見出し画像

ベンチャー企業ほど賛否両論を狙えって話

ハズキルーペという会社のテレビCMが一時期、話題になった。
俳優の菊川怜さんがイスの上に置かれたルーペをお尻で踏んづけて、製品の丈夫さをアピールするあれだ。

このCM、実はアイデアを強く押したのはハズキルーペの社長さんだという。
たしかに、広告会社が自分から提案してくるとは考えにくいクリエイティブだ。
ある意味で素人っぽい発想で、正直、品があるとは言えない。菊川さんに納得してもらう交渉も面倒くさそうだ。
しかし広告として大きく成功したのは、みなさんご存じのとおりである。

素人クリエイティブの大当たりは意外に多い

この例に限らず、ベンチャー企業や小さな企業には、クライアント側の思いつきクリエイティブによる広告が大きく当たり、躍進のきっかけになったケースが意外に多い。
たとえば、ビズリーチ。出演する吉谷彩子さんが「ビズリ〜〜チ!」と独特の節回しでアピールするあの表現、ビズリーチ(ビジョナル)の創業者である南壮一郎さんがCMの制作途中で「このままじゃインパクトがない!」とアイデアを追加したものだそうだ。

結果、当時そこまで有名でなかったビズリーチに、電話が鳴り止まないほどの反響が来たらしい。
ちょっとしたブームになったくらいだから、CMクリエイティブの大当たりだ。

他にも、ユニクロも初期のCMの表現は柳井正さんの意向を強く通したらしいし、僕の勤めていた幻冬舎も創業期には「顰蹙は金を出してでも買え」とコピーを打ったドギツイ表現の新聞広告で成果を出した。
尖ったアイデアをクライアント側の社長がゴリ押しした結果、プロ任せじゃありえないような大きな広告効果を発揮した例は、枚挙にいとまがない。

顰蹙は金を出してでも買え!

さて、幻冬舎の「顰蹙は金を出してでも買え」。
僕はこの言葉に、ベンチャー企業の発信活動を成功させるエッセンスが詰まっていると思う。

見ていると、大きな会社ほど何かの発信活動をするとき、議論を経て「リスクを減らす」ことを優先した表現にまとまっていく。
そうなる最大の理由は、批判が来たり炎上したときに責任を取りたくないサラリーマンだけで表現を決めているからだ。
また、実際にSNSなどで見られるように、有名な会社の発信はちょくちょく炎上する。それを見ていると危険を感じる、という部分もあるだろう。上場企業だと株主の目が気になったりもするのかもしれない。

実際、大きい会社と仕事をしていると「うちがそんなやり方するのは下品だからちょっと」みたいな言い方でアイデアが却下されることは、想像以上に多い。言葉を選ばずに言うと、「大成功しなくていいから失敗を絶対したくない」のが大企業の意思決定なのだ。

一方、元々知名度がなくて炎上してもダメージが低く、オーナー経営者だけが納得すれば良いベンチャー企業の場合、賛否両論を招くような尖った表現が俄然、やりやすくなる。さらに、リソースの限られた状態で施策を実行するため「リスクを取ってでも大成功させたい」というエネルギーを持っている場合が多い。
悪名は無名に勝るという言葉もある。強い反発を受けるリスクのあるメッセージほど、受け手の心を強く動かす力を持つのだ。

ブックマーケティングも”暴露本”が強い

さて、フォーウェイが手がけるブックマーケティングにおいても、「顰蹙は金を出してでも買え」が当てはまる。
とある、マーケティング支援会社の書籍があった。その際に企画したのは、クライアントが属する業界における他社の仕事を「茶番」と言い切って、業界の内実を暴露するような本だ。
そういうアプローチでも成り立つと感じるくらい、クライアントのお話しされる業界の実態は驚きのものであり、説得力も高かったからだ。

この仕事のときは企画の振り切り方にクライアントも共感してくれ、出版した結果、かなりの売れ行きを出した。クライアントに返ってきたビジネスメリットも相当に大きかったと聞いている。

この本に限らず、業界の裏話を批判的にぶちまけていくような企画は、ブックマーケティングにおいて勝率が高いパターンだ。
理由は大きく2つあって、

①著者の知名度が低くても企画自体にパワーが出る
②コンテンツとして著者が得意な土俵で勝負ができる

からだ。
特に②が大きい。ブックマーケティングの著者は基本的に何かのプロだから、自分の仕事に関する話ならば自然に充実した内容になる。
人生訓みたいな企画だと古今東西の名著と勝負できる本を書くのは相当難しいが、専門領域の話なら、コンテンツ力の高い内容を語れる可能性は高い。

とはいえ、著者として気になるのは「そんな刺激的な企画で出版して大丈夫?」ということだろう。
これについては責任を持った発言はできないが、「今まで全部大丈夫だった」というのが答えだ。
かなり煽るような企画で出版しても、ネガティブな反響はせいぜいAmazonに1つ2つ、稚拙な批判レビューが投稿されるくらいだ。おそらく、反響の大きい発信をされたことを妬む競合会社によるものだろう。
それ以上に何か具体的なデメリットがあった例は、僕が知る限り存在しない。

まとめ

賛否両論を招く発信ほど大きな反響を生み出し得る、という話をした。

本文でも述べたとおり、尖った表現は経営者の思いが伴ってこそ成功しやすい。
広告などの表現に限らず、創業者が率いる大企業が強いのは、保身に気を配らず高い成果だけを追い求める意志によるものが大きいだろう。

ベンチャー企業ほど、あえて顰蹙を買って大きな成果を出していきたい。

▼出版の相談はこちら▼
info@forway.co.jp

▼フォーウェイ公式▼
https://forway.co.jp/

▼パノラボ公式▼
https://forway.co.jp/panolabo/lp/