巨匠の中の巨匠、レンブラントとはどのような画家か
「絵の横道」21回目
初めて会った人と絵について話す時に相手が
「私はレンブラントがスキです」と言えば…
「この方は相当絵がお好きな方だな」と私は思います。
レンブラントはやはり一般的には玄人好みの画家なのです。
女神ミネルバを描いた上の絵は「夜警」程ではありませんが大きな作品です。しかし、実際にこの絵の前に立つと、この絵は実寸より遥かに大きく感じます。絵の魅力がそう感じさせるのです。
日本で数年前にレンブラント展が開かれた時、殆どの人がこの傑作に注意を向ける事なく、その前をただ通り過ぎていきました。
とても残念な事です。おそらく、この絵は同展のインターネットホームページ等でも大きく取り扱われていなかったので訪れた皆さんの興味を惹かなかったのでしょう。
しかし、この絵はレンブラントの珠玉の名作、名作中の名作なのです。
ちょっと、ミネルバの左手、そう本に置かれている手をご覧下さい。
そして、ミネルバの胸の辺りもご覧下さい。 お判りですか?
この手と胸の間には距離があり、その空間がしっかりと描写されています。まるでここに空気があるようです。これは、どんなに見かけを写実的に描いても中々に達しえない領域なのです。
そう言った事が、このミネルバには至る所に見られます。
そして、この事は女神ミネルバに迫真のリアリティを与えているのです。
今日は、空間を描くという事についてお話ししました。
*レンブラントは17世紀に活躍したバロック美術の大家であり、バロック美術とは光と影を巧みに描いた美術的なムーブメントでした。しかしそういった情報は商品についているタグのようなものです。タグにはタグの役割はありますが、タグを幾ら集めても商品そのものの価値には至りません。時にはタグが真っすぐにものを観る邪魔をしてしまう事もあります。
タグを捨てて絵を見ましょう。
あなたが絵をじっと、そして何度も一枚の絵を見ていれば、いつか絵の方から必ずあなたに語りかけて来るのです。
😊皆さんの絵画インテリジェンスの一助となれば幸いです。
<もりおゆう© この美術エッセイは著作権によって守られています.>
(Yu Morio© This art essay is protected by copyright.)
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