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BBQはbarbie(バービー)。オージー英語のスラングはとにかく「略語」が多い

せっかく英語圏で暮らしているので、たまには英語についての話でも。オーストラリアに来たばかりの頃に僕がびっくりしたのが、独特なスラング、特に略語の多さ。そもそもオージー(Aussie)というのが「オーストラリア人(Australian)」の略で、他にも日常的に使われるスラングがたくさんある。スラングが分かると日常会話だけでなくSNS投稿やニュース記事を読むのも少し楽になるので、是非覚えてみたいところだ。

よく聞くオージースラング22選

オーストラリアはもともとイギリス人が入植した歴史を持つため、言語の系譜もイギリス。日本で習ったアメリカ英語ではなく、イギリス英語の発音や単語の綴り(center ではなく centre など)に、何年かオーストラリアにいるうちにようやく慣れてきた。

そのためここで紹介するスラングについても必ずしもオーストラリア独自の言葉というわけでもなく、イギリス英語のスラングもあるようだ。

  • afternoon(午後)→ arvo(アーヴォ)

  • Australia(オーストラリア)→ Straya(ストレイヤ)

  • avocado(アボカド)→ avo(アヴォ)

  • barbecue, BBQ(バーベキュー)→ barbie(バービー)

  • breakfast(朝食)→ brekkie(ブレッキー)

  • biscuit(ビスケット)→ bickie, bikkie(ビッキー)

  • chicken(ニワトリ)→ chook(チュック)

  • chocolate(チョコレート、ココア)→ chokkie(チョッキー)

  • Christmas(クリスマス)→ Chrissie, Chrissy(クリッシー)

  • documentary(ドキュメンタリー)→ doco(ドコ)

  • Australian football(フットボール)→ footy(フッティー)

  • kangaroo(カンガルー)→ roo(ルー)

  • kindergarten(幼稚園)→ kindy(キンディー)

  • husband(夫)→ hubby(ハビー)

  • mosquito(蚊)→ mozzie(モズィー)

  • service station/petrol station(ガソリンスタンド)→ servo(サーヴォ)

  • sunglasses(サングラス)→ sunnies(サニーズ)

  • television, TV(テレビ)→ telly(テリー)

  • thanks(ありがとう)→ ta(タ)

  • underwear(下着)→ undies(アンディーズ)

  • university(大学)→ uni(ユニ)

  • vegetarian(ベジタリアン)→ veggo(ベジョ)

パッと思いつく範囲で書き出してみただけでも結構な数がある。長い単語を短く略すのは合理的だし言いやすいと感じる反面、大して短くなっておらず、大幅に違う言葉になっているものもあるのが面白い。

いずれもあくまでもスラングなので、くれぐれもフォーマルな場では使用を避けられたし。

いつ・どこでスラングを使うか?

スラングは知ったらすぐ使ってみたくなるものだが、実は結構使い方が難しいと感じている。

例えば、thanksのスラングである「ta」は、老いも若きも性別を問わず使う言葉ではあるものの、オージーが全員使うかというとそうでもない。使っているのは4人に1人くらいの肌感覚と言えばいいだろうか。日本語でいう「どうも」くらいの「失礼ではない軽いお礼」に相当するので、例えば注文した持ち帰り用のドリンクを受け取る時などに「Ta!」と言ったりするのを聞くが、では誰がこの言葉を使ったら自然で誰が使ったら不自然なのか、英語ネイティブではない僕には未だにわからない。

上には挙げなかったが、オージーイングリッシュの代表格として知られる「G'day, mate!(G'day は Good dayの略)」は、「よぉ、元気か!」くらいのノリで使われる挨拶だ。しかしこの表現を使うのは、実際のところ95%が男性という印象。やんちゃな人や威勢の良い人が年齢を問わず使うイメージの言葉で、ごく稀にボーイッシュな女性が使うのを聞くこともある。それくらい、「男性的なイメージを伴う表現」なのだ。

使うシーンや使う人のペルソナといった「言葉のイメージ」を知らずにスラングを口に出してしまうと、伝えたいニュアンスとは違って伝わってしまう可能性がある。「G'day, mate!」をフォーマルなパーティーで真面目に「皆様、お元気ですか」のつもりで使ったら…と想像すると良いだろう。空気を読む日本語ネイティブとしては、うっかり使った英語スラングのせいで失礼をかますヘマは避けたいものだ。

一方で、「I got a mozzie bite this arvo.(午後に蚊に刺された)」と言ったり、「My hubby's gonna pick up our son from kindy.(夫が息子を幼稚園から連れてくる予定)」と言ったり、誰もが日常的に使う表現もある。オーストラリアではむしろ、mosquito や kindergarten という正式な単語を使うのは図鑑や公的書類などに限られるくらい、これらのスラング表現は一般的。もちろんスラングなので親しい間柄限定だが、僕も迷わず使うことができる。

言葉は生もので生き物なので、意味だけではないニュアンスや使い方もセットで覚える必要があると思う。使ってみて「このシチュエーションで○○ではなく△△と言うのってOKだと思う?」とネイティブスピーカーに聞いてみるのも、スラング習得の近道かもしれない。こちらが非ネイティブと分かると、たいていのネイティブスピーカーはそのテの質問に何かしら答えてくれる。

バーガー屋も首相の名前も略すオーストラリア

上に挙げたスラングはあくまで一例。他にも、Woolworth(ウールワース)というオーストラリアのスーパーマーケットチェーンをWoolies(ウーリーズ)と略したり、McDonald’s(マクドナルド)をMaccas(マッカス)と言ったりする。固有名詞のスラングを使うと、なんだかローカルにしっかり溶け込んだ気分になれるのでお得だ。

オーストラリアの現在の首相の名前はAnthony Albanese(アンソニー・アルバニージ)だが、略称(愛称?)はAlbo(アルボ)。ご本人のSNSアカウントも @AlboMP (MPはMember of Parliament、国会議員)だ。

ネイティブスピーカーの友人と政治のニュースの話をした時、会話の中でこの「Albo」を使っていた。短くて便利だし、僕もさり気なく使ってみた。

ちなみに前首相のScott Morrison(スコット・モリソン)はScoMo(スコモ)。政治家の略称(愛称?)はニュース記事のタイトルに使われることもあるので驚きだ。最近は現職首相時代に彼がやったらしい「複数の大臣職を秘密で兼任」がニュースになっているし、障害者を見下す発言や気候変動対策の怠りなどもあったのでScoMoという響きには正直良いイメージがない。

オーストラリアの大御所ハードロックバンドに「AC/DC」がいるが、愛称は「Acca-Dacca(アカダカ)」。もはや略ではない印象もあるが、長音が多いより発音が容易なのかもしれない。略称なり愛称をつけることで親しみを表現しているのは間違いないだろう。

日本でも「エレファントカシマシ」は「エレカシ」だし、「Official髭男dism」は「ヒゲダン」だ。「マクドナルド」は「マック」か「マクド」で、「Google検索をする」は「ググる」、「パーティーピープル」は「パリピ」。恐らくどこの国にもその国ごとのスラングがある。そう考えればオーストラリア英語のスラングを覚えるのも楽しくなりそうだ。


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