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いにしへの短編集

10
ホモ・サピエンスが誕生する以前の、いにしへの物語。10話完結。
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2023年9月の記事一覧

いにしへの短編集1《分かたれた大陸》

いにしへの短編集1《分かたれた大陸》

《分かたれた大陸》

 「ばぁが生まれるより、もっとずっと昔の話さね。今大陸はいくつあるね?」

 ばぁさまはにっこり微笑むと、子どもたちの顔をぐるりと見渡した。

 「そりゃ2つさ!」

 アカが身を乗り出して答えると、重ねるようにメセマが答える。

 「僕らが住んでいるのはローラ大陸だ。」

 私は、ばぁさまの年寄り特有の深い暗緑色の手をぎゅっと握ると、

 「もうひとつはドワナ大陸でしょ?」

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いにしへの短編集2《南の新境地》

いにしへの短編集2《南の新境地》

《南の新境地》

 ムトカは見渡す限り鬱蒼と繁茂するジャングルを塔の上から見渡すと、ほうっとため息をついた。

 「信じられないな。こんな短期間のうちに、見たこともない植物がワンサカ生えているじゃないか。」

 常駐の観察士が深く頷く。

 「日に数度、ほんの短い時間ですがものすごい雨が降るんです。」

 ムトカは低く唸ると観察士の肩をポンと叩き、礼を言ってエレベーターに乗り込んだ。

***

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いにしへの短編集3《北への探検》

いにしへの短編集3《北への探検》

《北への探検》

 「ということは、おじいさまはそのとき北には向かわなかったんだね? 」

 利発そうな2つの瞳が、ヨームンを覗き込んでくる。

 「ああ、そうだ。北は後回しだったのさ。南に良い地が見つからなければ、北を探索しただろうがね。幸いこの地が見つかった。」

 「ねぇねぇ、北に何があるのか、おじいさまは気にならない?」

 ハセの可愛らしい3本の指が、ヨームンの腕をグイグイと引っ張る。

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いにしへの短編集4《発掘された石碑》

いにしへの短編集4《発掘された石碑》

《発掘された石碑》

 翌朝、本部のルセから第二、第三隊が谷間に到着したとの連絡があった。第二隊は谷間で待機、第三隊は谷を西に探索すると言う。ハセとメノワはローカムに積んであった低空飛行艇ローリーに乗り、海を挟んで谷の東側にある、この海岸付近を探索することになった。
 ローリーに立ち、浮上ボタンを押す。スンッという音とともにローリーが浮き上がる。足元にあるアクセルを踏み込むと、2艇のローリーは勢い

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