見出し画像

狩猟で獲得した猪の原皮が無くなった、だと。(泣)しかも4枚も…【週末狩猟】

前回の記事が、note公式「今日の注目記事」、と「#デザイン まとめ」「美術展 記事まとめ」に取り上げていただいたようで、反応がたくさんあってびっくりしました。
驚きです。嬉しいです。本当にありがとうございます。

前回の記事はこちらです。


今回はタイトル通りです。デザインでも美術展でもありません。

ただただ悲しみを綴り、最終的にはザ・イノウエブラザーズは最高で、パッションが必要だ、という内容になります 笑、よろしければお付き合いください。


唯一、ヘッダーは前回の展覧会で見たものからです。
ヨーゼフ・マリア・オルブリヒが1901年に制作した、《アームチェア》の座面の布のアップです。
憐れみのお顔でこちらを見ているような、、素敵なテキスタイルです。

憐れむような目でこちらを見ているような、、
気がする。


こちらがその椅子です。
ヨーゼフ・マリア・オルブリヒ
《アームチェア》1901
展覧会公式サイトより


ウィーン分離派会館を手掛けたヨーゼフ・マリア・オルブリヒ。このアームチェアの女性とクリムトの作品が重なります。
ここにも留学していた当時、クリムトにつられて行きました。必見。また写真見つけて載せたいと思います。
このアームチェアを見て、その時出会った作品と再開したような、不思議な気持ちになりました。



話を本題に戻します。 
私はサラリーマンです。弱々の平民です。
そして冬は趣味で狩猟を楽しみます。

猟期は11月15日から翌年2月15日まで
(鹿・猪は3月15日まで可能)。
各都道府県で異なります。

といっても、4月から10月末までは、有害駆除活動と言って、市から依頼された獲物を捕獲ということであれば、許可を得て活動は可能です。
猟師は1年を通して忙しいですね、、

わたしの目下の目標として、狩猟で得た革で靴を作りたい、ということがありました。
(はよやれ、って感じですね。)

といっても、ペーパー猟師だったわたしが
本格的に猟に参加したのは、一昨年の猟期からです。

免許を取ったものの、どのように活動してよいかわからず、コロナもあり、思い切って猟ができる環境(程よく田舎)に引っ越しました。それが2021年のこと。

(またこの6月に引っ越します。それはまた別の記事で書こうと思います。)

もし、狩猟に興味があってどこから手を付けてよいかわからないなどがあれば、誰よりも初心者目線で、分かる範囲にはなりますがお答えします。コメントお待ちしております笑。

かくゆう私も、3年に一度の銃所持の更新が今年なのですが、ちゃんと理解しておらず、先輩猟師さんと銃砲店店主様からご教示をいただきました、、(感謝)

前猟期では、最後の出猟日に
人生初、巻狩りでの鹿を捕えました。
その記事はこちらです。
あかんたれなわたしの初の鹿GET記事です。テンション高めです。ご容赦ください。


そして、猟期中の毎週日曜日はグループ猟に参加し、獲物がとれた際には、皮を剥がし、せっせと塩を揉み込んで、翌日には皮の鞣し工場(タンナー)さんに持ち込んでいたのです。

ある日の猪と塩となかの
(これまでグループ内で皮は燃やされていました。)

お肉は美味しく食べたり、冷凍保存しています。

ある日の出猟後の焼き猪肉


その数合計、12枚 (2023.12〜2024.3)

ーーー
・鹿 3枚
・猪 9枚

ちなみに、初めて革が上がってきてて喜んでいる記事はこちらです。


12枚の内、
・鹿 3枚
・猪 5枚

ーーー
計8枚は、無事に革となって納品されました。
良い感じです。
私の初めて弾が当たった鹿も無事に納品されました。(ほっ)

大きな猪の革
先輩猟師さんが見事に一発で仕留めた
(右上の穴が弾が抜けた跡)


