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仕事か結婚か、それが問題だ

24歳の私は、売れっ子モデルとして絶好調!大忙しの毎日を送っていた。
そこまでの話は『六車奈々、会心の一撃!~変身~https://note.mu/nana_rokusha/n/n1ab6605ba071』
で記している。

さぁ、いよいよ東京進出だ!
順風満帆な私は、上京を視野に入れ始めた。

そんな矢先、東京でオーディションが入った。やっぱり東京が私を呼んでるのかしらん。
せっかく東京へ行くなら、テレビ局に連れてもらわなきゃ!私は本社の芸能担当マネージャーに連絡をし、ドラマのプロデューサーに会わせてもらうようお願いした。
しかし当然ながら、皆さんお忙しい。マネージャーは頑張ってくれたが、なかなかアポが取れなかった。

せっかく東京に来たのになぁ。
せめてお一人でも顔見せに行けたらいいのに。
その願いが通じたのか、たったお一方だけ、偶然にもお時間を頂けることになった。
それが後に、昼ドラ『病院へ行こう!』でお世話になるプロデューサー矢口さんである。詳しくは、『六車奈々、会心の一撃!~人間万事塞翁が馬~https://note.mu/nana_rokusha/n/n432547a9c080』をご覧あれ。


「東京へ来る気はあるんですか?」
「はい!東京に出てきたら、私は芝居がやりたいです!」

あらぁ!何だか好感触じゃなぁい?
東京に早く行きたいわぁ。

私は、上京する気満々で戻ってきた。
夢と希望に満ち溢れた上京計画。
しかし、これを止める者がいた。当時付き合っていた六歳年下の彼氏だ。

「東京に行かないでぇ〜!僕、絶対に結婚したい!だからそばにいて、仕事が一人前になるまで二年間待って欲しい!」

と泣きつかれたのだ。

私は迷った。
彼のことが大好きだったから。

私は、仕事も恋愛も諦めたくなかった。
上京して遠距離恋愛すれば良いではないか。
しかしこの提案は、彼の選択肢には無かった。

仕事か結婚か、二者択一。
私はどうすれば良いのだろう。
二つの道をそれぞれ想像してみた。

東京進出した場合。
仕事は大阪より俄然多い。
自分に自信もある。
私なら絶対に成功するハズだ!
いや、でも、、、もし売れなかったら?
モデルやタレントで仕事が無いなんて地獄だ。私はひとりぼっちの部屋で打ちひしがれ、『あの時、彼と結婚していれば』と、きっと後悔するだろう。

では、彼と結婚した場合はどうだ。
大好きな彼と毎日一緒にいられたら、めちゃくちゃ楽しいだろうな。可愛い子供にも恵まれたら幸せだろうな。
しかし彼と結婚するなら、絶対に仕事はやめなければならなかった。私はまだ24歳だ。いくらでも可能性はある。仕事だって好調だ。
それを全て捨てて彼と一緒になったとして、彼が誠実で無くなったら?もし離婚するほど関係が悪化してしまったら?
心がボロボロになったある日、テレビや雑誌で友達のモデルが活躍する姿を見たら、私はきっと、『あの時、夢を諦めなければよかった』と後悔するだろう。

そうか。人生の選択において、
『この道に行けば正解!幸せが待っています!』
『この道に行けば、ブブー!不正解。不幸が待ってます!』
なんて事はないのか。

どの道を選んでも、良いこともあれば悪いこともある。それをわかった上で、じゃあ自分は何を選択するのかということなんだ。
と同時に『この道を選んで良かった』と思えるかどうかは、自分次第なんだ!

私は考えた。
悩んだ結果、彼との結婚を選択した。
だって、ラブラブだったんだもーん!

将来の道を『彼との結婚』に決断した私だったが、これまで通り、全力で仕事に向き合い、全力でオーディションを取りに行った。

しかしだ。
あれだけ受かっていたオーディションに落ち始めた。受けても受けても、全く決まってこない。

『だって、結婚するまでの間だけだし。』
『結婚したら、やめなきゃいけないし。』

自分ではどんなに全力で向かっているつもりでも、無意識のうちに消化試合のような気持ちがあったのだろうか。
だとすれば、この潜在意識は仕事に大きく影響した。

私はオーディションに落ち続け、仕事も減りはじめた。
『でも、いいや。私には、彼がいる。彼との結婚、幸せな結婚が待っているんだものーっ!』
そう自分に言い聞かせて、仕事が激減した辛さに気づかないようにしていた。

一年が過ぎた。
二年が過ぎた。

あれ?
約束の二年が過ぎたのに、彼からプロポーズがない。
三年が過ぎ、四年が過ぎ、五年経った。
私はもう、二十九歳になっていた。
学生時代の友達は、ほとんどが結婚している。私もできることなら、二十代で花嫁ドレスを着たかった。

一方、その頃の彼は仕事が絶好調だった。男として脂が乗り、もっと仕事したい。と同時に、もっと遊びたくなってしまったのだ。

結局、私はフラれてしまった。
五年前、私が思い描いた二つの道。
結果は、そのどちらでも無かった。
私は上京できたわけでも、結婚できたわけでもなく、ただ仕事が減ったまま二十九歳という歳を迎えてしまったのだ。

あぁぁぁぁ。
私の人生は、終わった。。。
今年で三十歳になる私を、どの事務所が受け入れてくれる?今更、上京なんて有り得ない。
私は仕事の夢も、結婚の夢も、失ってしまった。

絶望。
心がえぐられ、気力を失ってしまった。

しかし、これで終わらないのが人生である。
私ってば、すっかり立ち直っちゃうんだよね〜。
そしてこの大失恋こそ、東京シンデレラストーリーの始まりだったのである。

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