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クジラ肉ステーキ食べたい… 小説「白鯨」ハーマン・メルヴィル ★3,5

「モービィ・ディック」と呼ばれる巨大な白い鯨をめぐって繰り広げられる、メルヴィルの最高傑作。海洋冒険小説の枠組みに納まりきらない法外なスケールと独自のスタイルを誇る、象徴性に満ちた「知的ごった煮」。新訳。

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1851年「白鯨ハーマン・メルヴィル
岩波文庫 上・中・下巻
訳 八木敏雄 挿絵 ロックウェル・ ケント

【上巻】(約450ページ)
イシュメール、|潮吹き亭<スパウター・イン>、怪しい男と一つのベッド、クイークェグとの出会い(一夜目)、教会、友達になる(二夜目)、港に二人で向かいながらクイークェグの小話、乗船中の聖人クイークェグ、ナンターケット着、|にこみ亭<トライ・ホップ>、ピークォド号の乗船手続き、出航!クリスマス、乗組員の紹介、エイハブ船長、鯨学、エイハブの演説、白い鯨を見つけろ!モービィ・ディック、夜の甲板で銛打ちと水夫たち、悪の権化モービィ・ディックの説明と、それを目の敵にしているエイハブについて、続。

【感想】
読み始めは、思っていたのとは違い、堅苦しくなく、むしろおかしみのある文章で、単純に、その冒険の始まりにワクワクした。途中から(出航後かな)、なんだか興味の湧かない章が多く、退屈してしまった。ラストの方で、ついに白鯨について語られ始め(エイハブについても)、これからどういう展開が待っているのか、次巻に期待。「にこみ亭」のチャウダー食べたい。

「ちさい、さかな、ころーす、ない。クイークェグ、おきい、くじら、ころーす!」クイークェグ

これから先どうなるか、おれにもさっぱりわからんが、笑って砕けろ、さ。恐ろしいものの背後には、何やら滑稽なものが潜んでいるものさ!



【中巻】(約450ページ)
「白」についてのいろいろ、鯨の習性、マッコウ鯨の事例、エイハブの船長資質、マットづくり、潮吹き発見!ボートで追う、鯨とのバトル、失敗、船に拾い上げられる、遺書書いてスッキリ、エイハブの特別配下フェダラー、インド周辺、夜な夜な連続の潮吹き、姿は見えず、Gam出会い、タウン・ホー号の物語、東南アジアの方に向かってる、鯨の絵、ダイオウイカ、マッコウ鯨仕留める、クジラ肉料理、解体、ジェロボーム号の物語、セミ鯨仕留める、タシュテーゴ落ちる、独・ユングフラウ(けがれなき船)号、老鯨、インドネシア周辺、マッコウ鯨の大集団、続。

【感想】
徐々に盛り上がりつつある感じ。鯨も何頭か仕留めたり、船員たちも活躍し始め、それぞれの人物像が見えてくる。急のダイオウイカがけっこう上げ。所々、興味ないとこは飛ばし気味だが、文章にユーモアがあるので、ちゃんと読んでも面白いのかなとは思うが。これから、クライマックスがどうなるのか⁉楽しみ。鯨肉ステーキ食いたい。

「白」甘美なるもの、高貴なるもの、崇高なるもののすべてをふくむ連想をこうして集めてみても、この色の観念の根源にはとらえがたい何かがひそんでいて、血の赤が我々の魂をおびやかすより以上に我々の魂をおびやかすのである。

尾の力。タイタンのごとき力のなかに幼児のごときくつろぎがたゆたっているのだ。真の力が美や調和を損なうことは絶対にない。いや、力こそがしばしば事物に美や調和をもたらすのだ。圧倒されるような美というものもあるが、その魔術には力が大いに関与している。



【下巻】(約400ページ)
王には頭、女王には尾、仏・バラのつぼみ号、竜涎香、見捨てられそうピップ、ダブロン金貨、英・サミュエル・エンダビー号の片腕船長の白鯨の話、鯨のあれこれ、エイハブと大工、エイハブとスターバック、クイークェグ熱病からの復活、太平洋へ、鍛冶屋、日本沖漁場、バチェラー(独身)号、台風・嵐・雷鳴・稲妻、スターバック天使と悪魔、船員落ちて沈む、レイチェル号、白鯨情報、デライト(歓喜)号、追跡—第一日→ついに白鯨発見!エイハブ、モービィ・ディック登場!完敗、追跡—第二日→白鯨再発見、再戦!完敗、追跡—三日→三度目の正直!完敗・船沈没、モービィ・ディック去る、エピローグ、イシュメール生還、終。(始めに戻る?)

【感想】
ちょっと期待値高めだったせいか、結局のとこ、思ったより面白いものではなかった。訳者あとがきに、「知的ごった煮」「つぎはぎの構成」といった表現の言葉があった。それはそれですごい興味深いのだけれど、実際読んでると、個人的には興味を持てない、そういう部分が多く、微妙な感じだった。こっちとしては、単純に海洋冒険、白鯨との戦いなんかに期待していたので残念。すごい知識量だと思うし、ユニークな文章や素敵な言葉もあったけど、最終的に、そんなには良い作品だと感じなかった。

人間の狂気は天の正気なのである。人間の一切の理性からはなれてこそ、人間は天上の思考に達することができるのだ。そういう天上の思考は、理性にしてみれば荒唐無稽であるにしても、人間はそれに達してはじめて禍福を超越して、神の様に自在で無頓着な心境を知るのである。

燦然と黄金に輝く喜びの太陽、これのみが真の灯明であって、ほかはみんな欺瞞の灯明にすぎない!



-主要登場人物-
イシュメール 語り手、ピークオッド号に乗る。
エイハブ 船長、隻脚、初老、白鯨への執念。
スターバック 一等航海士、冷静、リアリスト、コーヒー?
スタッブ 二等航海士、楽天家、臆病でも勇敢でもない。
フラスク 三等航海士、真面目、小柄、若者。
クイークェグ 銛打ち、高貴な野蛮人、スターバックにつく?
タシュテーゴ 銛打ち、インディアン、スタッブにつく?
ダグー 銛打ち、黒人、巨漢、フラスクにつく?
フェダラー エイハブの特別配下、拝火教徒。
ピップ 黒人少年、狂う。

ピークオッド号 イシュメール達の乗る鯨取船、不幸な末路。
モービィ・ディック 白鯨、悪の権化といわれる。

本の始めに登場人物の紹介があり、それを読むと、けっこう魅力を感じるキャラがいるが、実際読んでるときに魅力的なのは、やはりクイークェグ、あとエイハブやピップくらいか。その他は特に魅力を感じられなかった。ちゃんと深く読み込めていれば、もっと魅力を感じられたのかもしれない。スタッブなんか気になるが…。



(上巻・注63)
ピークオッド、又はピーコットはインディアンの部族名。白人が北米で行った大規模殺戮のはしり。この白人によって絶滅させられた部族名を持つピークオッドが、白人船長のもと、アメリカのような多様な人種からなる船員を乗せて、白人の心性の象徴のような「白く巨大な鯨」を追跡して、かえってその反撃を受けて絶滅させられるという、錯綜した寓意。


★\(^^)/☆


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