だが しかし BUT…

先日(4/21)革を受取ったとき、

なかの「まだ4枚残ってますよね。」
革屋さん「確認するからちょっと待ってね。」

受け取った翌日(4/22)
革屋さん「もう預かりはありません。」
なかの「…!!?」

なかの「そんなはずはありません。あと4枚残っています。

これまでの革屋さんとのラインのやり取りをスクショして、時系列に整理した上で、(鬼のように)ラインを送る。

これまで革屋さんの工場扉の前に置かせていただき、それを写真に撮ってやり取りしていたのです。

こんな感じ

革屋さん「別の猪革を用意します。申し訳ない。」

え・・・無いの。


こちらのタンナーさんは、牛や馬はもちろん、全国各地からこういった狩猟で得た原皮や熊など多くの種類を鞣されている。

なので、仮にわたしのチョロチョロと回数を分けて持ちこんだ猪が、他の猪に混ざってもわからないだろう。
野生でナイフ傷なども多いため、バラけたら私も正直わからない。 
※今回紛失された4枚は、おそらく3度に分けてバラバラに持ち込まれていた。

でもね、でもね。
やっとの思いで狩猟をするまでこぎつけて、

(ペーパー猟師歴およそ4年。)

素晴らしい先輩のたくさんいるグループに入れてもらって、
(受け入れてもらえて感謝です。)

車の買い方もわからず、先輩猟師さんに手配していただき、
(出猟以前の問題。ペーパードライバー歴は10年以上。)

最初は、内臓を出したり骨から肉を外したりが未知すぎて、
(今は鹿の解体は特技だと思います 笑)

私としてはものすごく苦労して、ここまで来たのだ。

その12枚中の4枚
=3分の1の原皮を紛失し、

他の猪革で代用してくれる、
と言われても、、
(どっかの誰かが獲った猪やん。)

好きなの選んで良いのもっていったらええやん。
と言われても、、 
(普通に革を買うだけやん。)

やりきれません。。


モヤモヤ。

どう心を処理すれば良いのかわかりません。
ただ猪や鹿の革が欲しいだけならば、革屋さんを訪ねたり、革のイベントだったりで頑張れば手に入れることはできます。

ただこれまで、革の成り立ちなどを知りたいと思い、と殺場に言ったり、オリジナルを作りたいと思い、狩猟を始めてからやっとここまでたどり着いたのに。。


何がいけなかったのか、、
悲しみの一番奥底まで悲しもうと、今回のことについて考えていた時にふと思ったのが、


つくる責任 使う責任
とはなんだろう。

SDGs 12番目の目標として掲げられていますね。

1.SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」とは
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」とは、限りある地球の資源を守るため、持続可能な生産と消費のバランスを形成することを示した目標です。
私たちは日常生活を送るうえで多くの物を生産・消費し、最終的には不要になったものを廃棄します。これらは当然必要な活動ではありますが、過剰な物の生産や廃棄が招く「エネルギー資源の枯渇」や「食品ロス」などが世界中で大きな問題になっています。

朝日新聞 SDGs ACTIONより


何故そんなことを思ったかというと、多分この本を読んでいたから。
先日の「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」を見て、北欧の椅子も沢山あったこと、彼らザ・イノウエブラザーズもデンマークにルーツがあるので、思い出して積読本の中から引っ張ってきて読んだのです。

デンマークつながりで、
SDGsな仕事』と椅子《シューメーカー》再び笑


ザ・イノウエブラザーズ

The Inoue Brothers...(ザイノウエブラザーズ)は、デンマーク・コペンハーゲンで生まれ育った日系デンマーク人の兄弟・聡と清史によって2004年に設立されたソーシャルデザインスタジオです。 ふたりは日本文化の感性とスカンディナヴィア文化のシンプル性をこよなく愛し、自分たちがつくる独自のデザイン&アートを「Scandinasian Design」と呼びます。

僕たちはソーシャルデザインに基づく一切妥協のない理念に沿ってプロジェクトを展開しています。そして今日、これらのプロジェクトを通じて出会ったさまざまな先住民や豊かな伝統工芸をもつコミュニティと固い信頼関係を築いています。

