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令和の白痴

もう何度目かもわからないけど坂口安吾の"白痴"を読む。物語の本筋ではないけど、主人公が近隣住民のことを『家畜のようだ』と見下している世界観が、戦争の空襲によって一気にぶち壊れていくのが印象的。そんな中で白痴の女性の素直さだけが主人公に響いていく。 現代で戦争を執筆されているような空襲レベルで体感することは難しいのかもしれない。けど例えば『会社が潰れる』とか『家庭が崩壊する』とか『好きだったアイドルグループが解散する』とか『行きつけの喫茶店が閉店する』とかのレベルのディスラプ

    • 掃除の精神

      部屋の掃除がめちゃくちゃ苦手で、暇だったから収納術みたいな本を読んでみた。 んで、そこそこタメになったんだけど結果部屋は汚いまま。 ふとスマホいじってて思ったんだけどホーム画面も使ってないアプリが未整理だし仕事のPCのデスクトップもはちゃめちゃだし。 つまり部屋の掃除が下手なんじゃなくて、何でもかんでもとっちらかす性格のやつが部屋に住んでるだけなんだなと思った。スマホ使えばアプリがとっ散らかるしPCもそう。だから収納術はなにも解決にならない、本一冊分部屋が散らかったとも

      • その日

        断捨離をした、しかも個人的に難易度の高い本とぬいぐるみを捨てた。 本、捨てるのが本当に苦手だったんだけど、「捨てても良い本」「頻度は低いが読み返したい本」「読み返さないが物質的に残しておきたい本」など、ざっくり分類することで意外とスパっと捨てられた。最近は読書習慣を意図的に電子書籍に寄せてるので「まあ、必要になれば買い戻そう」くらいな気持ちでバンバン捨てた。「読み返さないが物質的に残しておきたい本」もある程度思い切って捨てた。元々ものを大切にできるタイプでもないので、表彰状の

        • 好きな食べ物はピザ

          世の中、真面目に生きるとその分だけ損したり不真面目でも器用な方が得をしたりすることはあまりにも多い。不条理だとも思うし、仕方ないとも思う。 例えば『好きな食べ物はなんですか?』なんてベタな質問がある。バカ正直に答えると『てんやです』となるのだが、これは正しくて正しくないのが現代社会。『好きな食べ物はなんですか?』の裏には『あなたについて知りたいです』『共通点を探して共感して心理的距離を縮めたいです』『もしあなたの好きな食べ物の中で、知っているおすすめの店があれば今度一緒に行

        令和の白痴

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        • 読書メモ
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          シズらせろ

          ちょっとマーケティングかじったことある人なら「シズル」って単語を聞いたことがあると思う。 まあようは美味しそうに見える写真、とかそういうのでいいと思う。本当にざっくりの理解は。ざっくり使い方が広まって「この文章はシズル感がある」とか「もう少しシズル感を足した表現ってないかな?」みたいにもつかう。 なのに現代はバターが入っていれば「悪魔の」、ハイカロリーなら「罪悪感」、甘辛ければ「麻薬」…。あとはなんだろうASMR?調理音もシズルの一種だけど、過剰に編集してそれを乱発されて

          シズらせろ

          探究筋

          例えば一才知識がないところから、アベンジャーズを観てマーベル作品を全部観よう とか スターウォーズを初めて観てみよう、4からみて、そのあと1からみて… とか ワンピースを本誌まで追いつこう! とか 『時間がかかる』『やったら楽しい』『捻出すれば、まあ無理なくその時間とお金はある』『けどやらない』みたいなシーンに出くわすたびに、探究筋とかオタク筋とかとっつき筋が衰えているのを感じる 勧められた漫画も、音楽も映画も『えーそれNetflixにある?』『とりあえずブックマークしとい

          遺伝子

          「記憶力が以上発達している人は、幼少期に虐待を受けている確率が統計優位に高いんです」なんて話をテレビのコメンテータが偉そうに言う。まあつまるところ、「偏差値」とかいうベネッセだかリクルートだか文部科学省だかの利権にまみれたものを引っ張り上げようとする不自然な努力よりも「これをやったら殴られる」とか、「これをやったら食事を抜かれる」とか、そういう生存に直結する体験をしたほうが嫌でも記憶力が上がるという話らしい。ただ、脳の異常発達の現れの一種でしかないため、記憶力の良い子供を育て

          消える世界にもわたしの居場所がある

          タイトルが伝わる人は、もうそれだけでいいんだけどねきっと。『ポニーテールにしてみないか?』ならぬ、『ハーフアップにしてみないか?オレの目には魅力度36%増しに見えるね!』ってワケ。 理不尽な何かに振り回されたい欲求やら、あと数歩踏み込むと理不尽になりそうな予感のするものを踏み抜いてやはり振り回されたい欲求ってあるとおもう。 安定はとても良い、ただ安定しているが故の脆さがあると感じる。自転車を漕ぎ続けないととパタンと倒れてしまうような感覚、もしくは高層ビルは地震の時に地盤ご

