは若者に限らず悪い印象を張り付けるとその人の行動に影響を及ぼす、感情の返報性の法則が正にそうで
怪しんでるや嫌いな人間に対して、相手に気持ちが伝わると同じ感情で相手も返してくる。
なので、最近の若者は~を良く言う年長者はもしかしたらラベリング理論で、みんなでレッテルを貼りつけて悪い方向に導いてしまってる可能性もあります。
【気分一致効果で更にそう見えてしまう】
最後は単なる若者が嫌いなだけという心理です(笑)
これは若者も年長者全体のことを嫌いだと言ってる人にも当てはまる心理効果で、人間は無意識のうちに自分の感情に合った情報をばかりを選択して見てしまうという心理効果で
悲しい気持ちの時は悲しいニュースや出来事ばかり目に入り、いつも見ている空も悲しく感じるように嫌いな対象に対しては悪い所ばかり目に入ってしまうということで最近の若者は~や、だからオッサンは~に繋がるという
超絶簡単にいうと、単なる好みですね。
気分一致効果の前段階で、自分と違う年代の人に対して不快感を持つのは、不理解が原因だったりもします。それは自分達世代と違う価値観や考え方で
例えば年配の男性からすれば、若い頃にカッコイイ(ナウい)と思った美的価値観が歳を重ねても生きていたりして、今の若い世代とその価値観が離れていたりすると
『あんな見た目して女みたいだ』や『何が良いのか分からない』となる訳です。そして見た目だけでは無く、同じ日本でも高度成長期やバブル時代に生きて来た人と
生まれた時からずっと不景気の中生きている社会人とはまた考え方も変わってきて、人は自分の人生で考え方や好みが構築されて行くので
生まれた時から不景気なら収入が大きく上がる見込みが薄く、社会保険料が上がり将来の憂慮することが増えて、お金の使いかたも慎重になる。
それが若い人が欲が無く見える、将来を悟って無気力に感じたりする要因に繋がったりと
若い人も年長者も人生や現在の立場を軸に考えて行くとどうしても互いに理解できないことが出てきて、理解出来ないことは当然ながら不理解になり
理解出来ない未知なものに対して不安や不快感を覚えるのはどの世代も人間も同じで、それが怒りに転じると嫌いに変わり、気分一致効果に繋がるという所で
今回はこの辺で終わりたいと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
そんな優しい真面目な皆さんがより豊かになりますように☆またね(^O^)/
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