すべてのプロジェクトにおいて、品質とデザインを通じ、責任ある生産方法への関心を生み出すこと。それこそが、僕たちの最大の目標です。

公式サイトより

かっこよ。

本の中では、
8.働きがいも 経済成長も
という目標にも少し触れられていた。
単にSDGsを説明するような本ではありませんので、ご自身で読まれることを強くおすすめします。

それよりも、1番しびれたのが、 

〔中略〕
「芸術というのは、それを見たり、聞いたり、味わったりした人たちの"生命のレベル"を上げるものでなければならない」

SDGsな仕事』p201

という亡くなられたお父様の言葉だった。

この言葉に出会えただけで優勝です。

私にとっての読書の楽しみは、普段かかえていた言葉にできていない思いや思考を言語化した文章に触れたときの、この靄が晴れた感じだ。

ちなみに、私がザ・イノウエブラザーズについて知ったのは、井上聡さんの初めての書籍
『僕たちはファッションの力で世界を変える』の出版時でした。

今は無き心斎橋のスタンダードブックストアで、出版記念トークイベンドがあったのですが、その日が平日で、会社の終業オンタイムで退社し、走って電車に乗って心斎橋に向かった。

その時の情報がこちら、2018年3月8日に開催された。


トークも盛り上がったあと、私は順番待ちをしてサインをしてもらう時に

なかの「わたしも狩猟で得た革を使って靴を作ります。鹿や猪が増えていて、現状、皮は捨てられてるんです。有効活用します。」
※この時、狩猟免許は持っていたが銃所持などはまだまだ遠く、本当にほぼゼロ状態のときでした。

聡さん「素晴らしい、頑張って!」
と目を見開いてほんとに力強く握手を交わした。

沢山のおしゃれなファッション好きなファンの方がいる中、私はそんなことを宣言した。

あまり何も考えておらず、トークショーを聞いて、あまりに井上さんのパッションで会場がヒリヒリで包まれて、わたしの口からそんな事が出てきたのだ。
で、帰りの道で感動してちょっと泣いたことを思い出した。

私にもそんなに熱い気持ちがあった、ということも思い出した。
今、井上聡さんは沖縄に在住されていることをこの本で知った。
靴を完成させて、noteで書き留めていたらどこかの機会で見てくれるかもしれない、なんてことを思った。(目標)

イベントでもらったサイン


話を革に戻そう。
おそらく、4枚の皮は他の猪の原皮とともになめされて、別のお客様の所へ行ったのだらう。(ということにする)

そしたら、その作り手や売り手の方から、お客様の手へわたりますように。
そして大切に使ってもらえますように。
そんな簡単なことしか思いつかない。
私はわたしの目の届く範囲でSDGsについて考えたり、取り組んだりすることしができない。
それが靴や狩猟、美術だったりのフィルターを持った私ができることなのだと思った。
 
毛皮のための密猟的な事は一旦置いて、
革は私達の食べた動物の副産物であって、革製品を持つことは、そこには動物と私達がひと続きだということを教えてくれる存在だと思う。
それだけではなくて、革靴を履いた時のあのテンション上がる感じや、光沢感、マットな感じ、磨く楽しさ、つま先や踵に傷が入った時の悲しみも、ひっくるめて、感情の変化を与えてくれる素材だと思う。(おもしろい)

ビーガンレザーと言って合皮が良いという売り出しをしているブランドもあるし、もちろん最新のテクノロジーの集結した合皮素材は高機能がついていたり、特にエナメルなどは見分けがつかなくて驚く。

しかし、やっぱり革で作っていきたいなぁと思った週末の夜でした。目指すは生命のレベルを上げるような商品を。
知らんけど。

気がつけば文字にして4,500文字を超えていた。ここまでお読みいただいた方へ(いてほしい)、感謝申し上げます。

結論
今後、皮を持ち込むときはラインの画像だけではなく納品書もつけないとな。


この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?