          消える世界にもわたしの居場所がある

          電車に乗る、ありえない数の男女が浴衣で次々に乗り込んできて、特定の駅でみなぞろぞろと降りていく。 経験的に『祭りか花火大会が今日なのかな』と感じたりする。いつもの駅で降りると改札横に今日が花火大会である旨を知らせるポスターがあり、意図せず答え合わせができる。 それと同時に自分以外の人類が数日前から今日を楽しみにし、綿密に計画を立て、今日ですら浴衣を着込み、今夜は思い出に浸り…という一連の体験をしていたのかと思うとそこそこな疎外感と、『なぜそのイベントに今の今まで気づかなか

          弱者の糧:レイワ

          ライブを好む人には、弱虫が多い。 私にしても、心の弱っている時に、ふらとライブハウスに吸い込まれる。 心の猛たけっている時には、ライブなぞ見向きもしない。時間が惜しい。 何をしても不安でならぬ時には、ライブハウスへ飛び込むと、少しホッとする。真暗いので、どんなに助かるかわからない。誰も自分に注意しない。ライブハウスの一隅に座っている数刻だけは、全く世間と離れている。あんな、いいところは無い。   私は、たいていのライブに泣かされる。必ず泣く、といっても過言では無い。愚作だの

          弱者の糧:レイワ

          カオスエンジニアリングする組織

          カオスエンジニアリング、というプロダクト開発の手法があります。2015年くらいにNetflixが発明したとされる手法です。 どんな手法かというとなかなか狂気じみてまして、実際に稼働しているサービスのサーバーだったりDBだったりネットワークだったりを不定期にランダムに落としたり、バグを仕込んだり、なんらかの異常をわざと仕込むやり方です。 なんでわざわざそんなことをするのかというと、「実際にサーバーが落ちたり何らかのトラブルがあったときになるべく早くサービスを復旧できるような

          カオスエンジニアリングする組織

          知識と運とセンスを自責で、いい感じに

          センスは知識で磨けるし、磨けるからこそセンスがない人を見るとその努力を怠ってきた怠慢な人なんだなあと感じる センスを知識で磨く、というのはなにも美術館に行って『ロマン派がどうだ』とかコンサートに行って『モーツァルトがどうだ』とかそういう話ではない ある程度の知識群から過去を多層的に学んで角度の高い未来予想をさっとやってのけるのがセンスだと思う あ、これいい例だなあと言うのを本で読んだのでメモがてら ときおり、「部屋から東京タワーが見えるからこのマンションを買ったのに、

          知識と運とセンスを自責で、いい感じに

          すべて

          真夏のピークが去った、的なあれ 「真夏」が夏のピークだから「真夏のピークが去った」って頭痛が痛い的な重語なんだよね、でも正しさより伝わったほうが正義なのですごく大好きな表現 真夏のピークのあとって厳密には夏の折り返し地点であるべきなんだけど、夏の終わり感あるよねえ 最後の花火に今年もなったな 何年経っても思い出してしまうな の「な」は ・『今年もなったな』は「なる(ラ行五段活用連用形)の”なり”の促音便」+「過去の助動詞”た”」+「終助詞(感動)の”な”」 ・『思い出し

          寝れない夜のこと

          ・ベロって寝る時どこに置くんだっけ ・瞬きってどうやるんだっけ ・宇宙の端って何があるんだろう ・生まれて生きるとはなんだろう 釣られたら腹筋100回な ポケモンに頼るな、思考を巡らせろ、道連れだ

          寝れない夜のこと

          現代スポーツ

          『君の名は』を見たことがない、なんなら予告すら見たことない。ただしあまりにも周囲が見すぎているので、他人の感想や評判の断片だけを記憶しておいて『ざっくりこういう話なんやろ』を組み立てて話を合わせてバレないか、というスポーツをここ数年やってる。インターハイレベルまで高まっている。飲み会とかでジョッキ入れ替わってしまったときに『思わず前前前世流れたわ!』ってツッこめるくらいには来ている、見てないのに。 もちろん天気の子もすずめの戸締りも見てない。 ちなみにジョーカー的なフレー

          現代スポーツ

          幸せの受け止め方

          めちゃめちゃ嬉しいことがあったり、楽しいなにかがあったときに反動で落ち込んだりするケースがそこそこあるっぽい。そしてそれはそこそこ再現性のある現象だったりする、んじゃあどうしたらいいのよ、みたいな話。 ダブルバインド 心理学(のなかでも結構臨床よりというかカウンセリングよりの文脈)の有名な理論で「ダブルバインド」というものがあります。ざっくりいうと矛盾したメッセージを同時に与えられたときのストレス状態とか混乱状態を言います。仕事やバイトで上司に「いつでも質問してね」と言わ

          幸せの受け止め方