見出し画像

【極私的読解】夏目漱石「夢十夜(第一夜)」をこう読む①

本日、ようやっとOp.002「夏目漱石 夢十夜(第一夜)」を録音・アップロードを終えました。

作品番号2番目にして、いきなりむずこい題材選んでしまった。。。

今まで数々の俳優・声優・朗読家の皆々様が、幾度となく挑戦したこの名作に手を出すのは、ちょっと背伸びした感じがある。し、実は15年くらい前だが少しだけかじった覚えがある。
その頃は、文字も読めぬ若輩で・・・いや文字は読めるんだけど、本を読めぬ唐変木であった故「こんなん読めんくても生活できらぁ!」みたいな感じで、投げ出した覚えがある。
まぁ、大馬鹿者ではあったが、15年経って題材に向き合い・・・うぐぐ・・・その気持ちも満更分からなくもない。

だって冒頭から・・・

「こんな夢を見た」

いや夢かい。夢の話なんかい。

なんでもありの世界なんと違うか、これは・・・
「夢オチ」とはよくあるが、掴みから夢と赤裸々に暴露するまさかの「夢ツカミ」とは、これまた珍妙奇天烈な題材を選んだものだ。

閑話休題。

しょうもない話はこれくらいにしまして、ではその珍妙な題材を「どう読み解くか」を、例によって連載していきます。が、今日は作品に入る前に、前置きというか心構えというか、読んでいくうえで気を付けようと思ったことと、この作品を読み解くうえで一番重要な課題について書きます。

と、その前にいつものやつ。お先に読みたい方はドーゾ。

【青空文庫】

※題材はパブリックドメインのものを使用しております。

【01】「夢」に逃げない。

うぐ・・・逃げたいよ?ホントは僕も。

この作品には、パッと読むと「矛盾してんじゃないの?」とか「意味わからん!」というポイントがたくさん出てきます。それを「夢の話だから…」と安直に片づけない、という事です。

「夢じゃなかったら成立していない思考・論理」=「現実ではありえない。理解できない。」

いやいや、本当か?夏目が書いているのはファンタジーではなく普遍的なものではないのか?で、自分に課したルールは、切り分けて考えること。

「物理的な矛盾は夢として片づけても、思考や論理はしっかりと読み解く」

・・・話それるけど「ジョジョの奇妙な冒険」って人気漫画があって、話が難解だったり矛盾してるような点があるんよ。で昔、兄貴に「これって矛盾してない?」って聞いたら「それがジョジョの奇妙なところなんだよ!」とうまく逃げられた経験がある。まぁ、これをしないってことです。

 

【02】女はなぜ「死ぬ」のか?

これを片付けることができぬ限り、この題材を読むことはできないと思う。次回の話になりますが、冒頭2行目で「もう死にます」という言葉が出てきます。

これが「発端」であり「結論」でもある、とも言えるのだけど、それの解決についてはこの連載の最終回になるかと思います。もちろん極私的な解釈ですが。

この作品を読むという事は、この問いをつまびらかにするということだと、私は思いました。

 

【03】「自分」の女に対する感情の移ろい。

これは、この作品を「表現」するうえで重要なポイントだと思っています。これがこの作品のドラマとなっているところだと思うし、これを聞き取ってもらう朗読にすることが課題ともいえる・・・が、まぁ難しい。

ちょっとだけ触れると、冒頭の「自分」は女と面識がない様子だが、その「自分」が女との約束を頑なに守ろうとするのは、なぜなのか。

大まかにいうと、こういう問いに対して【01】の『「夢」に逃げない』というのが、読み解くうえの課題で、できるだけ細やかに描写を掬っていきたいと、そない考えておりました。

 

ということで、いよいよ次回から本文の極私的読解に入ります。極私的やで。夏目漱石研究者の皆様、どうか暖かい目で、笑って許してください。

果たして、今日挙げたテーマや課題は解決することができるのでしょうか。
次回もお読みいただければ幸いです😀

**************************************************************
藤江なるし
■YOUTUBE 藤江なるし「モノローグ朗読」
https://youtube.com/channel/UCgM2MK8UbSR5PN6ybiH1itA
■Twitter 藤江なるし「モノローグ朗読」
https://mobile.twitter.com/FujieNalcyMono
■Twitter 極私的むにゃむにゃ成増白書(音楽と地域情報)
https://mobile.twitter.com/NarimasuDosue
**************************************************************


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?