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【極私的読解】夏目漱石「夢十夜(第一夜)」をこう読む②

こんばんは、藤江なるしです。

さて。今日はなんと「漱石の日」らしいです。

明治44年(1911年)、文部省が夏目漱石へ文学博士の称号を贈る旨伝えたところ「自分には肩書きは必要ない」という辞退の手紙を文部省へ返した日であることから、そう呼ばれているそうな。

うむ。こんな日に記事を書かない手はない。

今回は、夏目漱石「夢十夜(第一夜)」の極私的読解の2回目。いよいよ作品の内容に取り掛かるで。その前に、先日録音したモノローグ朗読をどうぞ。

例により、この読解連載は深夜の通販番組のキラーワード「※あくまでも個人の見解です」ってやつです。漱石研究者の皆様、どうか、もう、鼻で笑ってやって下さい。故人も喜びます…。いや、生きてるよッ!!

っつってね。

はい。すぐ脱線します。「漱石の日」に免じて笑って許して。

【青空文庫】※先に全文読みたい方はコチラ。

前題材、芥川龍之介「或社会主義者」の極私的読解では、1つの記事に毎回10個もキーポイントを書いたため、スーパー長文になりました。反省しました。今回からは3つずつ進めていきたいと思います。

では、実際に使った台本(1ページ目)カモン!

【04】『腕組』する作品。

台本5行目の冒頭より『腕組』する「自分」の描写が出てきます。実はこの短い作中に3回も出てきます。腕組って、、、そないする?いやまぁ、するか。

これは癖やね。「自分」の。

以上!

とまあ、癖は癖かもしれんけど、ただ「自分」の佇まいだけを言いたいわけではあるまい。『腕組』が象徴するものを、改めて考えておこう。

腕組する時・・・
考えたり悩んだり。
神妙な場。
煮え切らない場。

いずれにしても、リラックスしていない状態であることは間違いない。女との間に流れる緊張感。これがそのまま「作品の空気感」といえるかもしれない。作品全体が腕組しとる。

 

【05】『もう』死ぬ女。

台本5行目「もう死にます」という女。

これですよ・・・。

前回【02】で言及した通り「女はなぜ死ぬのか」というところがこの作品の最も読み解かなくてはいけないポイントだと私は思っています。正解不正解はさておき、これに理由をつけないと前へ進めません。

「なぜ」といっても死因の話ではありません。

そもそも「もう死にます」という言葉に引っかかる。「死にます」ではなく「『もう』死にます」・・・ナンダ『もう』って?

ぱっと考えて2つあります。

1つめ。『もうすぐ』の『もう』。まもなくの意味。「もう着きます!」とかのやつです。つまり、自分の命が間もなく尽きるという意味で「もう(すぐ)死にます」と言った。病か何かで死が避けられない状態であることを想像してしまいます。(自死という線も無くはないですが・・・)
しかし(次回触れますが)女を見た時の「自分」の印象は「死にそうに見えない」。もうすぐ死んでしまうような雰囲気ではない。

そこで2つめ。自分の判断を強める気持ちを表す『もう』。(大辞泉より)「これはもう、間違いない!」とかのやつ。本文をちょっと補足すると「もう(いっその事)死にます」というニュアンス。つまり、自分の意志でもって死ぬ。その覚悟に満ちた言葉と捉えられます。

私は、後者として解釈しました。(前者で自死も筋は一緒ですけど、女の気持ちを汲み取って。)

よって「女はなぜ死ぬのか」は次のように言い換えられます。

「女はなぜ「死ぬ」ことを選んだのか」

これは追々考察していきましょう。

 

【06】瓜実顔ってどんな顔?

台本6行目。中高でやや面長、鼻筋が通っている・・・所謂、日本の美人の代名詞のような顔らしいです。ええやないの。

この6行目は女の色っぽさが垣間見える一行ですね。「長い髪を枕に敷いて」とか良いよねぇ、艶っぽくて。

・・・ただ「瓜実顔」という言葉。誰が言い出したか知らぬけど「瓜」と「美人」がどうもマッチしないな、現代人の私には。
確かに面長で瓜っぽいっちゃそうなのかもしれないけれども、そこはほら、もっと他のもので例えてお上げよ、お前さん!

 

という事で、今日はここまで!
次回は「自分」が語る女の印象について読み解いていきます。

はぁ~・・・瓜実顔さんの夢、私もみたい😐

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藤江なるし
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